大阪大学 産業科学研究所

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研究成果

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金ナノロッド/二酸化チタンメソ結晶の可視・近赤外光触媒作用による高効率水素発生

励起分子化学研究分野 真嶋哲朗教授の研究グループは、金ナノロッドを二酸化チタン(TiO2)メソ結晶に担持させた複合体が、可視・近赤外光照射下で光触媒として働き、水からの非常に高効率な水素発生を起こすことを見出しました。
 2012年に、真嶋教授らは、TiO2ナノ粒子結晶を高密度かつ規則的にマイクロメートルサイズに集積させたTiO2ナノ粒子超構造体(TiO2メソ結晶)を合成する簡便で応用性の高い方法を開発しました。このTiO2メソ結晶では、ナノ粒子の無秩序な凝集によって生じる表面積の低下や界面の不整合による電荷移動効率の低下を克服でき、ナノ粒子間で高効率電荷移動が起こり、電荷が長寿命化し、高伝導性、高光触媒特性を示します。
 TiO2は幅広いバンドギャップ(3.2 eV)を持つ半導体であり、太陽光の僅か3-4%の紫外光のみで励起され光触媒として働くことはよく知られています。そこで太陽光を有効に利用するためには、紫外光のみでなく、可視・近赤外光までの広帯域の光を吸収する物質(光増感剤)との複合化が必要です。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)ピークを390 – 460 nmに持つ銀ナノ粒子や、520 – 640 nmに持つ金ナノ粒子を光増感剤として使用することによって可視光利用が可能です。しかしながら、太陽光のかなりを占めるさらに長波長の可視光や近赤外光の照射で働く光触媒の開発はまだこれからの課題です。
 ところで、金ナノロッドはその縦横比によってSPRピーク位置が変化し、可視・近赤外光の広帯域に吸収を持たせることができます。そこで我々は、この金ナノロッドをTiO2メソ結晶に担持させた複合体を合成し(図1)、可視・近赤外光照射下で光触媒として使用すると、メタノールを含む水溶液から非常に高効率な水素発生(924 µmol h-1 g-1)が起こることを見出しました。これは金ナノロッドの縦方向SPRからのTiO2メソ結晶への高効率電子移動、引き続き超構造体TiO2メソ結晶中のナノ粒子間で高効率電荷移動が進行し、電荷寿命は4.8ナノ秒と約10倍も長くなったためです。
 今後、可視光・近赤外光応答型の光触媒や色素増感型太陽電池の電極材料などの光エネルギー変換デバイスの更なる効率向上に役立つ技術としての活用が見込まれます。
本研究成果は、2017年3月7日にNano Energyのオンライン速報版で公開されました。DOI: 10.1016/j.nanoen.2017.03.014 また、2017年3月17日、日刊工業新聞にも紹介されました。

図 金ナノロッド/二酸化チタンメソ結晶
図 金ナノロッド/二酸化チタンメソ結晶

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飯嶋 益巳特任准教授が「農芸化学女性研究者賞」を受賞しました!

 この度、公益社団法人日本農芸化学会が新設した「第1回農芸化学女性研究者賞」に、生体分子反応科学研究分野(黒田研)の飯嶋益巳特任准教授が第1号として受賞されました。同賞は、顕著な研究をなし、これからも高い研究成果をあげて農芸化学研究の発展と社会貢献に寄与しうる同会女性正会員に授与されるもので、飯嶋特任准教授の「バイオセンサー表層におけるセンシング分子のナノレベル精密整列化に関する研究」に対して贈られました。授賞式は日本農芸化学会2017年度大会会期中の3月17日、ウェスティン都ホテル京都で行われ、また、受賞講演が3月18日、京都女子大学で行われました。

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配位構造の異なる酸窒化物結晶の作り分けに成功 -格子歪みを使って酸素と窒素の並び方をコントロール-

ナノ機能予測研究分野の小口多美夫教授は、東京大学大学院理学系研究科の長谷川哲也教授、廣瀬靖准教授、東北大学大学院理学研究科の岡大地助教らの研究グループは、神奈川科学技術アカデミー、奈良先端科学技術大学院大学、高輝度光科学研究センター、名古屋工業大学と共同で、金属酸窒化物の単結晶薄膜を合成し、金属イオン周囲の酸化物イオンと窒化物イオンの配位構造を制御することに成功しました。

 結晶中に複数種のアニオンを含む複合アニオン化合物は、金属イオン周囲のアニオン種の配位構造によって物理的・化学的な性質が大きく変化しますが、配位構造の異なる結晶を作り分ける方法は確立されていませんでした。今回、研究グループは複合アニオン化合物の一種であるタンタル酸窒化物の単結晶薄膜を合成し、薄膜と基板の化学結合を利用して格子歪みを印加しながら結晶成長させました。その結果、格子歪みの大きさを変えることで、最安定でcis型の配位構造のみからなる結晶と準安定なtrans型の配位構造を含む結晶を作り分けることに成功しました。この結果は、可視光を吸収可能な強誘電体など、新たな光・電子材料の開発につながると期待されます。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

図:(a)ペロブスカイト型酸化物と(b)ペロブスカイト型酸窒化物の結晶構造
図:(a)ペロブスカイト型酸化物と(b)ペロブスカイト型酸窒化物の結晶構造

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谷口 正輝教授が「日本化学会学術賞」を受賞しました。

この度、「日本化学会学術賞」にバイオナノテクノロジー研究分野の谷口正輝教授が受賞されました。この賞は、化学の基礎または応用のそれぞれの分野において先導的・開拓的な研究業績をあげた者で、優れた業績をあげた日本化学会会員に授与されるものです。

詳細はこちらをご覧ください。

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廃棄物から高性能リチウムイオン電池負極材料を開発

半導体材料・プロセス研究分野の松本健俊准教授、小林光教授は、東北大学多元物質科学研究所の西原洋知准教授、京谷隆教授らとの共同研究で産業廃棄物のシリコン切粉を高性能なリチウムイオン電池負極材料にリサイクルする方法を開発しました。半導体産業や太陽電池用に大量のシリコンウエハが生産されていますが、生産量とほぼ同量の切り屑(シリコン切粉)が発生し、産業廃棄物となっています。本研究ではこのシリコン切粉を薄いナノフレーク状に粉砕すれば、高容量でなおかつ長寿命なリチウムイオン電池の負極材料になることを見出しました。さらに、このナノフレーク状シリコンは炭素と複合化することで更に性能と寿命が向上し、従来のリチウムイオン電池に使用されている黒鉛の約3.3倍の容量(1200 mAh/g)を、充放電を800回以上繰り返しても維持できることが分かりました。全世界でのシリコン切粉の発生量は、リチウムイオン電池負極材料の世界需要を上回っており、まさに理想的な資源です。産業廃棄物を原料に用いることに加えて、シリコン切粉のナノフレークへの粉砕や、その後の炭素との複合化には大量のシリコンでも処理できる簡便な方法を用いており、リチウムイオン電池への実装に繋がると期待されます。
 本成果は、平成29年2月20日(月)午前10時(イギリス時間)にScientific Reports誌にてオンライン公開されました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

図:Si切粉をリサイクルして調製したナノフレーク状Siの容量とクーロン効率を充放電サイクル数に対してプロットした図. (CVDによる炭素被覆実施, ハーフセル(対極Li箔), 電解液:1 M LiPF6/EC+DECに10%のVC添加, 25 °C, 電流密度960 mA/g, Li挿入容量1200 mAh/gに制限.)
図:Si切粉をリサイクルして調製したナノフレーク状Siの容量とクーロン効率を充放電サイクル数に対してプロットした図. (CVDによる炭素被覆実施, ハーフセル(対極Li箔), 電解液:1 M LiPF6/EC+DECに10%のVC添加, 25 °C, 電流密度960 mA/g, Li挿入容量1200 mAh/gに制限.)

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麻生亮太郎助教が井上研究奨励賞を受賞!

 ナノ構造・機能評価研究分野の麻生亮太郎助教が第33回(2016年度)井上研究奨励賞を受賞しました。井上研究奨励賞は、理学、医学、薬学、工学、農学等の分野で過去3年の間に博士の学位を取得した37歳未満の研究者で、優れた博士論文を提出した若手研究者に贈呈されるものです。 贈呈式は2月3日に行われました。

詳細はこちらをご覧ください。

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「ネイチャー・インダストリー・アワード」 産研から2名が受賞!

 大阪科学技術センター(OSTEC)が主催する「ネイチャー・インダストリー・アワード」に産業科学研究所の若手研究者2名が受賞されました。
 本アワードは、自然の叡智の活用を研究する若手研究者に、発表の機会創出や実用化につなげる支援を行うと共に、優れた研究を表彰するものです。
 2016年11月30日に「第5回 ネイチャー・インダストリー・アワード」の発表会・表彰式が開催され、2017年1月20日の日刊工業新聞に掲載されました。

詳細はこちらをご覧ください。

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日経ビジネス「次代を創る100人」に関谷毅教授が選ばれました!

