第9回産研技術室報告会予稿


日 時 : 平成8年6月21日(金)10:00〜16:00
場 所 : 産研講義室(管理棟2階)           



プ ロ グ ラ ム

<挨  拶>
10:00〜10:05  所長挨拶  所  長  岡田 東一
10:05〜10:10  室長挨拶  技術室長  山口 春夫

<技術指導に関する発表>
10:10〜10:30  金属工作に有効な図面の書き方
          工作班 機械回路工作掛   大西 政義
 試作室金属工作室に製作依頼をする場合、依頼伝票に図面を付けるのが一般的な常識となっているが、図面の良し悪しによって製作工程や所要時間が大きく変わってくることはあまり知られていない。理解しやすい図面を書くことができれば製作者には作業効率の向上、依頼者には製作時間の短縮という利点が得られる。今回は、「金属工作に有効な図面の書き方」と題して今までに受けた依頼図面の中から分かりにくかったものを抜粋して、理解しにくかった部分とその理由を解説し、製図の反面教師として役立ててほしい。

10:30〜10:50  研究室のガラス細工とその基礎知識(3)
          工作班 ガラス工作掛    小川 紀之
昨年、一昨年に続き本年も「研究室のガラス細工とその基礎知識」、第3回として、前回までで紹介した基礎知識に、さらに封じ込みの手法を加え、それらを総合すれば何が作れるか。具体的にトラップとリービッヒ管の製作を通じて紹介する。

10:50〜11:10  粉末X線の有効的な使い方
          計測班 分析・データ処理掛 田中 高紀
 無機、金属化合等の同定・化合物の評価には、古くから粉末X線回折法を用いての研究が行われている。有機化合物の各種分光分析装置による測定と同様に、無機、金属化合等には粉末X線回折装置による測定が行われる。今回は材料解析センターに設置されている理学電気社製RINTを用いて基本的なデータ解析について、また、測定に少し工夫を施した測定例の紹介も行う。

<招待講演>
11:10〜11:30  大型計算機センターの役割とネットワークの歴史
          大阪大学大型計算機センター 共同利用掛 北本 昇一
 一般的にネットワークといわれる理由(なんでや)、ネットワークの歴史、ネットワークで必要な機器(ハードウエア)・ソフトウエア、外部ネットワーク、ネットワーク管理について、さらに、大型計算機センターの役割とを簡単にまとめてみた。今後、ネットワークに関わって仕事をする技官の方々にとって有益になることを確信している。

<特別講演>
13:00〜13:50 「技術としての有機化学合成」
       − シロキサンから塩化トリメチルシリルの再生 −
          技術室運営委員長      植田 育男

<ユーザーズ・レポート>
13:50〜14:20  有機物性科学研究分野に於けるロータリーエバポレートシステムの現状と今後の課題
          機能分子研究部門 有機物性科学研究分野   杉浦 健一
 有機合成化学では、基質を有機溶剤に溶解させ反応や精製操作を行い、これらの操作が終了した時点で、溶剤をすべて取り除かなければならない。この目的のため、ロータリーエバポレーターシステムを用いることが一般的である。ところが、旧来のこのシステムでは、除いた溶剤のかなり多くの部分が、下水に混入せざるを得なかった。近年、環境保護の立場から、化学排水への有機溶剤の混入を、可能な限り避ける必要に迫られており、当研究所も一事業所として、誠実な対応が求められる。当研究部門では、技術室ガラス工作掛の支援を受け、効率の良い冷却管の開発を含め、システム全体の見直しを図った。この結果、塩化メチレンのような低沸点溶剤でさえも、ほぼ完全に回収を行うことが可能になった。本報告では、当研究室に於けるシステムの現状を、溶剤の回収効率を具体的な数値と供に示し、よりよいシステムの可能性を探るための議論を行う。

<技術研究発表>
14:20〜14:40  STM用遮音ボックスの製作
          工作班           奥田 良行
 前回AFM用の騒音低減のためのノイズシェルターを製作し、良い結果を得た。 今回はさらに空調設備やMBE用の各種コントローラー及び計測機器による騒音のある実験室内に設置されたSTM装置の騒音による画像の乱れなどの悪影響を小さくするための遮音ボックスを製作したので、この過程及び効果について報告する。

14:40〜15:00  フラッシュクロマトグラフィー用ガラスフランジ及び締め付け金具の改良
          工作班 ガラス工作掛    松川 博昭
 フラッシュクロマトグラフィーはカラムクロマトグラフィーの一つで、圧縮空気などの加圧下で混合物試料の分離を迅速に行える方法で、最近、当ガラス工作室に製作依頼が多くなってきた。このフラッシュクロマトグラフはヘッド部とカラム本体部からなっており、それぞれにOリング溝付のガラスフランジを施し、クランプを用いて固定している。今回、そのフランジ部とクランプ部の改良を行ったので報告する。

15:00〜15:20  イオン研磨装置のメンテナンスとイオン研磨法による TEM(透過電子顕微鏡)試料作製の実際
          計測班 分析・データ処理掛  石橋 武
最近の分析電顕利用者はいずれも、試料の違いこそあれ分析点の空間分解能を上げるために、非常に薄い試料(数10nmの厚さ)を作る必要がある。この際にイオン研磨装置を使用するが、けっこうメンテナンスがやっかいで、良い試料を短時間で作製することができない場合が多い。今回は当電顕室で今までに分析した試料をもとに、各種のイオン研磨装置の特徴および試料作りやメンテナンスの失敗談、成功談を紹介する。

15:20〜15:40  FABMSをホスト−ゲスト分子認識能の評価に応用する手法
          計測班            山田 等
 FABMSは微量の試料を用いて分子量の決定や構造解析を行う分析手法として発展してきた。このFABMSをホスト−ゲスト分子認識能の評価に応用した手法について、キラルクラウンエーテルホストとキラルアンモニウムイオンゲストとを組み合わせた反応系について測定した結果をもとに紹介する。


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h-yamada@sanken.osaka-u.ac.jp
   or
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