大阪大学 産業科学研究所

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研究成果

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世界初!有機半導体における電気伝導の圧力に対する全く新しい応答を発見!

大阪大学産業科学研究所 酒井謙一研究員、竹谷純一教授および高輝度光科学研究センター 藤原明比古主席研究員の共同研究グループは、有機トランジスタの電気伝導特性における、巨大かつ符号が反転する異常な圧力効果を発見し、そのメカニズムの解明に成功しました。高圧下で動作する有機トランジスタ構造を開発し、精密な物性測定と大型放射光施設SPring-8の高輝度X線を活用した構造解析を組み合わせることにより、圧力印加による分子回転が電気伝導に及ぼす、有機半導体ならではの新しい物性を明確にとらえることが可能になりました。

この成果を活用することにより、有機トランジスタの出力を圧力により変調することができ、高感度かつ広い圧力範囲で動作する圧力センサーなどへの応用が可能となります。

なお、本成果に関する報告はPhysical Review Letters誌にて2月28日(米国東海岸時間)にオンライン上で掲載され、3月1日に印刷出版される予定です。

圧力とともにDNTT分子の配列が変化する様子
【図1】 圧力とともにDNTT分子の配列が変化する様子

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世界最高性能!
印刷可能な有機TFT液晶ディスプレイの高解像度化に成功
-高速・大画面の高性能フレキシブルディスプレイの早期実現へ-

NEDOのナノテク先端部材・部材実用化研究開発プロジェクトにおいて「革新的な高性能有機トランジスタを用いた薄膜ディスプレイ用マトリックスの開発」を受託した大阪大学 竹谷純一教授らのグループは、高速化と高解像度化(画素サイズ0.5mmx0.5mm、面積比でこれまでの1/9)を両立した有機TFTアクティブマトリックスを用いた液晶ディスプレイを開発しました【図1】。

このディスプレイは、有機半導体を溶液で塗布すると同時に結晶化させる簡便なプロセスと有機半導体にダメージを与えない微細加工プロセスにより、従来の性能をはるかに超える高移動度の有機TFTを微細加工でき、液晶ディスプレイを高速化かつ大面積化できます。

この成果を活用することにより、ロールスクリーンテレビや電子ペーパーなどに利用できる低コストで薄型かつ高性能なフレキシブルディスプレイの開発促進が期待されます。

なお、2013年1月30日~2月1日に開催されるnano tech 2013(東京ビッグサイト)で、このディスプレイを展示します。

新規に開発した有機TFT液晶ディスプレイ
図1.新規に開発した有機TFT液晶ディスプレイ

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有機半導体の高性能化をもたらす塗布技術の開発に成功
〜スーパーインクジェットを用いて、高配向単結晶有機薄膜の形成が可能。フレキシブルデバイスの高性能化に向けて、大きく前進〜

独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)の技術移転ベンチャーの株式会社SIJテクノロジと、国立大学法人大阪大学産業科学研究所の竹谷純一教授および岡本敏宏准教授は、有機トランジスタの性能を大きく左右し、有機半導体薄膜の結晶性を向上させる、超微細インクジェット(スーパーインクジェット:SIJ)を使った高性能有機半導体薄膜の塗布技術の開発に成功しました。今後、更なる材料の探索と塗布条件の最適化を図り、大面積の有機半導体アレイなどへ応用していく予定です。

なお、1月30日~2月1日東京ビッグサイトで行われる「nano tech2013」および「Printable Electronics 2013」に出展します。

SIJで描画した有機半導体結晶薄膜(幅約10μm) 描画に伴い、一方向に乾燥固化するために、方位のそろった単結晶的な高品位な結晶が成長する。
図1.
SIJで描画した有機半導体結晶薄膜(幅約10μm) 描画に伴い、一方向に乾燥固化するために、方位のそろった単結晶的な高品位な結晶が成長する。

図2.市販型研究開発用スーパーインクジェット装置(サブフェムトインクジェット加工装置)
図2.
市販型研究開発用スーパーインクジェット装置
(サブフェムトインクジェット加工装置)

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アナプラズマ症原因細菌によるオートファジー誘導の仕組みを解明 —新規治療法開発への応用に期待!—

産業科学研究所感染制御学研究分野の西野美都子特任助教、長浜バイオ大学アニマルバイオサイエンス学科の山本章嗣教授、米国オハイオ州立大学獣医学部の力久泰子教授らの国際共同研究グループは、ヒト顆粒球アナプラズマ症原因菌が宿主細胞のオートファジーを誘導する機構とその意義について明らかにしました。

ヒト顆粒球アナプラズマ症はマダニによって媒介される人獣共通の感染症で、新興感染症として対応が急がれています。その病原菌のAnaplasma phagocytophilumは、顆粒球内に侵入して増殖します。この病原菌は顆粒球の食胞に取り込まれるとtype IV分泌装置を用いて、Ats-1エフェクタータンパク質を宿主細胞質に分泌します。本研究では、Ats-1がオートファジー必須タンパク質のべクリン1と結合して、オートファジーを誘導することを明らかにしました。本細菌は、宿主のオートファジー経路を乗っ取り、食胞内への栄養供給に用いていると考えられます。本成果は、オートファジーをターゲットにした病原菌の巧妙な増殖戦略の一端を明らかにしたもので、今後、新しい感染症治療法開発への応用が期待されます。

本共同研究成果は、米国科学雑誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」(2012年12月18日付)に掲載されました。

