近年、抗菌薬で殺すことの出来ない多剤耐性菌が臨床現場や環境中から多く検出され、世界共通の深刻な問題になっています。その解決のため、当研究室では細菌ゲノムに潜在する薬剤耐性因子に関して、ポストゲノム手法を用いた網羅的解析を進めてきました。薬剤排出ポンプは細胞内から抗菌薬等を排出し、多剤耐性を生み出す原因になっています。細菌ゲノムには驚くほど多くの薬剤排出ポンプ遺伝子が潜在していることが分かりました。また、細菌は環境を感知して細胞内情報伝達を行うことにより、これら薬剤排出ポンプ遺伝子を発現させるという巧妙な耐性機構を保持していることを発見しました。多剤耐性菌による感染症を防ぐため、薬剤排出ポンプとその制御因子を標的にした阻害剤の開発を進めています。


博士(薬学) 西野 邦彦

大阪大学産業科学研究所・教授

567-0047 大阪府茨木市美穂ヶ丘8-1

多剤耐性病原菌による感染症の未然防止

大阪大学 産業科学研究所 生体分子制御科学研究分野/

大阪大学大学院 薬学研究科・薬学部 細胞生物学分野(生体)

西野研究室(Nishino Lab)

HeLa cells infected with Salmonella