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研究成果

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肉眼でも観察できる!従来の20倍光るタンパク質を開発

大阪大学産業科学研究所の永井健治教授、理化学研究所生命システム研究センターの岡田康志チームリーダーらの研究チームは、2012年に開発した黄緑色の超高光度発光タンパク質Nano-lantern(ナノ・ランタン※1)を改良して、さらに明るく光る青緑(シアン)色およびオレンジ色の超高光度発光タンパク質の開発に成功しました。いずれも従来の発光タンパク質の20倍程度明るく光るため、特殊な超高感度カメラを使わなくとも、肉眼やスマートフォンのカメラでその発光を観察することが出来ます。

また、3色の色違いのナノ・ランタンが完成したことにより、細胞内の微細な構造の動態や遺伝子の発現を複数同時に計測することが初めて可能となり、万能細胞(ES細胞)の万能性維持に重要な3つの遺伝子の発現の様子を同時に観察することに世界で初めて成功しました。万能細胞の研究では、蛍光タンパク質を用いる際の自家蛍光※2や光毒性※3の影響が問題となっていました。ナノ・ランタンは、外部からの励起光を必要としないため、自家蛍光や光毒性の影響を全く受けません。従って、再生医療の研究において大きな貢献が期待されます。

さらに、ナノ・ランタンを改変して細胞内カルシウムを検出できるシアンおよびオレンジ色の発光指示薬の開発に成功しました。これらの発光指示薬は、外部からの照明光を必要とせず自ら発光するため、光で細胞の活動やタンパク質の機能を制御する光遺伝学的技術※4との組み合わせが容易です。神経活動の操作と計測を同時に行うことが可能となり、脳のメカニズムの研究への応用が期待されます。

本研究成果は、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS))(3月23日(月)(米国東部時間)) のオンライン版で掲載されました。

詳しくは、プレスリリースをご覧ください。

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ナノ・ランタン波長変異体とそれらを用いた発光イメージングによる遺伝子発現解析。スケールバーは100 μm

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普通の金属にトポロジカルな性質を付与することに成功-次世代省エネ電子機器の開発へ新たな道-

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の高山あかり研究員(現東京大学大学院理学系研究科助教)と高橋隆教授、同大学院理学研究科佐藤宇史准教授、大阪大学産業科学研究所小口多美夫教授らの研究グループは、ビスマス(Bi)金属薄膜の端(エッジ)で、電子の運動方向と連動してスピンの向きが揃う「ラシュバ効果」が起きていることを世界で初めて突き止めました。

ラシュバ効果は、磁石の性質を持っていない物質でも、電子のスピンの向きを揃えることができるため、次世代スピントロニクスデバイス注3)の動作メカニズムとして注目されています。これまで様々な物質で薄膜表面のラシュバ効果は観測されており、それを利用した素子の作成も研究されていますが、ラシュバ効果が表面や界面などの2次元面でおきる現象であることから、小型化には限界があると考えられていました。今回の研究で観測されたエッジでのラシュバ効果は、表面でのラシュバ効果よりも少ない電力で特定方向にスピンを揃えることができ、1次元のエッジでスピンの方向が制御できるため素子の小型化が期待できるなど、小型で省エネルギーなスピントロニクス素子の開発に道を拓くものです。

本成果は、平成27年2月9日(米国時間)に、米国物理学誌「Physical Review Letters」オンライン版で公開されます。

詳しくは、こちらをご覧ください。

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金属薄膜のエッジにおける 異常な電子スピンの偏りを発見 -省エネ・小型スピントロニクス素子開発へ新たな道-

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の高山あかり研究員(現東京大学大学院理学系研究科助教)と高橋隆教授、同大学院理学研究科佐藤宇史准教授、大阪大学産業科学研究所小口多美夫教授らの研究グループは、ビスマス(Bi)金属薄膜の端(エッジ)で、電子の運動方向と連動してスピンの向きが揃う「ラシュバ効果」が起きていることを世界で初めて突き止めました。