図1. 細菌エフェクタータンパク質Ats-1の局在(緑)
図1. 細菌エフェクタータンパク質Ats-1の局在(緑)

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動き回る小動物体内の組織や生理機能を高感度に検出可能な超高輝度発光タンパク質の開発に成功 –超早期癌の診断法確立に期待!–

大阪大学産業科学研究所生体分子機能科学研究分野の永井健治教授、国立遺伝学研究所の堀川一樹准教授、北海道大学大学院医学研究科の初谷紀幸特任助教、京都大学大学院薬学研究科の樋口ゆり子特定助教らの共同研究グループは、化学発光タンパク質と蛍光タンパク質をハイブリッド化することで、従来よりも10倍以上明るく光る超高輝度化学発光タンパク質Nano-lantern(ナノ‐ランタン)を開発しました。ナノ‐ランタンでマーキングすることにより自由行動下におけるマウス体内の癌組織を実時間検出することに世界で初めて成功しました。(補足)また、ナノ‐ランタンを改変してCa2+やcAMP、ATPを検出できる発光プローブの開発にも成功しました。これらの発光プローブは励起光を必要としないため、蛍光タンパク質ではできなかった観察による新たな発見が期待されます。また、光で細胞の活動やタンパク質の機能を制御する「光遺伝学的技術」と組み合わせることが容易です。例えば、神経活動の操作と計測を同時に行うことができるため、複雑で実験が困難であった高次神経活動(行動,思考,記憶)のメカニズムに迫る事が可能となります。

研究成果は2012年12月11日(英国時間2012年12月11日午後4:00、日本時間12月12日午前1:00)にネイチャー・パブリッシンググループ(NPG)「Nature Communications」のオンライン速報版で公開されました。本研究はJST戦略的創造研究推進事業・個人型研究(さきがけ)「光の利用と物質材料・生命機能」研究領域における研究課題「ナノサイズ高輝度バイオ光源の開発と生命機能計測への応用」などの助成によりなされたものです。

(補足)ナノ‐ランタンを発現する腺癌の細胞をICRマウスの体内に移植して撮影

図1.Nano-lantern(Ca2+)模式図
図1.Nano-lantern(Ca2+)模式図

図2.ChR2と共用して得た青色光依存的なCa2+の増加を示す神経様細胞
図2.ChR2と共用して得た青色光依存的なCa2+の増加を示す神経様細胞

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新種のトポロジカル物質を発見-次世代の省エネデバイス開発に向けて大きな進展-

東北大学大学院理学研究科の佐藤宇史准教授、大阪大学産業科学研究所の安藤陽一教授、および東北大学原子分子材料科学高等研究機構の高橋隆教授の研究グループは、40 年以上前から研究されているスズテルル(SnTe)半導体が、全く新しいタイプのトポロジカル物質であることを明らかにしました。この成果は、次世代省エネルギー電子機器を支えるスピントロ二クス注1)材料技術とその産業化に大きく貢献することが期待されます。

本成果は、平成24 年9 月30 日(英国時間)に英国科学雑誌「Nature Physics」オンライン版で公開され、日経産業新聞(10月2日)に掲載されました。

図1.ディラック錐の概念図
図1.
ディラック錐の概念図

図2.SnTe の結晶構造(NaCl 型)。緑枠は鏡映面の一つ。
図2.
SnTe の結晶構造(NaCl 型)。緑枠は鏡映面の一つ。

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哺乳類初期胚の膜ダイナミクス: 胚への栄養供給・分化シグナルを制御するミクロオートファジーの機能解明

生体機能分子科学研究分野の和田 洋准教授、大学院医学系研究科の原田彰宏教授、同志社女子大学薬学部の川村暢幸助教、和田戈虹教授、秋田大学大学院医学系研究科の高須賀俊輔助教、佐々木雄彦教授らの研究グループは、マウスの初期発生胚で、ミクロオートファジーとよばれるユニークな膜ダイナミクスが起きていること、ミクロオートファジーにはrab7※1タンパク質の機能が必要であることを明らかにしました。rab7の機能を喪失したマウス胚は、胚組織の形成が正常に進行しないため受精後6日目以降の形態形成が停止します。一連の研究により、胚が物質・栄養を獲得して、増殖と分化が協調して進行する際、ミクロオートファジーを積極的に利用していることを明らかにし、母体内で受精から形態形成が起きる哺乳動物での母子間相互作用に新たな視点をもたらしました。

本研究成果は英国の科学雑誌「Nature Communications」で9月18日(英国ロンドン時間)公開されます。

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薬剤耐性菌に有効な新規抗生物質シグナマイシンBの開発

近畿大学農学部 内海龍太郎教授、公益財団法人 微生物化学研究会 五十嵐雅之主席研究員、および大阪大学産業科学研究所の岡島俊英准教授らの研究グループは、細菌増殖に必須な情報伝達タンパク質センサーヒスチジンキナーゼを標的とした新規なスクリーニング方法を開発し、新規抗菌物質シグナマイシンBを放線菌の代謝物より単離することに成功致しました。シグナマイシンBはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)などのグラム陽性薬剤耐性菌にも効力があります。その作用機構は、細菌増殖に関与する情報伝達タンパク質センサーヒスチジンキナーゼを阻害することによって、病原菌の細胞分裂・増殖を阻害することによるものであり、既存の抗生物質とは全く異なります。また、センサーヒスチジンキナーゼはヒトを含む高等動物に見出されないばかりか、生物の共通したエネルギー分子であるATPの結合部位とは異なる領域(二量体化ドメイン)を標的とすることから、本化合物は人体に対して副作用の少ない抗生物質となることが期待されます。今回の成果は、細菌情報分子ヒスチジンキナーゼを標的にした阻害型薬剤は、21世紀の医薬において新しいタイプの抗生物質となる可能性を提示したといえます。