 先進電子デバイス研究分野の関谷毅教授が日経ビジネスの選ぶ「次代を創る100人」に選出されました。
 「次代を創る100人」とはリーダー、クリエイター、イノベーターにスポーツプレーヤーなどジャンルを超えて日本に最も影響を与える100人を紹介した日経ビジネスの特集です。
 関谷教授は、有機材料の「優れた電気的・機械的特性(フレキシビリティー)」、「自己組織化現象」、「低エネルギー加工性」を応用したフレキシブルエレクトロニクスの基礎材料・物性研究・エレクトロニクス応用に取り組み、社会実装とともに世界をリードする研究を進めています。最近では、シート型センサシステムによる微小信号計測に注目し、ヘルスケア、医療、都市システムへの実装を進めています。

詳細はこちらをご覧ください。

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次世代パワー半導体の3D配線が低コストで可能な技術を開発

 大阪大学産業科学研究所の菅沼克昭教授らの研究グループは、独自開発の銀粒子焼結により、次世代パワーエレクトロニクスの高性能3D配線を低コストに実現する技術を開発しました。
銀粒子焼結技術は菅沼研究室が開発した技術ですが、200℃程度の低温(他の金属粒子は融点の9割程度で焼結する、銀の融点は962℃)で銀粒子焼結が形成されるメカニズムはこれまで不明でした。
今回、本研究グループは、基板に実装されたSiCダイの表面に、凹凸に応じた3D配線を安価な印刷により形成し、250℃の低温で大気中無加圧で焼成することで5×10-6Ω・cmの低抵抗を実現しました(図)。
これにより、従来のワイヤボンドのようにSiCダイに負荷を掛けることなく低抵抗配線が形成でき、さらに低ノイズ化が安価に実現し、次世代ワイドバンドギャップ・パワー半導体の実用化に拍車が掛かると期待されます。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

図1

図2

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紙を用いて化成品を“高効率”に合成

 古賀大尚特任助教(常勤)、岡山大学異分野融合先端研究コアの仁科勇太准教授らの研究グループは、紙を使って、化成品を高効率合成することに成功しました。
 我々の豊かな暮らしを支える医薬品のような有用化成品は、すべて触媒反応によって合成されており、高効率な触媒反応器(リアクター)の開発は、資源・環境・エネルギーのあらゆる面で重要な課題です。今回、本研究グループは、あらかじめ触媒を固定化した植物繊維を紙抄きすることにより、「紙の触媒リアクター:ペーパーリアクター」を開発しました。このとき、紙の内部に、植物繊維に由来するマイクロ~ナノスケールの極微小な階層流路を設計することにより、従来の触媒リアクターと比べて2倍以上も高い効率で、医薬中間体を連続フロー合成することに成功しました(図)。また、ペーパーリアクターは、紙と同じように簡単に作製でき、使用後はリサイクルも可能で、高い性能を保持したまま再生することもできました。
 これらの成果により、様々な化成品の高効率合成が可能になると期待されます。また、省資源・環境調和といった昨今の社会的要請にも応えるものであり、グリーン・サステイナブルケミストリーの実現に大きく貢献します。
詳細はプレスリリースをご覧ください。

図 ペーパーリアクターによる有用化成品の高効率・連続フロー合成
図 ペーパーリアクターによる有用化成品の高効率・連続フロー合成

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新プロセス開発:EUVリソグラフィによる半導体製造の生産性向上に期待

 北海道大学大学院工学研究院の岡本助教らの研究グループは、大阪大学産業科学研究所において、平成27年度からCOREラボによる長期滞在共同研究を行っています。
 本ラボでは、ナノ構造体形成についての研究を行っており、その成果として、今回半導体製造用材料であるレジスト材料の加工性能を大幅に改善する新しい方法の開発に成功しました。
 レジスト材料の性能を測るものとして、感度、解像度、ラフネス※3などがあります。しかし、例えば感度を増加させると、解像度やラフネスが悪化するようなトレードオフの関係にあるのがこれまでの常識でした。そのため、このトレードオフの関係を打破するような新しいレジスト材料の開発が業界で望まれています。
 今回、岡本助教らの研究グループは、現在半導体量産用に用いられている化学増幅型レジスト※4に添加剤を添加することにより、2倍以上の高感度化を行うことができ、さらに解像度やラフネス性能を悪化させない新しい手法を開発しました。これにより、極端紫外線(EUV)リソグラフィをはじめとするリソグラフィによる半導体デバイス生産性の向上が期待されます。
詳細はプレスリリースをご覧ください。

図 新しいリソグラフィプロセスのメカニズム
図 新しいリソグラフィプロセスのメカニズム

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重金属を固体中で選択的に吸収する材料の発見

 小口 多美夫教授は京都大学との共同研究によって、チタンの層状化合物が、カドミウムなどの重金属を選択的かつ、低温で吸収できることを発見しました。
 電子機器などの廃棄物からの金属回収は、エネルギー資源の確保と環境汚染の防止の観点から極めて重要です。金属が物質中に取り込まれる反応(以下、インターカレーション反応)は、グラファイトや粘土など様々な層状化合物において観測されていますが、これまでは特定の金属を選択的に吸収させることは困難でした。
 本研究では、チタンの層状化合物が、カドミウム、銅、亜鉛を選択的に吸収することを発見しました。また、従来の物質と異なり、固体中でわずかに温度を上げるだけでインターカレーション反応が進行することもわかりました。本研究で得られた知見は、溶液を利用しない新しいタイプの金属回収の可能性を示しただけでなく、固体燃料電池など、固体中での金属の拡散に関わる現象の理解に新しい視座を与えるものです。
 本研究成果は 12 月 14 日午後 7 時、英国科学誌 Nature Communicationsに掲載されました。
詳細はプレスリリースをご覧ください。

図 80℃という低温で個体のままカドミウムを吸収する層状物質 Ti2PTe2
図 80℃という低温で個体のままカドミウムを吸収する層状物質 Ti2PTe2

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単一分子も検出できる!高光度マルチカラー化学発光タンパク質を開発

 永井健治教授らの研究グループは、2012、2015年に開発した化学発光タンパク質 Nano-lantern(ナノ・ランタン ※1)を改良して、明るさを2倍から10倍向上さThた5色の化学発光タンパク質の開発に成功しました。
 今回、酵素活性の高い化学発光タンパク質と5種類の異なる蛍光タンパク質をハイブリッド化することにより、従来のものより2倍から10倍明るく、水色、緑色、黄緑色、橙色、赤色に発光するタンパク質enhanced Nano-lantern (増強型ナノ・ランタン)を開発しました(図1)。5色の増強型ナノ・ランタンが完成したことにより、細胞内の5つの微細な構造を同時に計測することに成功しました(図2右)。また、増強型ナノ・ランタンを用いることで、1個単位のタンパク質分子の結合・解離を化学発光で検出することに世界で初めて成功しました(図2左)。
 これまで、このような計測は蛍光タンパク質を用いて真夏の日光の何倍もの強度の光を照射しながら行われており、自家蛍光※2 や光毒性※3の影響が問題になっていました。増強型ナノ・ランタンは、外部からの励起光を必要としないため、自家蛍光や光毒性の影響を全く受けません。さらに、増強型ナノ・ランタンを改変して細胞内カルシウムイオンを検出できる化学発光型センサーも開発し、iPS細胞由来の心筋細胞で60枚/秒という高速度で長時間にわたってイメージングすることにより、忠実なカルシウムイオン動態の計測にも成功しました。これら化学発光型センサーは、細胞をより生理的な状態で実時間計測することを可能にし、生命科学研究のみならず、医学・薬理学研究に大きな貢献が期待されます。
 本研究成果は、「Nature Communications」(オンライン)に、平成 28 年 12 月 14 日(水)19 時(日本時間)に公開されました。
詳細はこちらをご覧ください。

図1 試験管内に入れた5色の増強型ナノ・ランタンに発光物質ルシフェリンを添加し撮影された写真。
図1 試験管内に入れた5色の増強型ナノ・ランタンに発光物質ルシフェリンを添加し撮影された写真。
図2 左上は、単一増強型ナノ・ランタン分子からの化学発光画像の3次元擬似カラー表示。矢印で示したのが、単一分子からのシグナル。左下は、単一増強型ナノ・ランタン分子の結合・解離の軌跡。右は、増強型ナノ・ランタン色変異体を用いて取得した5種類の細胞内構造体の化学発光画像。スケールバーは10µm。
図2 左上は、単一増強型ナノ・ランタン分子からの化学発光画像の3次元擬似カラー表示。矢印で示したのが、単一分子からのシグナル。左下は、単一増強型ナノ・ランタン分子の結合・解離の軌跡。右は、増強型ナノ・ランタン色変異体を用いて取得した5種類の細胞内構造体の化学発光画像。スケールバーは10µm。