ラシュバ効果は、磁石の性質を持っていない物質でも、電子のスピンの向きを揃えることができるため、次世代スピントロニクスデバイス注3)の動作メカニズムとして注目されています。これまで様々な物質で薄膜表面のラシュバ効果は観測されており、それを利用した素子の作成も研究されていますが、ラシュバ効果が表面や界面などの2次元面でおきる現象であることから、小型化には限界があると考えられていました。今回の研究で観測されたエッジでのラシュバ効果は、表面でのラシュバ効果よりも少ない電力で特定方向にスピンを揃えることができ、1次元のエッジでスピンの方向が制御できるため素子の小型化が期待できるなど、小型で省エネルギーなスピントロニクス素子の開発に道を拓くものです。

本成果は、平成27年2月9日(米国時間)に、米国物理学誌「Physical Review Letters」オンライン版で公開されます。

詳しくは、こちらをご覧ください。

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Bi薄膜の構造の模式図
通常の結晶は3次元、最表面は2次元の構造をもち、表面が不連続な場合は境界がエッジになる。エッジでは電子スピンの方向に偏りがあり、その方向はエッジによって異なる。

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谷口 正輝教授が「ナイスステップな研究者」に選ばれました。

大阪大学 産業科学研究所の谷口正輝教授が、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が選定する「ナイスステップな研究者」に選ばれました。「ナイスステップな研究者」は、科学技術・学術政策研究所が、2005年より科学技術の振興・普及への顕著な貢献をされた方々を選定しているものです。

個々人に対応したオーダーメード医療など、遺伝子診断を用いた高度な医療を普及するためには、DNAなどがもつ塩基配列を高精度・高速で、かつ簡便に解析できる手法と装置の開発が必要とされています。しかし現行の手法では、解析に要する時間が長く、装置が高価で小型化にも限界があることが課題となっていました。

谷口氏らはトンネル電流でDNAの塩基配列を電気的に識別できる技術を応用し、半導体プロセス技術を適用してシリコン基板上にデバイスとして集積・形成することで、1分子単位で計測できる高精度で高速解析が可能な手法を開発しました。

この1分子単位の解析技術では、従来よりも高精度で、かつ高速解析が可能で、さらに集積化した電子デバイスによって計測できるため、装置の小型化の実現が期待されております。

詳しくは、こちらをご覧ください。

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ペプチドシークエンサーの動作原理を実証 創薬への応用に期待

創薬への応用が期待されます。

化学処理しないでそのままペプチドのアミノ酸配列を決定するペプチドシークエンサーは、これまで開発されておらず、夢の装置と考えられてきました。

共同研究グループは、半導体技術を用いて、約1ナノメートルの電極間距離を持つナノギャップ電極を作製し、1個のアミノ酸分子を流れる電流により、ペプチドの部分アミノ酸配列の決定に成功しました。また、酵素などのたんぱく質機能をスイッチする修飾アミノ酸分子の識別にも成功しました。

個別化医療の実現に向けて、遺伝子解析と同様に、タンパク質・ペプチドの超高速・超低コストなアミノ酸配列解析法の実現が期待されています。特に、ペプチドは、創薬のターゲットになっており、ペプチドシークエンサーの重要性は高まっています。しかし、これまで化学処理を必要としないペプチドシークエンサーが開発されることはありませんでした。

ペプチドシークエンシング技術は、1分子の電気抵抗を計測するこれまでの技術とは全く異なる原理で動作しており、これまで解析が出来なかったペプチド解析の実現が期待されます。この開発した1分子解析技術は、ペプチドシークエンシング技術の基礎研究を応用化・実用化研究へと展開する最も重要な概念実証であり、今後の研究開発を飛躍的に推し進めると期待されます。

研究成果は、2014年9月14日(英国時間、日本時間:9月15日午前2時)にネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)「Nature Nanotechnology」のオンライン速報版で公開されました。本研究は、日本学術振興会の最先端研究開発支援プログラムと科学研究費補助金基盤研究(S)により、助成を受けたものです。

