20世紀には科学が大きく進歩し、社会は豊かになり、生活様式は快適さの面で大きく向上しました。しかしその反面、エネルギー問題と環境問題というグローバルかつ深刻な問題が生じました。21世紀は、科学の力をもってこれらの問題を解決しなければ、地球の将来はないといっても過言ではありません。
小林研究室では半導体の研究を行うことによって、エネルギー問題と地球環境問題の解決に大きく貢献します。太陽電池は、光エネルギーを直接電気エネルギーに変換します。石油や石炭のように、炭酸ガスやNOx、SOxという有害ガスの発生は全くなく、原子力のような危険性もありません。しかし、現時点では太陽光発電は火力発電に比較して2倍程度コスト高です。その問題を解決し大規模な太陽光発電を目指して、小林研究室では現在最も生産量の高いシリコン太陽電池を高効率化する研究を行っています。太陽電池の変換効率が例えば2倍になれば、コストは確実に半分になり、さらに面積の小さな日本ではそれ以上の効果があります。
シリコン太陽電池の理論変換効率は約30%ですが、実際に市販されている太陽電池の効率は15〜21%とそれよりも大分低くなっています。その原因として、種々の損失があります。入射した光は、太陽電池表面で一部反射し、それが損失となります。また、光生成した電子とホールは、表面などにある欠陥で再結合して消滅してしまいます。このような損失を低減することが、太陽電池の高効率化には重要です。小林研究室では、新規の化学的手法を開発して、反射損失や再結合損失を大幅に低減して、太陽電池の効率を向上させることに成功しています。関西には、シャープ、京セラなどの大手の太陽電池メーカーが集まっており、これらのメーカーに技術を移転して市販される太陽電池の高効率化を行うための研究も行っています。
液晶ディスプレイは、太陽電池と同じように半導体、特にシリコンを用います。小林研究室では、硝酸酸化法という新しいシリコンの酸化法を開発して、これを液晶ディスプレイを駆動する薄膜トランジスターに応用しました。その結果、薄膜トランジスターを高性能化するとともに、消費電力を従来の1/144にまで低減することに成功しました。
また、廃材であるシリコン切粉から、シリコンナノ粒子を非常に安価に形成する技術の開発に成功しました。シリコンナノ粒子を用いて水を分解して多量の水素を発生する技術も開発しており、燃料電池や水素水に利用できます。このように、小林研究室では、環境に対する負荷を低減するための研究も行っています。
半導体製品は、酸化、化学洗浄、エッチングなど多くの化学反応を用いて製造されます。皆さんが今まで学んだ化学の知識を生かせる場がたくさんあります。化学をもって社会に貢献したいと考えている学生の皆さんは、ぜひ小林研究室で我々と一緒に研究を行いましょう。
国際共同研究 | スロバキア科学アカデミー, Zilina大学(スロバキア), Hahn Meitner Institute(ドイツ), Hanyang大学(韓国), 内蒙古師範大学(中国) |
国内共同研究 | 東京大学大学院総合文化研究科, 筑波大学工学部, 産業技術総合研究所, 立教大学理学部, 東北大学多元物質研究所 |
国内企業 | パナソニック, 大阪ガス, シャープ, 住友電気工業, 帝人, 京セラ, 大日本スクリーン製造, ノリタケカンパニーリミテド, オルガノ, 東洋アルミニウム, HOYA, 関東化学, スマートソーラーインターナショナル, 日新化成, レナテック, 東邦化成, 新興製作所 |
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