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トラウマ記憶を光操作により消去する新規技術を開発

 永井健治教授は横浜市立大学大学と東京大学先端科学技術研究センター との共同研究により、トラウマ記憶を光操作により消去する新規技術の開発に成功しました。
 人は、様々な状況で嫌なことを経験します。事故や災害における恐怖体験や対人関係のトラブルといった社会的関係のストレスなど、その嫌な記憶は強く形成されてしまうとトラウマとなり、対人恐怖症等の社会性障害を引き起こします。トラウマ記憶形成の分子細胞メカニズムを解明し、コントロールすることは健全な社会生活を営む上で非常に重要であると考えられます。
 同グループは、以前げっ歯類を用いた研究で、「ラットが特定の場所に入った時に電気ショックを与えるとその場所に近づかなくなるが、その恐怖記憶が形成される際にグルタミン酸受容体の一つであるAMPA 受容体*1 が海馬のCA3 領域からCA1 領域にかけて形成されるシナプスに移行し、これが恐怖記憶形成に必要である」ということを発見しました(Mitsushima et al. PNAS 2011, Mitsushimaet al. Nature Communications 2013 図1)。
 今回の研究では、トラウマ記憶形成の過程でシナプスに移行したAMPA 受容体を光操作により破壊することにより、トラウマ記憶を消去する新規技術を開発することに成功しました(図2)。本研究は心の傷をコントロールする新規治療法に向けたさらなる糸口になると期待されます。
詳細はこちらをご覧ください。

図1 トラウマ記憶の成立に際し、AMPA 受容体のシナプス移行が海馬において起きる。また、このようなAMPA 受容体シナプス移行がトラウマ記憶形成に必要である。
図1 トラウマ記憶の成立に際し、AMPA 受容体のシナプス移行が海馬において起きる。また、このようなAMPA 受容体シナプス移行がトラウマ記憶形成に必要である。
図2 トラウマ記憶を仲介しているAMPA 受容体を光操作により選択的に破壊することによりトラウマ記憶を消去する。
図2 トラウマ記憶を仲介しているAMPA 受容体を光操作により選択的に破壊することによりトラウマ記憶を消去する。

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ウイルスよりも小さい金属酸化物の創製に成功!

 服部梓助教らの研究グループは、特殊な薄膜成長技術でマンガン酸化物ナノ細線(図1)構造を作り出すことに成功しました。
 このナノ細線構造で、マンガン酸化物の伝導特性を担っているナノ電子相の配列を制御できます。
 半導体エレクトロニクスの分野では、デバイスの微細化・集積化が限界に近いと言われており、新しい原理に基づくナノエレクトロニクス材料、デバイスの開発が望まれています。
 遷移金属酸化物は、わずかな外部刺激で金属-絶縁体転移を起こし、巨大な抵抗変化を示すことから将来の高速スイッチング・メモリ材料として注目されていますが、微細化が難しいことから研究が進んでいませんでした。
 今回、服部梓助教らの研究グループが、ウイルスよりも小さい50nm幅の細線を作り出した結果、これまで報告されている薄膜の応答性に比べて100-1000倍に増大することに成功しました。
 このナノ構造増感効果を用いることで、超高速動作・低消費電力駆動が実現した次世代ナノデバイス:steep slopeデバイスの開発が大きく進展することが期待できます。

図1.マンガン酸化物ナノ細線
図1.マンガン酸化物ナノ細線

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電子2個のスピン情報の多値読み出しに成功

 木山治樹助教、大岩顕教授、東京大学大学院工学系研究科の樽茶清悟教授(理化 学研究所創発物性科学研究センター量子情報エレクトロニクス部門長兼任)らの研究グループは、量子ドット 中の電子2個がとりうるスピン状態(電子スピン)のうち3つの状態の読み出しに成功しました。
 電子2個のとりうるスピン状態は4種類存在することが知られていますが、これまでの測定手法では2種類のスピン状態の読み出ししかできていませんでした。
 今回、本研究グループは、新たな2状態読み出し法を確立し、さらにそれを既存の手法と組み合わせることにより、3種類のスピン状態の読み出しに成功しました。これにより、3種類のスピン状態を利用した超高速・大容量の量子情報処理 への応用が期待されます。
 本研究成果は、米国科学誌「Physical Review Letters」に公開されました。
詳細はこちらをご覧ください。

表 2種類のスピン状態読み出しと3種類のスピン状態読み出しの比較
表 2種類のスピン状態読み出しと3種類のスピン状態読み出しの比較

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細胞分裂のスイッチを人工的に作り出すことに成功

 生物は機械よりも遥かに複雑で、私たちは両者を全く違うものと思っています。しかし生物の基本単位である細胞はバネやネジの代わりにタンパク質やDNAを使って機械とよく似た仕組みを作り、それらを組み合わせることで生きています。
 今回、熊本大学大学院先導機構・持田悟准教授のグループは、オックスフォード大学(英国)B.Novak教授、大阪大学産業科学研究所永井健治教授らとの共同研究により、細胞が分裂する際の“スイッチ”を人工的に作り出すことに成功しました。
詳細はこちらをご覧ください。

図 DNAのコピーと細胞分裂(上)正常な細胞分裂、(下)スイッチが異常な場合
図 DNAのコピーと細胞分裂(上)正常な細胞分裂、(下)スイッチが異常な場合

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「バイオナノフォトニクス新産業創造研究会」を発足

 近年その発展が著しいバイオナノフォトニクスにおいて産学が連携して次世代を担う産業の創出を目指すべく、産研が中心となり本年9月にバイオナノフォトニクス新産業創造研究会を発足しました。
 近年、バイオイメージングは 様々な分野に応用されており、生物学の基礎研究への応用のみならず、疾病発病のメカニズムや薬剤の作用機序の解明、そして創薬標的の探索等へ向けた応用が行われています。
 バイオナノフォトニクス新産業創造研究会は、日本の第一線を走るバイオイメージング分野の研究者に講演形式でバイオイメージングのアプリケーションや技術開発について話題提供してもらい、さらに参加する研究者と企業の皆様との間で意見交換を行うことで、研究者と企業が共に発展するための足がかりにすることが狙いです。

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市民・自治体・企業と植物活用テクノロジーのブレインストーミングを行う「みどり《適塾》」を発足

 植物活用テクノロジーの実践を共に考えるデザイン思考の場として産研が中心となり本年9月にみどり《適塾》を発足しました。
 このみどり《適塾》は、科学者が有する様々なシーズを、科学者の常識だけでは予測し得ない方向のニーズと結びつけながら、地球環境改善に資する「みどり」テクノロジーの開発・普及に結びつけるブレインストーミングを行う場です。
 一般市民・自治体・企業の皆様で議論し、最終的に出てきたアイデアの社会実装に向け、オープンイノベーションを目指します。

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空間中のウイルス・細菌を不活化する新カテキン技術を開発!

 開發邦宏特任准教授(常勤)らのグループは、大阪大学の技術を活用したベンチャー(株)プロテクティアとの共同研究により、ウイルスや細菌を安全かつ効果的に不活化できる技術の開発に成功しました。
 生活空間にはウイルスや細菌が潜んでいます。例えば、家族の一人が感染症に罹患すると、くしゃみ、唾液、体液を介した二次感染を避けるのは難しく、マスクの装着や手洗いなどで、接触機会を防ぐことが不可欠です。
 開發邦宏特任准教授(常勤)らのグループでは、これまでウイルスや細菌の膜成分に作用し、感染を抑制できる新型カテキン化合物を開発してきました。
 しかし、カテキン骨格をもつ化合物は水溶液中で安定性を保つこと、さらに化合物の安定性を高めると活性が低減してしまうことが課題でした。今回、カテキン骨格の安定性と抗ウイルス・抗菌活性の両方を高める技術を開発することに成功しました。
 この技術が開発できたことにより、感染対策用に超音波式加湿器にいれて使用するミストマスクが製品化されました。

図 製品化されたミストマスク
図 製品化されたミストマスク

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人工知能×アーティストで作成された楽曲が完成!