本研究は、農業・食品産業技術総合研究機構、異分野融合研究支援事業「環境調和を考慮した細菌情報伝達阻害型薬剤の開発」(平成18〜22年度、技術コーディネーター: 内海龍太郎)の成果であり、科学技術振興機構、A-STEP研究成果最適展開支援事業(平成22〜23年度)ならびに物質・デバイス領域共同研究拠点(一般公募研究)からの支援も一部受けております。この成果はアメリカ感染治療学会発行の学術雑誌Antimicrobial Agents and Chemotherapy、7月号に掲載されるとともに(電子版公開、平成24年4月23日)、関連する記事「院内感染起こすMRSAに効く抗菌物質」が日本経済新聞(7月18日夕刊、都市版14面、地方版1面)にも掲載されました。


図1. シグナマイシンBの阻害機構。シグナマイシンBは細菌増殖に必須な情報伝達タンパク質センサーヒスチジンキナーゼの二量体化ドメインに結合して、その機能を阻害する。

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活性中の金チタニア触媒をリアルタイム・原子スケール観察

担持された金ナノ粒子が触媒となることは良く知られています。その触媒メカニズムを解明できれば新しい触媒の開発や従来の触媒の改良につながります。そのためには、触媒活性中の金ナノ粒子と担体をリアルタイムで直接観察することが必須と考えれられます。
 大阪大学・産業科学研究所の竹田研究室では、環境制御型・透過電子顕微鏡を利用して、一酸化炭素の低温酸化に高い触媒活性をもつ金チタニア触媒(チタニア(TiO2)に担持された金ナノ粒子)について、その活性中の3次元構造(金ナノ粒子および担体TiO2との界面の形態)を解明することに成功しました。本研究は、首都大学東京(東京都)と産業技術総合研究所関西センター(大阪府池田市)の研究グループとの共同研究です。
 透過電子顕微鏡による観察中には、高エネルギーの電子線が触媒に照射されます。そのために触媒の構造が壊れて変化してしまうことがあります。最も典型的な金ナノ粒子触媒である金チタニア触媒は特に電子線照射に弱く、そのために、金チタニア触媒の構造についてはこれまでに異なるモデルが提案されていました。本研究のポイントは、環境制御型・透過電子顕微鏡による観察中に、電子線強度、電子線量や雰囲気(真空、酸素ガス、および触媒活性が現れる一酸化炭素と空気の混合ガス)を系統的に変化させることで現れるさまざまな構造をStructure Evolution Diagram(図1)としてまとめ、そこから、電子線照射の影響のない活性中の金チタニア触媒の構造を導きだしたことです。結果として、金ナノ粒子は、触媒活性中には、表面エネルギーの低いファセットに囲まれた多面体であり、そして、チタニア担体との界面では<110>方向に沿った直線状の辺をもつ多角形となっていました(図2)。今後、触媒活性のメカニズムが、この構造データをもとにして電子論的にも研究されることになるでしょう。
 触媒化学の分野で環境制御型・透過電子顕微鏡が注目され始めています。電子線照射の影響を出来る限り取り除くことができる本研究における系統的な観察・解析法は、今後、活性中のさまざまな触媒の構造を研究していく上で役立つ手法になると期待されます。

この研究成果は、ドイツ化学会発行のAngewandte Chemie International Editionの オンライン版で2012年6月22日に公開され、「Science」誌のEditors’ Choice: Highlights of the recent literature欄で、 “A Glimpse of Gold” として紹介されました。
該当部分のURL:
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/anie.201201283/abstract
Angewandte Chemie International Edition(2012年6月22日)
http://www.sciencemag.org/content/337/6092/twil.full
Science Editors’ Choice

図1 金チタニア触媒の Structure Evolution Diagram。さまざまな雰囲気下において,照射した電子線の強度と線量に応じて変化する触媒の構造をまとめている。図中の緑で表示された適正な観察(照射)条件では、触媒本来の構造が保たれると結論された。この適正観察条件下では、 一酸化炭素と空気の混合ガス(CO/air)中で活性な金チタニア触媒の構造が直接、観察できる。

図2 適正な照射条件下で観察した金チタニア触媒の電子顕微鏡像(左)と、そのモデル図(右)。触媒活性中の金ナノ粒子がファセットに囲まれた多面体形状をしていることや、チタニア担体との界面が<110>方向に沿った辺をもつ多角形になっていることが、観察によって明らかとなった。

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細胞内シグナル伝達の新たな調節メカニズムの解明
(受精卵が分裂する過程で不要な情報を消去する装置がわかった!)
創薬デザインや新規マーカー開発に期待

生体分子機能科学研究分野の和田 洋 准教授らの研究グループは、マウスの初期発生で胚組織のパターンが形成されるには、リソソームとよばれる細胞内小器官での分解が必要であることを明らかにしました。この一連の研究成果は、細胞 細胞間の情報伝達の制御と細胞内分解の関連を組織内であきらかにしたもので、発生や分化のメカニズムに新たな視点をもたらしました。
この研究は、本学大学院生命機能研究科の濱田博司教授、同志社女子大学薬学部の和田戈虹教授、長浜バイオ大学の山本章嗣教授らの協力を得て行いました。
この研究成果は、米国科学雑誌「Developmental Cell」のオンライン速報版で6 月11 日(米国東部標準時)公開されました。