ペプチドシークエンサーの原理図
ペプチドシークエンサーの原理図
1つ1つのアミノ酸の電気抵抗の違いを読みだす。

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安藤陽一教授 第32回(平成26年度) 大阪科学賞 受賞

大阪大学産業科学研究所の安藤陽一教授が第32回大阪科学賞を受賞されました。同賞は、大阪を中心とした地域において科学および新技術の発展に著しく寄与した研究者を毎年2名選び、顕彰するものです。

近年、物質の性質を研究する物性物理学の分野で、トポロジカル絶縁体やトポロジカル超伝導体と呼ばれる新規物質が大きな注目を集めています。しかし適切なモデル物質の欠如が研究の進展を阻んでいました。安藤教授は世界に先駆けてバルク絶縁性の高いトポロジカル絶縁体物質を開発し、マイルストーンとなる「表面支配伝導」を初めて実現しました。また、「トポロジカル結晶絶縁体」という新しい種類のトポロジカル絶縁体の存在を初めて実証し、トポロジカル物質の概念を大きく広げることにも貢献しました。さらに、トポロジカル絶縁体由来の超伝導体CuxBi2Se3の表面に新奇なマヨラナ粒子が現れている可能性を示す証拠を初めて捉え、トポロジカル超伝導体の研究を大きく進展させるきっかけを作りました。これらの成果は、世界的に注目されているホットな研究分野で日本を最先端国の一つに押し上げる効果をもたらし、将来的にはトポロジカル物質の応用を通して情報処理技術の革新に貢献することが期待されます。表彰式・記念講演につきましては10月29日(水)16時30分から大阪科学技術センタービル8階大ホールにて行われます。

詳しくは、こちらをご覧ください。

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光線力学的療法(PDT)において発生する細胞内一重項酸素の新しい蛍光プローブ

励起分子化学研究分野の真嶋哲朗教授らは、光線力学的療法(PDT)において発生する細胞内一重項酸素を場所選択的に検出できる新しい赤色蛍光プローブを開発しました。

光線力学的療法(PDT)において、光照射により一重項酸素(1O2)が発生し、その反応により細胞毒性が発現すると考えられています。実際の医療現場でも、PDTによって細胞内に発生する1O2の総量は、治療程度や効率と直接的な影響を与えるため、画像診断と治療の融合の実現において、1O2の発生と変化を実時間観察することは非常に重要です。これまで1O2を検出する従来技術として、1O2の燐光の測定、および1O2との反応によって発光する蛍光プローブを使用する方法が主に実施されてきました。しかし、低強度の燐光を検出するためには特殊な検出器が必要であり現実的ではなく、その空間分解能も一細胞レベルにとどまっています。一方、燐光に比較して検出が容易なことから、1O2検出用の蛍光プローブが広く使用されてきました。その中で最も広く使われている市販品のSinglet Oxygen Sensor Green(Molecular Probes®)は、細胞内への透過性が悪く、また自己酸化して分解するなどの問題があります。そこで、細胞内に容易に導入され、細胞内1O2を効率よく検出する新たな蛍光プローブ開発が必要不可欠であります。

そこで我々は、PDT療法の主要な細胞内小器官のターゲットであるミトコンドリアに浸透し、その内膜で共存している光増感剤から発生する1O2を場所選択的に検出可能な赤色蛍光プローブSi-DMAの開発に成功しました。細胞内1O2を検出できる蛍光プローブは、他の活性酸素種のプローブに比べて非常に少数が報告されているのみであり、さらに、細胞内で光増感剤との高い場所選択性を持っている蛍光プローブは、これまで全く報告例がなく、世界最初の例であります。

研究成果は、アメリカ化学会のJ. Am. Chem. Soc.に掲載され(DOI: 10.1021/ja504279r)、8月1日の日刊工業新聞に紹介されました。