 沼尾正行教授、および東京都市大学メディア情報学部の大谷紀子教授の研究グループは、開発した人工知能技術(自動作曲システム(図1))を用いて、Office FUKUROUに所属するフォークデュオ「ワライナキ」と共同で、共同募金運動70年記念 応援ソング(図2)を完成させました。

 今回使用された人工知能に基づく自動作曲システムは、目的の感性を想起させる既存楽曲が入力されると、入力された楽曲に共通する特徴を学習し、得られた特徴に基づいて楽曲を生成するものです。本システムにより生成されたメロディをベースとして、プロのアーティ ストと共同で応援ソングを完成させました。
今後、新たな作曲方法がアーティストの作曲活動に取り入れられ、 音楽界に新風を吹き込むことが期待されます。

 楽曲は10月1日(土)11時30分から近鉄奈良駅行基前広場で実施される、「共同募金運動70年記念オープニングセレモニー」で発表されました。

 詳細はこちらをご覧ください。

図1. 開発した自動作曲システム
図1 開発した自動作曲システム

図2.作成された楽曲の譜面(一部)
図2 作成された楽曲の譜面(一部)

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1個レベルで細菌を検出・識別できる新システムを実演 -感染症診断の迅速化に期待-

 1個レベルで細菌やウイルスを検出・識別するセンサーの開発は非常に困難であり、装置も大きく、コスト等の課題がありました。

 今回、ナノテクを用いて作製したセンサーは、電流変化で細菌を検出し、センサーから得られるビッグデータを機械学習することで、1個の細菌を識別することに成功しました。

 細菌・ウイルスを極微量で、検出・識別することができれば、インフルエンザなどの感染症を迅速に診断し、早期に治療が行えます。

 また、今回のセンサーシステムは、小型化が可能であり、半導体微細加工技術によるチップの量産化で低価格化も期待されます。

細菌・ウイルス検査システムの試作機
図:細菌・ウイルス検査システムの試作機

 本成果は革新的研究開発プログラムImPACTの研究開発課題によって得られました。

ImPACT

 本研究成果は第39回定例記者会見で発表いたしました。詳細はこちらをご覧ください。

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脳もインターネットに接続! ~シート型脳波センサーにより、手軽に睡眠の質を計測可能に!~

 関谷研究室を中心とした医脳理工連携プロジェクトチームでは、“冷却シートを額に貼るような感覚で、容易に装着することができるシート型脳波センサーの開発”を行いました。大型の医療機器と同じ計測精度を持つ手のひらサイズのパッチ式脳波センサーであり、リアルタイムに脳状態を可視化することができます。

 今回は、谷池雅子教授(大阪大学連合小児発達学研究科)、加藤隆史講師(大阪大学歯学部)との共同研究により、このシート型脳波センサーをおでこに貼り付けて睡眠を取るだけで、睡眠中の脳波を的確にワイヤレス計測できることが確認されました。近い将来、ご家庭内で手軽に「睡眠の質」を計測できる技術開発として期待されます。

 本センサーは睡眠脳波のみならず、電子体温計のように毎日の脳の活動を手軽に家庭内で計測できる可能性があり、毎日手軽に計ることで、認知症を含む脳関連疾病の早期発見につながることが期待されています。さらに要介護者の見守りセンサー、クルマの自動運転/手動運転の切り替え、小児発達障害の早期発見と早期療育、子供の集中力から好きな科目の同定、言葉の話せない赤ちゃんの好みのおむつ開発まで、その応用範囲は広いです。これまで気軽な計測ができなかった脳状態を、計測の負担をかけることなく「おでこに貼り付けるだけで脳波が計測できる」ため、極めて手軽で、簡単に脳情報の取得ができることから、新しい生体情報が社会生活に加わることになります。モノのインターネット(IoT)社会への転換期にある現代社会において、脳も“手軽に”インターネットにつながった意義は大きく、今後、大きな波及効果が期待されます。

 本研究の一部は独立行政法人科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」の支援によって行われました。

 本研究成果は第38回定例記者会見で発表いたしました。詳細はこちらをご覧ください。

 また、独立行政法人科学技術振興機構(JST)と共同プレスリリースを行いました。詳細はこちらをご覧ください。

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誰でも全国の自治体広報を分析! ~横断的な検索・分析システムを開発~

 全国の自治体がホームページで公開している広報情報を自動的に収集し、横断的な検索・分析が行えるシステムを開発しました。本システムで収集したデータは、Linked Open Data(LOD;リンクト・オープンデータ)と呼ばれる技術を用いて、誰でも自由に利用できるオープンデータとして公開されます。(図)

 これにより、自治体を横断したデータ検索・分析が可能になると共に、スマートフォンアプリ等※から市民の関心に応じた市政情報を閲覧することができます。

 データ収集は2015年1月より80の自治体を対象に試行し、2016年8月からは収集対象を200~500自治体に拡大する予定です。これにより、全国の自治体が発信している情報を横断的に分析するツールとして活用されることが期待されます。

※アプリについて:2014年8月に市民がIT技術を使って地域の課題を解決する取組み(通称“シビックテック”)を通して市政情報発信アプリ(アプリ名:「PUSH大阪」)を開発しました。本アプリは2015年に大阪市主催の「大阪から考える CivicTech アプリコンテスト」にてアプリ・Webサービス部門のグランプリを受賞しました。後に全国版も公開し、2016年4月には新機能を追加した豊中市版が開発されています。

 本研究は、JSPS科研費JP16K12533「広報情報・オープンデータ・ソーシャル情報の融合による地域課題の横断的分析基盤」(研究代表者:古崎晃司)の助成を受けたものです。

 本研究成果は第38回定例記者会見で発表いたしました。詳細はこちらをご覧ください。

システム全体像
図:システム全体像

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鷲尾隆教授、2016 IBM Faculty Awardを受賞

 鷲尾隆教授が、IBM(International Business Machines Corporation)が選定する「2016 IBM Faculty Award」を受賞しました。IBM Faculty Awardsは,世界の学術研究機関の常勤教授の多数の候補から、戦略的かつ挑戦的研究分野への貢献において顕著な研究評価を得ている者を選び授与する賞です。これによって、受賞者のさらなる研究展開を支援するとともに、その分野の一層の発展を促すことを目的としています。

 今回は、鷲尾隆教授がこれまで進めて来た機械学習およびデータマイニングに関する研究成果が対象であると同時に、これら情報科学の成果をIoT時代を見据えたセンシング技術へ適用する研究や、それによって様々な社会的サービスの展開を可能にする研究の支援・促進を行うことを趣旨とした受賞です。

 受賞記念講演が、2017年1月4-7日にハワイ島で開催されるHICSS-50: Hawaii International Conference on System Sciencesにて行われる予定です。

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耐熱温度 300 °C を 達成! 電気自動車に必須の SiC パワー半導体 の実用に近づく成果

 菅沼克昭教授は、Siemens AG、千住金属工業、昭和電工、上村工業との共同開発により、SiCパワー半導体が300 °Cの温度域まで耐える基板技術を開発しました。

 省エネルギー技術の切り札である電気自動車やハイブリッド自動車に必須の次世代パワー半導体SiCの実用には、200 °Cを越える温度域での安定した動作が望まれていますが、その実現にはデバイスを保護し電気回路を構成する基板・冷却パッケージが必須であり、この200 °Cを越える温度域の基板開発は、これまで誰もが達成できない大きな技術ハードルとなっていました。

今回の開発では、世界の主流である銅貼り基板では解決が出来ない耐熱特性に対し、菅沼教授が20年前に開発したアルミ 貼り基板技術の限界を超え、世界の誰もが予測できなかった 新アルミ 貼り基板技術を開発し、遥かに厳しい条件の300°Cまで耐える優れた安定基板構造を実現しました。

 この開発は、科研費基盤研究(S)の支援を受け行われました。

 本研究成果は第37回定例記者会見で発表いたしました。詳細はこちらをご覧ください。

-40°C~300 °Cの温度衝撃を100 回以上与え、全く欠陥が無い状態
図:-40°C~300 °Cの温度衝撃を100 回以上与え、全く欠陥が無い状態

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呼気センサの製造時間を大幅に短縮 ~呼気から健康診断や重大疾患の早期発見に期待~

 菅原徹助教らは、ヘルスケアを目的として呼気に含まれる揮発性有機化合物(VOC)を検出するナノ構造のガスセンサ素子(図1a)の製造時間を従来の1/10以下まで短縮して作製しました。

 半導体式ガスセンサは、ガス(分子)が、半導体材料の結晶表面につくことで、電気抵抗が下がり、ガスを探知できます。そのため、ガス(呼気)センサには、ナノ材料の大きな比表面積が必要とされます。従来のガスセンサは、複雑な方法で、一旦、ナノ材料を合成し、それを基板に塗ったあと焼いて製造していました。菅原助教らは、それらの複雑な手法を改良し、原料を基板に塗って焼くだけで、ガスセンサを作製することに成功しました。

 このガスセンサのセンシング応答特性は、世界中で報告されている研究成果と比較してトップクラスの性能でした。この研究成果は、ガスセンサをこれまでより短時間かつ低コストで製造できることから、呼気による健康検診の研究開発に応用が期待されます。

 本研究成果は第36回定例記者会見で発表いたしました。詳細はこちらをご覧ください。

図1.aガスセンサ素子の外観写真、bガラス基板上に成長したひげ状の酸化モリブデンナノ粒子(走査型電子顕微鏡像)
図1.aガスセンサ素子の外観写真、bガラス基板上に成長したひげ状の酸化モリブデンナノ粒子(走査型電子顕微鏡像)

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薬剤耐性菌の判別時間 に革命 ! 菌血症治療 で 従来より 2 日早く 、 最適な抗菌薬治療 が可能に

 松本佳巳招へい教授、西野邦彦教授らは(株)フコクの協力を得て、薬剤耐性の有無を判別する感受性試験を従来法では18時間要していたものを3時間以内に短縮する方法を実用化しました。商品名 RaST-TAS チップとして5月末発売予定です。