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酸化チタンメソ結晶の合成に成功

光触媒や色素増感型太陽電池の電極材料には、化学的にも安定で、高活性なアナターゼ型二酸化チタン(TiO2)ナノ粒子が幅広く利用されています。一方で、粒子の“無秩序な凝集”によって生じる表面積の低下や界面の不整合が光エネルギーの変換効率を低下させる一因となっていました。
我々は、反応溶液を基板上で焼結させるだけで、ナノメートルサイズのTiO2微粒子が高密度かつ規則的に集積したマイクロメートルサイズの多孔質TiO2メソ結晶を合成することに成功しました。今回開発したメソ結晶は、従来のメソ結晶と比べ大きな比表面積を有しており、また、光触媒活性も同程度の比表面積のナノ粒子系と比べ2倍以上高いことがわかりました。これは、紫外光照射によって生じた電荷がメソ結晶中を高効率に移動できることに起因しています。
 今後、色素増感型太陽電池やリチウムイオン二次電池での利用を目指すほか、環境浄化や水素発生で使う光触媒関連装置への適用も期待されます。
 研究成果はアメリカ化学会発行のJournal of Physical Chemistry Lettersに掲載され(5/10, web)、日刊工業新聞(5/24)、日刊工業新聞オンラインニュース(5/24)でも紹介されました

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DNA1分子のダイナミクス制御に成功

 川合最先端研究開発支援プロジェクトの川合知二特任教授とバイオナノテクノロジー研究分野の谷口正輝教授の共同研究グループは、DNA1分子のダイナミクス制御技術の開発に成功しました。
 安心・安全・健康社会を支える個別化医療を実現するためには、ヒトゲノムを超高速・超低コストで解読する新しいDNAシークエンサーの開発が強く望まれています。現在までに、電気的にDNA1分子の塩基配列を決定する新しい解読法が開発され、1分子DNAシークエンサー開発は応用化・実用化に向けて新しい局面に突入しています。特に、応用化・実用化で要求される高速化・ハイスループット化・高い解読精度を実現するコア技術は、1分子のダイナミクス制御であると考えられています。この新技術の開発を目指し、世界中の大学・企業の激しい開発競争が繰り広げられています。
共同研究グループが開発した1分子ダイナミクスの制御技術は、ナノメートルスケールの幅と高さを持つ流路(ナノ流路)を流れるDNA1分子の速度をゲート電圧で制御する方法です。マイナスに帯電したDNAは、ナノ流路の中を電気泳動により流れます。しかし、電気泳動のみでDNA1分子の流れる速度を制御するのは非常に困難です。そこで、ナノ流路の中にゲート電極を備えたナノデバイスを開発し、ゲート電圧によるDNA1分子の速度変化を調べました。その結果、ゲート電圧により、DNA1分子の速度を約3桁のオーダーで制御できることを明らかにしました。
開発したダイナミクス制御ナノデバイスは、電気的にDNA1分子の塩基配列を決定するナノデバイスとシームレスに1つのデバイス上に集積されるため、新しいDNAシークエンサーの応用化・実用化を飛躍的に推し進めるものと期待されます。
 研究成果は、2012年5月3日(英国時間、日本時間:5月3日)にネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)「Scientific Reports」のオンライン速報版で公開されました。

図1
DNA1分子のダイナミクス制御デバイスの走査電子顕微鏡像と原理図.

図2

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フリースタンディング構造体を用いた電子相メモリ、1/100の省電力駆動化に成功!

 大阪大学産業科学研究所の田中秀和教授、神吉輝夫助教らは、イタリアジェノバ大学Daniel Marré博士、Luca Pellegrino博士らとの共同研究で、機能性酸化物フリースタンディング構造体による強相関電子相メモリの低電力駆動化に成功しました。強相関電子系酸化物は、電流・電圧で、直接電子相の“固体(絶縁体)”“液体(金属)”状態を制御するため超高速・超低消費電力スイッチング・メモリ素子の有力な材料として精力的に研究されています。本研究では、室温で巨大On/Off比効果が期待できる二酸化バナジウム(VO2)を用いて、フリースタンディング構造体を作製し、従来のVO2薄膜素子に比べて1/100の電力で書き込みができる多値メモリ効果を実証しました。
本研究成果は、平成24年4月23日にWiley出版社の科学雑誌「Advanced Materials」のオンライン版で公開されました。

図1

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半導体-金属界面で巨大なラシュバ効果を発見
-次世代の省エネルギーデバイス開発に向けて大きな進展-

 大阪大学産業科学研究所の小口多美夫教授と東北大学大学院理学研究科の高山あかり大学院生と東北大学原子分子材料科学高等研究機構の高橋隆教授らの研究グループは、次世代のスピントロニクスデバイスの動作メカニズムとして注目されている「ラシュバ効果」が、半導体と金属の界面(接合面)で起きていることを突き止めました。観測は、世界最高の分解能を持つ超高分解能スピン分解光電子分光装置を用い、ビスマス薄膜の電子スピン状態を詳しく調べることで行われました。今回の発見は、半導体電子デバイスと同様に、物質の接合面を利用した次世代のスピントロニクスデバイスの開発に大きく道を開くものです。
本研究成果は、4月11日付けの米国化学会誌 Nano Lettersに掲載されました。

図1
図1 ラシュバ公開の模式図

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世界初!有機半導体における電気伝導の圧力に対する全く新しい応答を発見!