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肉眼でも観察できる!従来の20倍光るタンパク質を開発

大阪大学産業科学研究所の永井健治教授、理化学研究所生命システム研究センターの岡田康志チームリーダーらの研究チームは、2012年に開発した黄緑色の超高光度発光タンパク質Nano-lantern(ナノ・ランタン※1)を改良して、さらに明るく光る青緑(シアン)色およびオレンジ色の超高光度発光タンパク質の開発に成功しました。いずれも従来の発光タンパク質の20倍程度明るく光るため、特殊な超高感度カメラを使わなくとも、肉眼やスマートフォンのカメラでその発光を観察することが出来ます。

また、3色の色違いのナノ・ランタンが完成したことにより、細胞内の微細な構造の動態や遺伝子の発現を複数同時に計測することが初めて可能となり、万能細胞(ES細胞)の万能性維持に重要な3つの遺伝子の発現の様子を同時に観察することに世界で初めて成功しました。万能細胞の研究では、蛍光タンパク質を用いる際の自家蛍光※2や光毒性※3の影響が問題となっていました。ナノ・ランタンは、外部からの励起光を必要としないため、自家蛍光や光毒性の影響を全く受けません。従って、再生医療の研究において大きな貢献が期待されます。

さらに、ナノ・ランタンを改変して細胞内カルシウムを検出できるシアンおよびオレンジ色の発光指示薬の開発に成功しました。これらの発光指示薬は、外部からの照明光を必要とせず自ら発光するため、光で細胞の活動やタンパク質の機能を制御する光遺伝学的技術※4との組み合わせが容易です。神経活動の操作と計測を同時に行うことが可能となり、脳のメカニズムの研究への応用が期待されます。

本研究成果は、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS))(3月23日(月)(米国東部時間)) のオンライン版で掲載されました。

詳しくは、プレスリリースをご覧ください。

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ナノ・ランタン波長変異体とそれらを用いた発光イメージングによる遺伝子発現解析。スケールバーは100 μm

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普通の金属にトポロジカルな性質を付与することに成功-次世代省エネ電子機器の開発へ新たな道-

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の高山あかり研究員(現東京大学大学院理学系研究科助教)と高橋隆教授、同大学院理学研究科佐藤宇史准教授、大阪大学産業科学研究所小口多美夫教授らの研究グループは、ビスマス(Bi)金属薄膜の端(エッジ)で、電子の運動方向と連動してスピンの向きが揃う「ラシュバ効果」が起きていることを世界で初めて突き止めました。

ラシュバ効果は、磁石の性質を持っていない物質でも、電子のスピンの向きを揃えることができるため、次世代スピントロニクスデバイス注3)の動作メカニズムとして注目されています。これまで様々な物質で薄膜表面のラシュバ効果は観測されており、それを利用した素子の作成も研究されていますが、ラシュバ効果が表面や界面などの2次元面でおきる現象であることから、小型化には限界があると考えられていました。今回の研究で観測されたエッジでのラシュバ効果は、表面でのラシュバ効果よりも少ない電力で特定方向にスピンを揃えることができ、1次元のエッジでスピンの方向が制御できるため素子の小型化が期待できるなど、小型で省エネルギーなスピントロニクス素子の開発に道を拓くものです。

本成果は、平成27年2月9日(米国時間)に、米国物理学誌「Physical Review Letters」オンライン版で公開されます。

詳しくは、こちらをご覧ください。

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金属薄膜のエッジにおける 異常な電子スピンの偏りを発見 -省エネ・小型スピントロニクス素子開発へ新たな道-

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の高山あかり研究員(現東京大学大学院理学系研究科助教)と高橋隆教授、同大学院理学研究科佐藤宇史准教授、大阪大学産業科学研究所小口多美夫教授らの研究グループは、ビスマス(Bi)金属薄膜の端(エッジ)で、電子の運動方向と連動してスピンの向きが揃う「ラシュバ効果」が起きていることを世界で初めて突き止めました。