多剤耐性化が厄介で増殖の遅い緑膿菌の感 受性を3時間以内に判断することができます。また、血液培養で陽性となった検体は、簡単な前処理により直接この試験法にかけることもでき、菌血症治療において従来法より2日早く最適な抗菌薬治療を開始できます。この方法により治療効果の改善、耐性菌出現の抑制、医療費削減等に繋がることが期待されます。

 本研究成果は第35回定例記者会見で発表いたしました。詳細はこちらをご覧ください。

RaST-TASチップに菌液の代わりに青いインクを抽入しているところ
図:RaST-TASチップに菌液の代わりに青いインクを抽入しているところ

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生体適合性ゲル電極を持つ柔軟な有機増幅回路シートの開発に成功 ~体内に埋め込み微弱な生活活動電位の計測が実現~

 関谷毅教授の研究グループと東京大学の染谷隆夫教授は、生体適合性ゲ電極を持つ柔軟な有機増幅回路シートの開発に成功しまた。生体の炎症反応が極めて小さな導電性のゲル素材を開発し、これをセンサーの電極として応用し、極薄の高分子フィルムに製造された有機トランジスターの増幅回路と集積化することによって、センサーを長期間体内に埋め込むことが可能なりました。その結果、微弱な心電信号でも安定して 計測できるようになり、心臓の疾患部位を特定すること成功しました。この新しいデバイスは、使い捨てセンサーとして、手術の現場を支援するセンサーとしての応用など次世代医療デバイスとしてさまざまな応用が期待されます。

 研究はJST戦略的創造研究推進事業の一環として行われました。

 本研究成果は、2016年4月29日付きの英国Nature Communication誌に掲載されます。

 詳細はこちらをご覧ください。

参考図
図1 生体適合性を持つ柔らかいシート型生体信号増幅回路
柔軟なゲル電極とシート型の生体信号増幅回路の集積化により実現
(a) ゲル電極の拡大図(厚みは用途に応じて使い分ける)
(b) シート型生体信号増幅回路の写真と (c)断面模式図

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新しいトポロジカル物質 「ワイル半金属」を発見 -超高速・低消費電力な次世代デバイスの開発に弾み-

小口多美夫教授は、東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の相馬清吾准教授、高橋 隆教授、同理学研究科の佐藤宇史准教授、ケルン大学(ドイツ)の安藤陽一教授らの研究グループと、新型トポロジカル物質「ワイル半金属」の発見に成功しました。今回の成果により、超高速でかつ消費電力を低く抑えた次世代デバイスの開発が大きく進展するものと期待されます。 本成果は、米国物理学会誌フィジカル・レビュー・B の「注目論文」に選ばれ、平成 28 年 4 月 20 日(米国東部時間)にオンライン速報版に掲載されました。

詳細はこちらをご覧ください。

参考図
図1: ディラック粒子(左)とワイル粒子(右)における電子のエネルギー関係の模式図。エネルギー分散が直線的であるために電子の有効質量がゼロとなり、電子は高い移動度を示すようになります。ワイル粒子では、カイラリティの異なる二つの種類の粒子が同時に発生し、その二つが衝突しない限り、有効質量がゼロの状態は永久に保たれます。エネルギー分散が交差するワイル点では、カイラリティの正負に応じて仮想的な磁場が発生して、電子の運動に影響を及ぼします。

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シビックテック発・市政情報発信アプリの地域展開 第1弾が大阪大学と豊中市の共同研究により完成 -市の最新情報をスマホで手軽に入手可能に-

 古崎晃司准教授と豊中市は、市民がIT技術を使って地域の課題を解決する取組み“シビックテック”発の市政情報発信アプリ「PUSH大阪」をベースに、豊中市民が施策やイベントなどの情報をスマートフォンなどでより手軽に入手できる「PUSH豊中市」を開発しました。

「PUSH豊中市」は、同市ホームページに掲載されている新着情報とイベント情報を配信するもので、iOS版とAndroid版を公開しました。iOS版はAPP Storeから、Android版はGoogle Playからダウンロードできます。詳細は「PUSH豊中市」のサポートサイト(http://push.jp.net/toyonaka/)をご覧下さい。 本研究は大阪大学と豊中市が連携協力に関する包括協定を締結していることから実現し、平成27年(2015)10月30日に共同研究契約を締結し、同大学産業科学研究所の古崎晃司准教授と、「PUSH大阪」開発Team*の共同開発により本アプリが完成しました。今後は、豊中市の広報誌「広報とよなか」や同市ホームページで豊中市民に利用を呼び掛けていきます。

<市政情報アプリ「PUSH 豊中市」の特徴>
・広報誌を見られるアプリや観光イベント紹介アプリはあるが、行政が提供する市政情報発信の広報アプリは全国的にも珍しい。
・開発したアプリのベースは住民の問題意識が出発点のシビックテックによるもので、市民ニーズに沿った情報発信が可能に。
・既存のアプリ(PUSH大阪)を大阪大学との共同研究のもと地域展開し、豊中市の市政情報を幅広い世代に配信するアプリを実現した。

 本研究成果は4月26日にプレスリリースいたしました。詳細はこちら

画面イメージ(Android版)最上部にイベント案内を表示
画面イメージ(Android版)
最上部にイベント案内を表示

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研究成果

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金ナノロッド/二酸化チタンメソ結晶の可視・近赤外光触媒作用による高効率水素発生

励起分子化学研究分野 真嶋哲朗教授の研究グループは、金ナノロッドを二酸化チタン(TiO2)メソ結晶に担持させた複合体が、可視・近赤外光照射下で光触媒として働き、水からの非常に高効率な水素発生を起こすことを見出しました。
 2012年に、真嶋教授らは、TiO2ナノ粒子結晶を高密度かつ規則的にマイクロメートルサイズに集積させたTiO2ナノ粒子超構造体(TiO2メソ結晶)を合成する簡便で応用性の高い方法を開発しました。このTiO2メソ結晶では、ナノ粒子の無秩序な凝集によって生じる表面積の低下や界面の不整合による電荷移動効率の低下を克服でき、ナノ粒子間で高効率電荷移動が起こり、電荷が長寿命化し、高伝導性、高光触媒特性を示します。
 TiO2は幅広いバンドギャップ(3.2 eV)を持つ半導体であり、太陽光の僅か3-4%の紫外光のみで励起され光触媒として働くことはよく知られています。そこで太陽光を有効に利用するためには、紫外光のみでなく、可視・近赤外光までの広帯域の光を吸収する物質(光増感剤)との複合化が必要です。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)ピークを390 – 460 nmに持つ銀ナノ粒子や、520 – 640 nmに持つ金ナノ粒子を光増感剤として使用することによって可視光利用が可能です。しかしながら、太陽光のかなりを占めるさらに長波長の可視光や近赤外光の照射で働く光触媒の開発はまだこれからの課題です。
 ところで、金ナノロッドはその縦横比によってSPRピーク位置が変化し、可視・近赤外光の広帯域に吸収を持たせることができます。そこで我々は、この金ナノロッドをTiO2メソ結晶に担持させた複合体を合成し(図1)、可視・近赤外光照射下で光触媒として使用すると、メタノールを含む水溶液から非常に高効率な水素発生(924 µmol h-1 g-1)が起こることを見出しました。これは金ナノロッドの縦方向SPRからのTiO2メソ結晶への高効率電子移動、引き続き超構造体TiO2メソ結晶中のナノ粒子間で高効率電荷移動が進行し、電荷寿命は4.8ナノ秒と約10倍も長くなったためです。
 今後、可視光・近赤外光応答型の光触媒や色素増感型太陽電池の電極材料などの光エネルギー変換デバイスの更なる効率向上に役立つ技術としての活用が見込まれます。
本研究成果は、2017年3月7日にNano Energyのオンライン速報版で公開されました。DOI: 10.1016/j.nanoen.2017.03.014 また、2017年3月17日、日刊工業新聞にも紹介されました。

図 金ナノロッド/二酸化チタンメソ結晶
図 金ナノロッド/二酸化チタンメソ結晶

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飯嶋 益巳特任准教授が「農芸化学女性研究者賞」を受賞しました!