大阪大学産業科学研究所 酒井謙一研究員、竹谷純一教授および高輝度光科学研究センター 藤原明比古主席研究員の共同研究グループは、有機トランジスタの電気伝導特性における、巨大かつ符号が反転する異常な圧力効果を発見し、そのメカニズムの解明に成功しました。高圧下で動作する有機トランジスタ構造を開発し、精密な物性測定と大型放射光施設SPring-8の高輝度X線を活用した構造解析を組み合わせることにより、圧力印加による分子回転が電気伝導に及ぼす、有機半導体ならではの新しい物性を明確にとらえることが可能になりました。

この成果を活用することにより、有機トランジスタの出力を圧力により変調することができ、高感度かつ広い圧力範囲で動作する圧力センサーなどへの応用が可能となります。

なお、本成果に関する報告はPhysical Review Letters誌にて2月28日(米国東海岸時間)にオンライン上で掲載され、3月1日に印刷出版される予定です。

圧力とともにDNTT分子の配列が変化する様子
【図1】 圧力とともにDNTT分子の配列が変化する様子

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世界最高性能!
印刷可能な有機TFT液晶ディスプレイの高解像度化に成功
-高速・大画面の高性能フレキシブルディスプレイの早期実現へ-

NEDOのナノテク先端部材・部材実用化研究開発プロジェクトにおいて「革新的な高性能有機トランジスタを用いた薄膜ディスプレイ用マトリックスの開発」を受託した大阪大学 竹谷純一教授らのグループは、高速化と高解像度化(画素サイズ0.5mmx0.5mm、面積比でこれまでの1/9)を両立した有機TFTアクティブマトリックスを用いた液晶ディスプレイを開発しました【図1】。

このディスプレイは、有機半導体を溶液で塗布すると同時に結晶化させる簡便なプロセスと有機半導体にダメージを与えない微細加工プロセスにより、従来の性能をはるかに超える高移動度の有機TFTを微細加工でき、液晶ディスプレイを高速化かつ大面積化できます。

この成果を活用することにより、ロールスクリーンテレビや電子ペーパーなどに利用できる低コストで薄型かつ高性能なフレキシブルディスプレイの開発促進が期待されます。

なお、2013年1月30日~2月1日に開催されるnano tech 2013(東京ビッグサイト)で、このディスプレイを展示します。

新規に開発した有機TFT液晶ディスプレイ
図1.新規に開発した有機TFT液晶ディスプレイ

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有機半導体の高性能化をもたらす塗布技術の開発に成功
〜スーパーインクジェットを用いて、高配向単結晶有機薄膜の形成が可能。フレキシブルデバイスの高性能化に向けて、大きく前進〜

独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)の技術移転ベンチャーの株式会社SIJテクノロジと、国立大学法人大阪大学産業科学研究所の竹谷純一教授および岡本敏宏准教授は、有機トランジスタの性能を大きく左右し、有機半導体薄膜の結晶性を向上させる、超微細インクジェット(スーパーインクジェット:SIJ)を使った高性能有機半導体薄膜の塗布技術の開発に成功しました。今後、更なる材料の探索と塗布条件の最適化を図り、大面積の有機半導体アレイなどへ応用していく予定です。

なお、1月30日~2月1日東京ビッグサイトで行われる「nano tech2013」および「Printable Electronics 2013」に出展します。

SIJで描画した有機半導体結晶薄膜(幅約10μm) 描画に伴い、一方向に乾燥固化するために、方位のそろった単結晶的な高品位な結晶が成長する。
図1.
SIJで描画した有機半導体結晶薄膜(幅約10μm) 描画に伴い、一方向に乾燥固化するために、方位のそろった単結晶的な高品位な結晶が成長する。

図2.市販型研究開発用スーパーインクジェット装置(サブフェムトインクジェット加工装置)
図2.
市販型研究開発用スーパーインクジェット装置
(サブフェムトインクジェット加工装置)

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アナプラズマ症原因細菌によるオートファジー誘導の仕組みを解明 —新規治療法開発への応用に期待!—

産業科学研究所感染制御学研究分野の西野美都子特任助教、長浜バイオ大学アニマルバイオサイエンス学科の山本章嗣教授、米国オハイオ州立大学獣医学部の力久泰子教授らの国際共同研究グループは、ヒト顆粒球アナプラズマ症原因菌が宿主細胞のオートファジーを誘導する機構とその意義について明らかにしました。

ヒト顆粒球アナプラズマ症はマダニによって媒介される人獣共通の感染症で、新興感染症として対応が急がれています。その病原菌のAnaplasma phagocytophilumは、顆粒球内に侵入して増殖します。この病原菌は顆粒球の食胞に取り込まれるとtype IV分泌装置を用いて、Ats-1エフェクタータンパク質を宿主細胞質に分泌します。本研究では、Ats-1がオートファジー必須タンパク質のべクリン1と結合して、オートファジーを誘導することを明らかにしました。本細菌は、宿主のオートファジー経路を乗っ取り、食胞内への栄養供給に用いていると考えられます。本成果は、オートファジーをターゲットにした病原菌の巧妙な増殖戦略の一端を明らかにしたもので、今後、新しい感染症治療法開発への応用が期待されます。

本共同研究成果は、米国科学雑誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」(2012年12月18日付)に掲載されました。