ラシュバ効果は、磁石の性質を持っていない物質でも、電子のスピンの向きを揃えることができるため、次世代スピントロニクスデバイス注3)の動作メカニズムとして注目されています。これまで様々な物質で薄膜表面のラシュバ効果は観測されており、それを利用した素子の作成も研究されていますが、ラシュバ効果が表面や界面などの2次元面でおきる現象であることから、小型化には限界があると考えられていました。今回の研究で観測されたエッジでのラシュバ効果は、表面でのラシュバ効果よりも少ない電力で特定方向にスピンを揃えることができ、1次元のエッジでスピンの方向が制御できるため素子の小型化が期待できるなど、小型で省エネルギーなスピントロニクス素子の開発に道を拓くものです。

本成果は、平成27年2月9日(米国時間)に、米国物理学誌「Physical Review Letters」オンライン版で公開されます。

詳しくは、こちらをご覧ください。

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Bi薄膜の構造の模式図
通常の結晶は3次元、最表面は2次元の構造をもち、表面が不連続な場合は境界がエッジになる。エッジでは電子スピンの方向に偏りがあり、その方向はエッジによって異なる。

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谷口 正輝教授が「ナイスステップな研究者」に選ばれました。

大阪大学 産業科学研究所の谷口正輝教授が、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が選定する「ナイスステップな研究者」に選ばれました。「ナイスステップな研究者」は、科学技術・学術政策研究所が、2005年より科学技術の振興・普及への顕著な貢献をされた方々を選定しているものです。

個々人に対応したオーダーメード医療など、遺伝子診断を用いた高度な医療を普及するためには、DNAなどがもつ塩基配列を高精度・高速で、かつ簡便に解析できる手法と装置の開発が必要とされています。しかし現行の手法では、解析に要する時間が長く、装置が高価で小型化にも限界があることが課題となっていました。

谷口氏らはトンネル電流でDNAの塩基配列を電気的に識別できる技術を応用し、半導体プロセス技術を適用してシリコン基板上にデバイスとして集積・形成することで、1分子単位で計測できる高精度で高速解析が可能な手法を開発しました。

この1分子単位の解析技術では、従来よりも高精度で、かつ高速解析が可能で、さらに集積化した電子デバイスによって計測できるため、装置の小型化の実現が期待されております。

詳しくは、こちらをご覧ください。

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ペプチドシークエンサーの動作原理を実証 創薬への応用に期待

創薬への応用が期待されます。

化学処理しないでそのままペプチドのアミノ酸配列を決定するペプチドシークエンサーは、これまで開発されておらず、夢の装置と考えられてきました。

共同研究グループは、半導体技術を用いて、約1ナノメートルの電極間距離を持つナノギャップ電極を作製し、1個のアミノ酸分子を流れる電流により、ペプチドの部分アミノ酸配列の決定に成功しました。また、酵素などのたんぱく質機能をスイッチする修飾アミノ酸分子の識別にも成功しました。

個別化医療の実現に向けて、遺伝子解析と同様に、タンパク質・ペプチドの超高速・超低コストなアミノ酸配列解析法の実現が期待されています。特に、ペプチドは、創薬のターゲットになっており、ペプチドシークエンサーの重要性は高まっています。しかし、これまで化学処理を必要としないペプチドシークエンサーが開発されることはありませんでした。

ペプチドシークエンシング技術は、1分子の電気抵抗を計測するこれまでの技術とは全く異なる原理で動作しており、これまで解析が出来なかったペプチド解析の実現が期待されます。この開発した1分子解析技術は、ペプチドシークエンシング技術の基礎研究を応用化・実用化研究へと展開する最も重要な概念実証であり、今後の研究開発を飛躍的に推し進めると期待されます。

研究成果は、2014年9月14日(英国時間、日本時間:9月15日午前2時)にネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)「Nature Nanotechnology」のオンライン速報版で公開されました。本研究は、日本学術振興会の最先端研究開発支援プログラムと科学研究費補助金基盤研究(S)により、助成を受けたものです。