 この度、公益社団法人日本農芸化学会が新設した「第1回農芸化学女性研究者賞」に、生体分子反応科学研究分野(黒田研)の飯嶋益巳特任准教授が第1号として受賞されました。同賞は、顕著な研究をなし、これからも高い研究成果をあげて農芸化学研究の発展と社会貢献に寄与しうる同会女性正会員に授与されるもので、飯嶋特任准教授の「バイオセンサー表層におけるセンシング分子のナノレベル精密整列化に関する研究」に対して贈られました。授賞式は日本農芸化学会2017年度大会会期中の3月17日、ウェスティン都ホテル京都で行われ、また、受賞講演が3月18日、京都女子大学で行われました。

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配位構造の異なる酸窒化物結晶の作り分けに成功 -格子歪みを使って酸素と窒素の並び方をコントロール-

ナノ機能予測研究分野の小口多美夫教授は、東京大学大学院理学系研究科の長谷川哲也教授、廣瀬靖准教授、東北大学大学院理学研究科の岡大地助教らの研究グループは、神奈川科学技術アカデミー、奈良先端科学技術大学院大学、高輝度光科学研究センター、名古屋工業大学と共同で、金属酸窒化物の単結晶薄膜を合成し、金属イオン周囲の酸化物イオンと窒化物イオンの配位構造を制御することに成功しました。

 結晶中に複数種のアニオンを含む複合アニオン化合物は、金属イオン周囲のアニオン種の配位構造によって物理的・化学的な性質が大きく変化しますが、配位構造の異なる結晶を作り分ける方法は確立されていませんでした。今回、研究グループは複合アニオン化合物の一種であるタンタル酸窒化物の単結晶薄膜を合成し、薄膜と基板の化学結合を利用して格子歪みを印加しながら結晶成長させました。その結果、格子歪みの大きさを変えることで、最安定でcis型の配位構造のみからなる結晶と準安定なtrans型の配位構造を含む結晶を作り分けることに成功しました。この結果は、可視光を吸収可能な強誘電体など、新たな光・電子材料の開発につながると期待されます。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

図:(a)ペロブスカイト型酸化物と(b)ペロブスカイト型酸窒化物の結晶構造
図:(a)ペロブスカイト型酸化物と(b)ペロブスカイト型酸窒化物の結晶構造

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谷口 正輝教授が「日本化学会学術賞」を受賞しました。

この度、「日本化学会学術賞」にバイオナノテクノロジー研究分野の谷口正輝教授が受賞されました。この賞は、化学の基礎または応用のそれぞれの分野において先導的・開拓的な研究業績をあげた者で、優れた業績をあげた日本化学会会員に授与されるものです。

詳細はこちらをご覧ください。

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廃棄物から高性能リチウムイオン電池負極材料を開発

半導体材料・プロセス研究分野の松本健俊准教授、小林光教授は、東北大学多元物質科学研究所の西原洋知准教授、京谷隆教授らとの共同研究で産業廃棄物のシリコン切粉を高性能なリチウムイオン電池負極材料にリサイクルする方法を開発しました。半導体産業や太陽電池用に大量のシリコンウエハが生産されていますが、生産量とほぼ同量の切り屑(シリコン切粉)が発生し、産業廃棄物となっています。本研究ではこのシリコン切粉を薄いナノフレーク状に粉砕すれば、高容量でなおかつ長寿命なリチウムイオン電池の負極材料になることを見出しました。さらに、このナノフレーク状シリコンは炭素と複合化することで更に性能と寿命が向上し、従来のリチウムイオン電池に使用されている黒鉛の約3.3倍の容量(1200 mAh/g)を、充放電を800回以上繰り返しても維持できることが分かりました。全世界でのシリコン切粉の発生量は、リチウムイオン電池負極材料の世界需要を上回っており、まさに理想的な資源です。産業廃棄物を原料に用いることに加えて、シリコン切粉のナノフレークへの粉砕や、その後の炭素との複合化には大量のシリコンでも処理できる簡便な方法を用いており、リチウムイオン電池への実装に繋がると期待されます。
 本成果は、平成29年2月20日(月)午前10時(イギリス時間)にScientific Reports誌にてオンライン公開されました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

図:Si切粉をリサイクルして調製したナノフレーク状Siの容量とクーロン効率を充放電サイクル数に対してプロットした図. (CVDによる炭素被覆実施, ハーフセル(対極Li箔), 電解液:1 M LiPF6/EC+DECに10%のVC添加, 25 °C, 電流密度960 mA/g, Li挿入容量1200 mAh/gに制限.)
図:Si切粉をリサイクルして調製したナノフレーク状Siの容量とクーロン効率を充放電サイクル数に対してプロットした図. (CVDによる炭素被覆実施, ハーフセル(対極Li箔), 電解液:1 M LiPF6/EC+DECに10%のVC添加, 25 °C, 電流密度960 mA/g, Li挿入容量1200 mAh/gに制限.)

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麻生亮太郎助教が井上研究奨励賞を受賞!

 ナノ構造・機能評価研究分野の麻生亮太郎助教が第33回(2016年度)井上研究奨励賞を受賞しました。井上研究奨励賞は、理学、医学、薬学、工学、農学等の分野で過去3年の間に博士の学位を取得した37歳未満の研究者で、優れた博士論文を提出した若手研究者に贈呈されるものです。 贈呈式は2月3日に行われました。

詳細はこちらをご覧ください。

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「ネイチャー・インダストリー・アワード」 産研から2名が受賞!

 大阪科学技術センター(OSTEC)が主催する「ネイチャー・インダストリー・アワード」に産業科学研究所の若手研究者2名が受賞されました。
 本アワードは、自然の叡智の活用を研究する若手研究者に、発表の機会創出や実用化につなげる支援を行うと共に、優れた研究を表彰するものです。
 2016年11月30日に「第5回 ネイチャー・インダストリー・アワード」の発表会・表彰式が開催され、2017年1月20日の日刊工業新聞に掲載されました。

詳細はこちらをご覧ください。

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日経ビジネス「次代を創る100人」に関谷毅教授が選ばれました!

 先進電子デバイス研究分野の関谷毅教授が日経ビジネスの選ぶ「次代を創る100人」に選出されました。
 「次代を創る100人」とはリーダー、クリエイター、イノベーターにスポーツプレーヤーなどジャンルを超えて日本に最も影響を与える100人を紹介した日経ビジネスの特集です。
 関谷教授は、有機材料の「優れた電気的・機械的特性(フレキシビリティー)」、「自己組織化現象」、「低エネルギー加工性」を応用したフレキシブルエレクトロニクスの基礎材料・物性研究・エレクトロニクス応用に取り組み、社会実装とともに世界をリードする研究を進めています。最近では、シート型センサシステムによる微小信号計測に注目し、ヘルスケア、医療、都市システムへの実装を進めています。

詳細はこちらをご覧ください。

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次世代パワー半導体の3D配線が低コストで可能な技術を開発

 大阪大学産業科学研究所の菅沼克昭教授らの研究グループは、独自開発の銀粒子焼結により、次世代パワーエレクトロニクスの高性能3D配線を低コストに実現する技術を開発しました。
銀粒子焼結技術は菅沼研究室が開発した技術ですが、200℃程度の低温(他の金属粒子は融点の9割程度で焼結する、銀の融点は962℃)で銀粒子焼結が形成されるメカニズムはこれまで不明でした。
今回、本研究グループは、基板に実装されたSiCダイの表面に、凹凸に応じた3D配線を安価な印刷により形成し、250℃の低温で大気中無加圧で焼成することで5×10-6Ω・cmの低抵抗を実現しました(図)。
これにより、従来のワイヤボンドのようにSiCダイに負荷を掛けることなく低抵抗配線が形成でき、さらに低ノイズ化が安価に実現し、次世代ワイドバンドギャップ・パワー半導体の実用化に拍車が掛かると期待されます。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

図1

図2

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紙を用いて化成品を“高効率”に合成

 古賀大尚特任助教(常勤)、岡山大学異分野融合先端研究コアの仁科勇太准教授らの研究グループは、紙を使って、化成品を高効率合成することに成功しました。
 我々の豊かな暮らしを支える医薬品のような有用化成品は、すべて触媒反応によって合成されており、高効率な触媒反応器(リアクター)の開発は、資源・環境・エネルギーのあらゆる面で重要な課題です。今回、本研究グループは、あらかじめ触媒を固定化した植物繊維を紙抄きすることにより、「紙の触媒リアクター:ペーパーリアクター」を開発しました。このとき、紙の内部に、植物繊維に由来するマイクロ~ナノスケールの極微小な階層流路を設計することにより、従来の触媒リアクターと比べて2倍以上も高い効率で、医薬中間体を連続フロー合成することに成功しました(図)。また、ペーパーリアクターは、紙と同じように簡単に作製でき、使用後はリサイクルも可能で、高い性能を保持したまま再生することもできました。
 これらの成果により、様々な化成品の高効率合成が可能になると期待されます。また、省資源・環境調和といった昨今の社会的要請にも応えるものであり、グリーン・サステイナブルケミストリーの実現に大きく貢献します。
詳細はプレスリリースをご覧ください。

図 ペーパーリアクターによる有用化成品の高効率・連続フロー合成
図 ペーパーリアクターによる有用化成品の高効率・連続フロー合成

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新プロセス開発:EUVリソグラフィによる半導体製造の生産性向上に期待