図1. 細菌エフェクタータンパク質Ats-1の局在(緑)
図1. 細菌エフェクタータンパク質Ats-1の局在(緑)

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動き回る小動物体内の組織や生理機能を高感度に検出可能な超高輝度発光タンパク質の開発に成功 –超早期癌の診断法確立に期待!–

大阪大学産業科学研究所生体分子機能科学研究分野の永井健治教授、国立遺伝学研究所の堀川一樹准教授、北海道大学大学院医学研究科の初谷紀幸特任助教、京都大学大学院薬学研究科の樋口ゆり子特定助教らの共同研究グループは、化学発光タンパク質と蛍光タンパク質をハイブリッド化することで、従来よりも10倍以上明るく光る超高輝度化学発光タンパク質Nano-lantern(ナノ‐ランタン)を開発しました。ナノ‐ランタンでマーキングすることにより自由行動下におけるマウス体内の癌組織を実時間検出することに世界で初めて成功しました。(補足)また、ナノ‐ランタンを改変してCa2+やcAMP、ATPを検出できる発光プローブの開発にも成功しました。これらの発光プローブは励起光を必要としないため、蛍光タンパク質ではできなかった観察による新たな発見が期待されます。また、光で細胞の活動やタンパク質の機能を制御する「光遺伝学的技術」と組み合わせることが容易です。例えば、神経活動の操作と計測を同時に行うことができるため、複雑で実験が困難であった高次神経活動(行動,思考,記憶)のメカニズムに迫る事が可能となります。

研究成果は2012年12月11日(英国時間2012年12月11日午後4:00、日本時間12月12日午前1:00)にネイチャー・パブリッシンググループ(NPG)「Nature Communications」のオンライン速報版で公開されました。本研究はJST戦略的創造研究推進事業・個人型研究(さきがけ)「光の利用と物質材料・生命機能」研究領域における研究課題「ナノサイズ高輝度バイオ光源の開発と生命機能計測への応用」などの助成によりなされたものです。

(補足)ナノ‐ランタンを発現する腺癌の細胞をICRマウスの体内に移植して撮影

図1.Nano-lantern(Ca2+)模式図
図1.Nano-lantern(Ca2+)模式図

図2.ChR2と共用して得た青色光依存的なCa2+の増加を示す神経様細胞
図2.ChR2と共用して得た青色光依存的なCa2+の増加を示す神経様細胞

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新種のトポロジカル物質を発見-次世代の省エネデバイス開発に向けて大きな進展-

東北大学大学院理学研究科の佐藤宇史准教授、大阪大学産業科学研究所の安藤陽一教授、および東北大学原子分子材料科学高等研究機構の高橋隆教授の研究グループは、40 年以上前から研究されているスズテルル(SnTe)半導体が、全く新しいタイプのトポロジカル物質であることを明らかにしました。この成果は、次世代省エネルギー電子機器を支えるスピントロ二クス注1)材料技術とその産業化に大きく貢献することが期待されます。

本成果は、平成24 年9 月30 日(英国時間)に英国科学雑誌「Nature Physics」オンライン版で公開され、日経産業新聞(10月2日)に掲載されました。

図1.ディラック錐の概念図
図1.
ディラック錐の概念図

図2.SnTe の結晶構造(NaCl 型)。緑枠は鏡映面の一つ。
図2.
SnTe の結晶構造(NaCl 型)。緑枠は鏡映面の一つ。

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哺乳類初期胚の膜ダイナミクス: 胚への栄養供給・分化シグナルを制御するミクロオートファジーの機能解明

生体機能分子科学研究分野の和田 洋准教授、大学院医学系研究科の原田彰宏教授、同志社女子大学薬学部の川村暢幸助教、和田戈虹教授、秋田大学大学院医学系研究科の高須賀俊輔助教、佐々木雄彦教授らの研究グループは、マウスの初期発生胚で、ミクロオートファジーとよばれるユニークな膜ダイナミクスが起きていること、ミクロオートファジーにはrab7※1タンパク質の機能が必要であることを明らかにしました。rab7の機能を喪失したマウス胚は、胚組織の形成が正常に進行しないため受精後6日目以降の形態形成が停止します。一連の研究により、胚が物質・栄養を獲得して、増殖と分化が協調して進行する際、ミクロオートファジーを積極的に利用していることを明らかにし、母体内で受精から形態形成が起きる哺乳動物での母子間相互作用に新たな視点をもたらしました。

本研究成果は英国の科学雑誌「Nature Communications」で9月18日(英国ロンドン時間)公開されます。

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薬剤耐性菌に有効な新規抗生物質シグナマイシンBの開発

近畿大学農学部 内海龍太郎教授、公益財団法人 微生物化学研究会 五十嵐雅之主席研究員、および大阪大学産業科学研究所の岡島俊英准教授らの研究グループは、細菌増殖に必須な情報伝達タンパク質センサーヒスチジンキナーゼを標的とした新規なスクリーニング方法を開発し、新規抗菌物質シグナマイシンBを放線菌の代謝物より単離することに成功致しました。シグナマイシンBはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)などのグラム陽性薬剤耐性菌にも効力があります。その作用機構は、細菌増殖に関与する情報伝達タンパク質センサーヒスチジンキナーゼを阻害することによって、病原菌の細胞分裂・増殖を阻害することによるものであり、既存の抗生物質とは全く異なります。また、センサーヒスチジンキナーゼはヒトを含む高等動物に見出されないばかりか、生物の共通したエネルギー分子であるATPの結合部位とは異なる領域(二量体化ドメイン)を標的とすることから、本化合物は人体に対して副作用の少ない抗生物質となることが期待されます。今回の成果は、細菌情報分子ヒスチジンキナーゼを標的にした阻害型薬剤は、21世紀の医薬において新しいタイプの抗生物質となる可能性を提示したといえます。