ペプチドシークエンサーの原理図
ペプチドシークエンサーの原理図
1つ1つのアミノ酸の電気抵抗の違いを読みだす。

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安藤陽一教授 第32回(平成26年度) 大阪科学賞 受賞

大阪大学産業科学研究所の安藤陽一教授が第32回大阪科学賞を受賞されました。同賞は、大阪を中心とした地域において科学および新技術の発展に著しく寄与した研究者を毎年2名選び、顕彰するものです。

近年、物質の性質を研究する物性物理学の分野で、トポロジカル絶縁体やトポロジカル超伝導体と呼ばれる新規物質が大きな注目を集めています。しかし適切なモデル物質の欠如が研究の進展を阻んでいました。安藤教授は世界に先駆けてバルク絶縁性の高いトポロジカル絶縁体物質を開発し、マイルストーンとなる「表面支配伝導」を初めて実現しました。また、「トポロジカル結晶絶縁体」という新しい種類のトポロジカル絶縁体の存在を初めて実証し、トポロジカル物質の概念を大きく広げることにも貢献しました。さらに、トポロジカル絶縁体由来の超伝導体CuxBi2Se3の表面に新奇なマヨラナ粒子が現れている可能性を示す証拠を初めて捉え、トポロジカル超伝導体の研究を大きく進展させるきっかけを作りました。これらの成果は、世界的に注目されているホットな研究分野で日本を最先端国の一つに押し上げる効果をもたらし、将来的にはトポロジカル物質の応用を通して情報処理技術の革新に貢献することが期待されます。表彰式・記念講演につきましては10月29日(水)16時30分から大阪科学技術センタービル8階大ホールにて行われます。

詳しくは、こちらをご覧ください。

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光線力学的療法(PDT)において発生する細胞内一重項酸素の新しい蛍光プローブ

励起分子化学研究分野の真嶋哲朗教授らは、光線力学的療法(PDT)において発生する細胞内一重項酸素を場所選択的に検出できる新しい赤色蛍光プローブを開発しました。

光線力学的療法(PDT)において、光照射により一重項酸素(1O2)が発生し、その反応により細胞毒性が発現すると考えられています。実際の医療現場でも、PDTによって細胞内に発生する1O2の総量は、治療程度や効率と直接的な影響を与えるため、画像診断と治療の融合の実現において、1O2の発生と変化を実時間観察することは非常に重要です。これまで1O2を検出する従来技術として、1O2の燐光の測定、および1O2との反応によって発光する蛍光プローブを使用する方法が主に実施されてきました。しかし、低強度の燐光を検出するためには特殊な検出器が必要であり現実的ではなく、その空間分解能も一細胞レベルにとどまっています。一方、燐光に比較して検出が容易なことから、1O2検出用の蛍光プローブが広く使用されてきました。その中で最も広く使われている市販品のSinglet Oxygen Sensor Green(Molecular Probes®)は、細胞内への透過性が悪く、また自己酸化して分解するなどの問題があります。そこで、細胞内に容易に導入され、細胞内1O2を効率よく検出する新たな蛍光プローブ開発が必要不可欠であります。

そこで我々は、PDT療法の主要な細胞内小器官のターゲットであるミトコンドリアに浸透し、その内膜で共存している光増感剤から発生する1O2を場所選択的に検出可能な赤色蛍光プローブSi-DMAの開発に成功しました。細胞内1O2を検出できる蛍光プローブは、他の活性酸素種のプローブに比べて非常に少数が報告されているのみであり、さらに、細胞内で光増感剤との高い場所選択性を持っている蛍光プローブは、これまで全く報告例がなく、世界最初の例であります。

研究成果は、アメリカ化学会のJ. Am. Chem. Soc.に掲載され(DOI: 10.1021/ja504279r)、8月1日の日刊工業新聞に紹介されました。

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