 北海道大学大学院工学研究院の岡本助教らの研究グループは、大阪大学産業科学研究所において、平成27年度からCOREラボによる長期滞在共同研究を行っています。
 本ラボでは、ナノ構造体形成についての研究を行っており、その成果として、今回半導体製造用材料であるレジスト材料の加工性能を大幅に改善する新しい方法の開発に成功しました。
 レジスト材料の性能を測るものとして、感度、解像度、ラフネス※3などがあります。しかし、例えば感度を増加させると、解像度やラフネスが悪化するようなトレードオフの関係にあるのがこれまでの常識でした。そのため、このトレードオフの関係を打破するような新しいレジスト材料の開発が業界で望まれています。
 今回、岡本助教らの研究グループは、現在半導体量産用に用いられている化学増幅型レジスト※4に添加剤を添加することにより、2倍以上の高感度化を行うことができ、さらに解像度やラフネス性能を悪化させない新しい手法を開発しました。これにより、極端紫外線(EUV)リソグラフィをはじめとするリソグラフィによる半導体デバイス生産性の向上が期待されます。
詳細はプレスリリースをご覧ください。

図 新しいリソグラフィプロセスのメカニズム
図 新しいリソグラフィプロセスのメカニズム

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重金属を固体中で選択的に吸収する材料の発見

 小口 多美夫教授は京都大学との共同研究によって、チタンの層状化合物が、カドミウムなどの重金属を選択的かつ、低温で吸収できることを発見しました。
 電子機器などの廃棄物からの金属回収は、エネルギー資源の確保と環境汚染の防止の観点から極めて重要です。金属が物質中に取り込まれる反応(以下、インターカレーション反応)は、グラファイトや粘土など様々な層状化合物において観測されていますが、これまでは特定の金属を選択的に吸収させることは困難でした。
 本研究では、チタンの層状化合物が、カドミウム、銅、亜鉛を選択的に吸収することを発見しました。また、従来の物質と異なり、固体中でわずかに温度を上げるだけでインターカレーション反応が進行することもわかりました。本研究で得られた知見は、溶液を利用しない新しいタイプの金属回収の可能性を示しただけでなく、固体燃料電池など、固体中での金属の拡散に関わる現象の理解に新しい視座を与えるものです。
 本研究成果は 12 月 14 日午後 7 時、英国科学誌 Nature Communicationsに掲載されました。
詳細はプレスリリースをご覧ください。

図 80℃という低温で個体のままカドミウムを吸収する層状物質 Ti2PTe2
図 80℃という低温で個体のままカドミウムを吸収する層状物質 Ti2PTe2

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単一分子も検出できる!高光度マルチカラー化学発光タンパク質を開発

 永井健治教授らの研究グループは、2012、2015年に開発した化学発光タンパク質 Nano-lantern(ナノ・ランタン ※1)を改良して、明るさを2倍から10倍向上さThた5色の化学発光タンパク質の開発に成功しました。
 今回、酵素活性の高い化学発光タンパク質と5種類の異なる蛍光タンパク質をハイブリッド化することにより、従来のものより2倍から10倍明るく、水色、緑色、黄緑色、橙色、赤色に発光するタンパク質enhanced Nano-lantern (増強型ナノ・ランタン)を開発しました(図1)。5色の増強型ナノ・ランタンが完成したことにより、細胞内の5つの微細な構造を同時に計測することに成功しました(図2右)。また、増強型ナノ・ランタンを用いることで、1個単位のタンパク質分子の結合・解離を化学発光で検出することに世界で初めて成功しました(図2左)。
 これまで、このような計測は蛍光タンパク質を用いて真夏の日光の何倍もの強度の光を照射しながら行われており、自家蛍光※2 や光毒性※3の影響が問題になっていました。増強型ナノ・ランタンは、外部からの励起光を必要としないため、自家蛍光や光毒性の影響を全く受けません。さらに、増強型ナノ・ランタンを改変して細胞内カルシウムイオンを検出できる化学発光型センサーも開発し、iPS細胞由来の心筋細胞で60枚/秒という高速度で長時間にわたってイメージングすることにより、忠実なカルシウムイオン動態の計測にも成功しました。これら化学発光型センサーは、細胞をより生理的な状態で実時間計測することを可能にし、生命科学研究のみならず、医学・薬理学研究に大きな貢献が期待されます。
 本研究成果は、「Nature Communications」(オンライン)に、平成 28 年 12 月 14 日(水)19 時(日本時間)に公開されました。
詳細はこちらをご覧ください。

図1 試験管内に入れた5色の増強型ナノ・ランタンに発光物質ルシフェリンを添加し撮影された写真。
図1 試験管内に入れた5色の増強型ナノ・ランタンに発光物質ルシフェリンを添加し撮影された写真。
図2 左上は、単一増強型ナノ・ランタン分子からの化学発光画像の3次元擬似カラー表示。矢印で示したのが、単一分子からのシグナル。左下は、単一増強型ナノ・ランタン分子の結合・解離の軌跡。右は、増強型ナノ・ランタン色変異体を用いて取得した5種類の細胞内構造体の化学発光画像。スケールバーは10µm。
図2 左上は、単一増強型ナノ・ランタン分子からの化学発光画像の3次元擬似カラー表示。矢印で示したのが、単一分子からのシグナル。左下は、単一増強型ナノ・ランタン分子の結合・解離の軌跡。右は、増強型ナノ・ランタン色変異体を用いて取得した5種類の細胞内構造体の化学発光画像。スケールバーは10µm。

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トラウマ記憶を光操作により消去する新規技術を開発

 永井健治教授は横浜市立大学大学と東京大学先端科学技術研究センター との共同研究により、トラウマ記憶を光操作により消去する新規技術の開発に成功しました。
 人は、様々な状況で嫌なことを経験します。事故や災害における恐怖体験や対人関係のトラブルといった社会的関係のストレスなど、その嫌な記憶は強く形成されてしまうとトラウマとなり、対人恐怖症等の社会性障害を引き起こします。トラウマ記憶形成の分子細胞メカニズムを解明し、コントロールすることは健全な社会生活を営む上で非常に重要であると考えられます。
 同グループは、以前げっ歯類を用いた研究で、「ラットが特定の場所に入った時に電気ショックを与えるとその場所に近づかなくなるが、その恐怖記憶が形成される際にグルタミン酸受容体の一つであるAMPA 受容体*1 が海馬のCA3 領域からCA1 領域にかけて形成されるシナプスに移行し、これが恐怖記憶形成に必要である」ということを発見しました(Mitsushima et al. PNAS 2011, Mitsushimaet al. Nature Communications 2013 図1)。
 今回の研究では、トラウマ記憶形成の過程でシナプスに移行したAMPA 受容体を光操作により破壊することにより、トラウマ記憶を消去する新規技術を開発することに成功しました(図2)。本研究は心の傷をコントロールする新規治療法に向けたさらなる糸口になると期待されます。
詳細はこちらをご覧ください。

図1 トラウマ記憶の成立に際し、AMPA 受容体のシナプス移行が海馬において起きる。また、このようなAMPA 受容体シナプス移行がトラウマ記憶形成に必要である。
図1 トラウマ記憶の成立に際し、AMPA 受容体のシナプス移行が海馬において起きる。また、このようなAMPA 受容体シナプス移行がトラウマ記憶形成に必要である。
図2 トラウマ記憶を仲介しているAMPA 受容体を光操作により選択的に破壊することによりトラウマ記憶を消去する。
図2 トラウマ記憶を仲介しているAMPA 受容体を光操作により選択的に破壊することによりトラウマ記憶を消去する。

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ウイルスよりも小さい金属酸化物の創製に成功!

 服部梓助教らの研究グループは、特殊な薄膜成長技術でマンガン酸化物ナノ細線(図1)構造を作り出すことに成功しました。
 このナノ細線構造で、マンガン酸化物の伝導特性を担っているナノ電子相の配列を制御できます。
 半導体エレクトロニクスの分野では、デバイスの微細化・集積化が限界に近いと言われており、新しい原理に基づくナノエレクトロニクス材料、デバイスの開発が望まれています。
 遷移金属酸化物は、わずかな外部刺激で金属-絶縁体転移を起こし、巨大な抵抗変化を示すことから将来の高速スイッチング・メモリ材料として注目されていますが、微細化が難しいことから研究が進んでいませんでした。
 今回、服部梓助教らの研究グループが、ウイルスよりも小さい50nm幅の細線を作り出した結果、これまで報告されている薄膜の応答性に比べて100-1000倍に増大することに成功しました。
 このナノ構造増感効果を用いることで、超高速動作・低消費電力駆動が実現した次世代ナノデバイス:steep slopeデバイスの開発が大きく進展することが期待できます。