本研究は、農業・食品産業技術総合研究機構、異分野融合研究支援事業「環境調和を考慮した細菌情報伝達阻害型薬剤の開発」(平成18〜22年度、技術コーディネーター: 内海龍太郎)の成果であり、科学技術振興機構、A-STEP研究成果最適展開支援事業(平成22〜23年度)ならびに物質・デバイス領域共同研究拠点(一般公募研究)からの支援も一部受けております。この成果はアメリカ感染治療学会発行の学術雑誌Antimicrobial Agents and Chemotherapy、7月号に掲載されるとともに(電子版公開、平成24年4月23日)、関連する記事「院内感染起こすMRSAに効く抗菌物質」が日本経済新聞(7月18日夕刊、都市版14面、地方版1面)にも掲載されました。


図1. シグナマイシンBの阻害機構。シグナマイシンBは細菌増殖に必須な情報伝達タンパク質センサーヒスチジンキナーゼの二量体化ドメインに結合して、その機能を阻害する。

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活性中の金チタニア触媒をリアルタイム・原子スケール観察

担持された金ナノ粒子が触媒となることは良く知られています。その触媒メカニズムを解明できれば新しい触媒の開発や従来の触媒の改良につながります。そのためには、触媒活性中の金ナノ粒子と担体をリアルタイムで直接観察することが必須と考えれられます。
 大阪大学・産業科学研究所の竹田研究室では、環境制御型・透過電子顕微鏡を利用して、一酸化炭素の低温酸化に高い触媒活性をもつ金チタニア触媒(チタニア(TiO2)に担持された金ナノ粒子)について、その活性中の3次元構造(金ナノ粒子および担体TiO2との界面の形態)を解明することに成功しました。本研究は、首都大学東京(東京都)と産業技術総合研究所関西センター(大阪府池田市)の研究グループとの共同研究です。
 透過電子顕微鏡による観察中には、高エネルギーの電子線が触媒に照射されます。そのために触媒の構造が壊れて変化してしまうことがあります。最も典型的な金ナノ粒子触媒である金チタニア触媒は特に電子線照射に弱く、そのために、金チタニア触媒の構造についてはこれまでに異なるモデルが提案されていました。本研究のポイントは、環境制御型・透過電子顕微鏡による観察中に、電子線強度、電子線量や雰囲気(真空、酸素ガス、および触媒活性が現れる一酸化炭素と空気の混合ガス)を系統的に変化させることで現れるさまざまな構造をStructure Evolution Diagram(図1)としてまとめ、そこから、電子線照射の影響のない活性中の金チタニア触媒の構造を導きだしたことです。結果として、金ナノ粒子は、触媒活性中には、表面エネルギーの低いファセットに囲まれた多面体であり、そして、チタニア担体との界面では<110>方向に沿った直線状の辺をもつ多角形となっていました(図2)。今後、触媒活性のメカニズムが、この構造データをもとにして電子論的にも研究されることになるでしょう。
 触媒化学の分野で環境制御型・透過電子顕微鏡が注目され始めています。電子線照射の影響を出来る限り取り除くことができる本研究における系統的な観察・解析法は、今後、活性中のさまざまな触媒の構造を研究していく上で役立つ手法になると期待されます。

この研究成果は、ドイツ化学会発行のAngewandte Chemie International Editionの オンライン版で2012年6月22日に公開され、「Science」誌のEditors’ Choice: Highlights of the recent literature欄で、 “A Glimpse of Gold” として紹介されました。
該当部分のURL:
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/anie.201201283/abstract
Angewandte Chemie International Edition(2012年6月22日)
http://www.sciencemag.org/content/337/6092/twil.full
Science Editors’ Choice

図1 金チタニア触媒の Structure Evolution Diagram。さまざまな雰囲気下において,照射した電子線の強度と線量に応じて変化する触媒の構造をまとめている。図中の緑で表示された適正な観察(照射)条件では、触媒本来の構造が保たれると結論された。この適正観察条件下では、 一酸化炭素と空気の混合ガス(CO/air)中で活性な金チタニア触媒の構造が直接、観察できる。

図2 適正な照射条件下で観察した金チタニア触媒の電子顕微鏡像(左)と、そのモデル図(右)。触媒活性中の金ナノ粒子がファセットに囲まれた多面体形状をしていることや、チタニア担体との界面が<110>方向に沿った辺をもつ多角形になっていることが、観察によって明らかとなった。

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細胞内シグナル伝達の新たな調節メカニズムの解明
(受精卵が分裂する過程で不要な情報を消去する装置がわかった!)
創薬デザインや新規マーカー開発に期待

生体分子機能科学研究分野の和田 洋 准教授らの研究グループは、マウスの初期発生で胚組織のパターンが形成されるには、リソソームとよばれる細胞内小器官での分解が必要であることを明らかにしました。この一連の研究成果は、細胞 細胞間の情報伝達の制御と細胞内分解の関連を組織内であきらかにしたもので、発生や分化のメカニズムに新たな視点をもたらしました。
この研究は、本学大学院生命機能研究科の濱田博司教授、同志社女子大学薬学部の和田戈虹教授、長浜バイオ大学の山本章嗣教授らの協力を得て行いました。
この研究成果は、米国科学雑誌「Developmental Cell」のオンライン速報版で6 月11 日(米国東部標準時)公開されました。

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酸化チタンメソ結晶の合成に成功

光触媒や色素増感型太陽電池の電極材料には、化学的にも安定で、高活性なアナターゼ型二酸化チタン(TiO2)ナノ粒子が幅広く利用されています。一方で、粒子の“無秩序な凝集”によって生じる表面積の低下や界面の不整合が光エネルギーの変換効率を低下させる一因となっていました。
我々は、反応溶液を基板上で焼結させるだけで、ナノメートルサイズのTiO2微粒子が高密度かつ規則的に集積したマイクロメートルサイズの多孔質TiO2メソ結晶を合成することに成功しました。今回開発したメソ結晶は、従来のメソ結晶と比べ大きな比表面積を有しており、また、光触媒活性も同程度の比表面積のナノ粒子系と比べ2倍以上高いことがわかりました。これは、紫外光照射によって生じた電荷がメソ結晶中を高効率に移動できることに起因しています。
 今後、色素増感型太陽電池やリチウムイオン二次電池での利用を目指すほか、環境浄化や水素発生で使う光触媒関連装置への適用も期待されます。
 研究成果はアメリカ化学会発行のJournal of Physical Chemistry Lettersに掲載され(5/10, web)、日刊工業新聞(5/24)、日刊工業新聞オンラインニュース(5/24)でも紹介されました

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DNA1分子のダイナミクス制御に成功

 川合最先端研究開発支援プロジェクトの川合知二特任教授とバイオナノテクノロジー研究分野の谷口正輝教授の共同研究グループは、DNA1分子のダイナミクス制御技術の開発に成功しました。
 安心・安全・健康社会を支える個別化医療を実現するためには、ヒトゲノムを超高速・超低コストで解読する新しいDNAシークエンサーの開発が強く望まれています。現在までに、電気的にDNA1分子の塩基配列を決定する新しい解読法が開発され、1分子DNAシークエンサー開発は応用化・実用化に向けて新しい局面に突入しています。特に、応用化・実用化で要求される高速化・ハイスループット化・高い解読精度を実現するコア技術は、1分子のダイナミクス制御であると考えられています。この新技術の開発を目指し、世界中の大学・企業の激しい開発競争が繰り広げられています。
共同研究グループが開発した1分子ダイナミクスの制御技術は、ナノメートルスケールの幅と高さを持つ流路(ナノ流路)を流れるDNA1分子の速度をゲート電圧で制御する方法です。マイナスに帯電したDNAは、ナノ流路の中を電気泳動により流れます。しかし、電気泳動のみでDNA1分子の流れる速度を制御するのは非常に困難です。そこで、ナノ流路の中にゲート電極を備えたナノデバイスを開発し、ゲート電圧によるDNA1分子の速度変化を調べました。その結果、ゲート電圧により、DNA1分子の速度を約3桁のオーダーで制御できることを明らかにしました。
開発したダイナミクス制御ナノデバイスは、電気的にDNA1分子の塩基配列を決定するナノデバイスとシームレスに1つのデバイス上に集積されるため、新しいDNAシークエンサーの応用化・実用化を飛躍的に推し進めるものと期待されます。
 研究成果は、2012年5月3日(英国時間、日本時間:5月3日)にネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)「Scientific Reports」のオンライン速報版で公開されました。

図1
DNA1分子のダイナミクス制御デバイスの走査電子顕微鏡像と原理図.

図2

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フリースタンディング構造体を用いた電子相メモリ、1/100の省電力駆動化に成功!

 大阪大学産業科学研究所の田中秀和教授、神吉輝夫助教らは、イタリアジェノバ大学Daniel Marré博士、Luca Pellegrino博士らとの共同研究で、機能性酸化物フリースタンディング構造体による強相関電子相メモリの低電力駆動化に成功しました。強相関電子系酸化物は、電流・電圧で、直接電子相の“固体(絶縁体)”“液体(金属)”状態を制御するため超高速・超低消費電力スイッチング・メモリ素子の有力な材料として精力的に研究されています。本研究では、室温で巨大On/Off比効果が期待できる二酸化バナジウム(VO2)を用いて、フリースタンディング構造体を作製し、従来のVO2薄膜素子に比べて1/100の電力で書き込みができる多値メモリ効果を実証しました。
本研究成果は、平成24年4月23日にWiley出版社の科学雑誌「Advanced Materials」のオンライン版で公開されました。

図1

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半導体-金属界面で巨大なラシュバ効果を発見
-次世代の省エネルギーデバイス開発に向けて大きな進展-

 大阪大学産業科学研究所の小口多美夫教授と東北大学大学院理学研究科の高山あかり大学院生と東北大学原子分子材料科学高等研究機構の高橋隆教授らの研究グループは、次世代のスピントロニクスデバイスの動作メカニズムとして注目されている「ラシュバ効果」が、半導体と金属の界面(接合面)で起きていることを突き止めました。観測は、世界最高の分解能を持つ超高分解能スピン分解光電子分光装置を用い、ビスマス薄膜の電子スピン状態を詳しく調べることで行われました。今回の発見は、半導体電子デバイスと同様に、物質の接合面を利用した次世代のスピントロニクスデバイスの開発に大きく道を開くものです。
本研究成果は、4月11日付けの米国化学会誌 Nano Lettersに掲載されました。

図1
図1 ラシュバ公開の模式図

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