図1.マンガン酸化物ナノ細線
図1.マンガン酸化物ナノ細線

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電子2個のスピン情報の多値読み出しに成功

 木山治樹助教、大岩顕教授、東京大学大学院工学系研究科の樽茶清悟教授(理化 学研究所創発物性科学研究センター量子情報エレクトロニクス部門長兼任)らの研究グループは、量子ドット 中の電子2個がとりうるスピン状態(電子スピン)のうち3つの状態の読み出しに成功しました。
 電子2個のとりうるスピン状態は4種類存在することが知られていますが、これまでの測定手法では2種類のスピン状態の読み出ししかできていませんでした。
 今回、本研究グループは、新たな2状態読み出し法を確立し、さらにそれを既存の手法と組み合わせることにより、3種類のスピン状態の読み出しに成功しました。これにより、3種類のスピン状態を利用した超高速・大容量の量子情報処理 への応用が期待されます。
 本研究成果は、米国科学誌「Physical Review Letters」に公開されました。
詳細はこちらをご覧ください。

表 2種類のスピン状態読み出しと3種類のスピン状態読み出しの比較
表 2種類のスピン状態読み出しと3種類のスピン状態読み出しの比較

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細胞分裂のスイッチを人工的に作り出すことに成功

 生物は機械よりも遥かに複雑で、私たちは両者を全く違うものと思っています。しかし生物の基本単位である細胞はバネやネジの代わりにタンパク質やDNAを使って機械とよく似た仕組みを作り、それらを組み合わせることで生きています。
 今回、熊本大学大学院先導機構・持田悟准教授のグループは、オックスフォード大学(英国)B.Novak教授、大阪大学産業科学研究所永井健治教授らとの共同研究により、細胞が分裂する際の“スイッチ”を人工的に作り出すことに成功しました。
詳細はこちらをご覧ください。

図 DNAのコピーと細胞分裂(上)正常な細胞分裂、(下)スイッチが異常な場合
図 DNAのコピーと細胞分裂(上)正常な細胞分裂、(下)スイッチが異常な場合

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「バイオナノフォトニクス新産業創造研究会」を発足

 近年その発展が著しいバイオナノフォトニクスにおいて産学が連携して次世代を担う産業の創出を目指すべく、産研が中心となり本年9月にバイオナノフォトニクス新産業創造研究会を発足しました。
 近年、バイオイメージングは 様々な分野に応用されており、生物学の基礎研究への応用のみならず、疾病発病のメカニズムや薬剤の作用機序の解明、そして創薬標的の探索等へ向けた応用が行われています。
 バイオナノフォトニクス新産業創造研究会は、日本の第一線を走るバイオイメージング分野の研究者に講演形式でバイオイメージングのアプリケーションや技術開発について話題提供してもらい、さらに参加する研究者と企業の皆様との間で意見交換を行うことで、研究者と企業が共に発展するための足がかりにすることが狙いです。

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市民・自治体・企業と植物活用テクノロジーのブレインストーミングを行う「みどり《適塾》」を発足

 植物活用テクノロジーの実践を共に考えるデザイン思考の場として産研が中心となり本年9月にみどり《適塾》を発足しました。
 このみどり《適塾》は、科学者が有する様々なシーズを、科学者の常識だけでは予測し得ない方向のニーズと結びつけながら、地球環境改善に資する「みどり」テクノロジーの開発・普及に結びつけるブレインストーミングを行う場です。
 一般市民・自治体・企業の皆様で議論し、最終的に出てきたアイデアの社会実装に向け、オープンイノベーションを目指します。

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空間中のウイルス・細菌を不活化する新カテキン技術を開発!

 開發邦宏特任准教授(常勤)らのグループは、大阪大学の技術を活用したベンチャー(株)プロテクティアとの共同研究により、ウイルスや細菌を安全かつ効果的に不活化できる技術の開発に成功しました。
 生活空間にはウイルスや細菌が潜んでいます。例えば、家族の一人が感染症に罹患すると、くしゃみ、唾液、体液を介した二次感染を避けるのは難しく、マスクの装着や手洗いなどで、接触機会を防ぐことが不可欠です。
 開發邦宏特任准教授(常勤)らのグループでは、これまでウイルスや細菌の膜成分に作用し、感染を抑制できる新型カテキン化合物を開発してきました。
 しかし、カテキン骨格をもつ化合物は水溶液中で安定性を保つこと、さらに化合物の安定性を高めると活性が低減してしまうことが課題でした。今回、カテキン骨格の安定性と抗ウイルス・抗菌活性の両方を高める技術を開発することに成功しました。
 この技術が開発できたことにより、感染対策用に超音波式加湿器にいれて使用するミストマスクが製品化されました。

図 製品化されたミストマスク
図 製品化されたミストマスク

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人工知能×アーティストで作成された楽曲が完成!

 沼尾正行教授、および東京都市大学メディア情報学部の大谷紀子教授の研究グループは、開発した人工知能技術(自動作曲システム(図1))を用いて、Office FUKUROUに所属するフォークデュオ「ワライナキ」と共同で、共同募金運動70年記念 応援ソング(図2)を完成させました。

 今回使用された人工知能に基づく自動作曲システムは、目的の感性を想起させる既存楽曲が入力されると、入力された楽曲に共通する特徴を学習し、得られた特徴に基づいて楽曲を生成するものです。本システムにより生成されたメロディをベースとして、プロのアーティ ストと共同で応援ソングを完成させました。
今後、新たな作曲方法がアーティストの作曲活動に取り入れられ、 音楽界に新風を吹き込むことが期待されます。

 楽曲は10月1日(土)11時30分から近鉄奈良駅行基前広場で実施される、「共同募金運動70年記念オープニングセレモニー」で発表されました。

 詳細はこちらをご覧ください。

図1. 開発した自動作曲システム
図1 開発した自動作曲システム

図2.作成された楽曲の譜面(一部)
図2 作成された楽曲の譜面(一部)

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1個レベルで細菌を検出・識別できる新システムを実演 -感染症診断の迅速化に期待-

 1個レベルで細菌やウイルスを検出・識別するセンサーの開発は非常に困難であり、装置も大きく、コスト等の課題がありました。

 今回、ナノテクを用いて作製したセンサーは、電流変化で細菌を検出し、センサーから得られるビッグデータを機械学習することで、1個の細菌を識別することに成功しました。

 細菌・ウイルスを極微量で、検出・識別することができれば、インフルエンザなどの感染症を迅速に診断し、早期に治療が行えます。

 また、今回のセンサーシステムは、小型化が可能であり、半導体微細加工技術によるチップの量産化で低価格化も期待されます。

細菌・ウイルス検査システムの試作機
図:細菌・ウイルス検査システムの試作機

 本成果は革新的研究開発プログラムImPACTの研究開発課題によって得られました。

ImPACT

 本研究成果は第39回定例記者会見で発表いたしました。詳細はこちらをご覧ください。

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脳もインターネットに接続! ~シート型脳波センサーにより、手軽に睡眠の質を計測可能に!~

 関谷研究室を中心とした医脳理工連携プロジェクトチームでは、“冷却シートを額に貼るような感覚で、容易に装着することができるシート型脳波センサーの開発”を行いました。大型の医療機器と同じ計測精度を持つ手のひらサイズのパッチ式脳波センサーであり、リアルタイムに脳状態を可視化することができます。

 今回は、谷池雅子教授(大阪大学連合小児発達学研究科)、加藤隆史講師(大阪大学歯学部)との共同研究により、このシート型脳波センサーをおでこに貼り付けて睡眠を取るだけで、睡眠中の脳波を的確にワイヤレス計測できることが確認されました。近い将来、ご家庭内で手軽に「睡眠の質」を計測できる技術開発として期待されます。

 本センサーは睡眠脳波のみならず、電子体温計のように毎日の脳の活動を手軽に家庭内で計測できる可能性があり、毎日手軽に計ることで、認知症を含む脳関連疾病の早期発見につながることが期待されています。さらに要介護者の見守りセンサー、クルマの自動運転/手動運転の切り替え、小児発達障害の早期発見と早期療育、子供の集中力から好きな科目の同定、言葉の話せない赤ちゃんの好みのおむつ開発まで、その応用範囲は広いです。これまで気軽な計測ができなかった脳状態を、計測の負担をかけることなく「おでこに貼り付けるだけで脳波が計測できる」ため、極めて手軽で、簡単に脳情報の取得ができることから、新しい生体情報が社会生活に加わることになります。モノのインターネット(IoT)社会への転換期にある現代社会において、脳も“手軽に”インターネットにつながった意義は大きく、今後、大きな波及効果が期待されます。

 本研究の一部は独立行政法人科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」の支援によって行われました。

 本研究成果は第38回定例記者会見で発表いたしました。詳細はこちらをご覧ください。

 また、独立行政法人科学技術振興機構(JST)と共同プレスリリースを行いました。詳細はこちらをご覧ください。

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誰でも全国の自治体広報を分析! ~横断的な検索・分析システムを開発~

 全国の自治体がホームページで公開している広報情報を自動的に収集し、横断的な検索・分析が行えるシステムを開発しました。本システムで収集したデータは、Linked Open Data(LOD;リンクト・オープンデータ)と呼ばれる技術を用いて、誰でも自由に利用できるオープンデータとして公開されます。(図)

 これにより、自治体を横断したデータ検索・分析が可能になると共に、スマートフォンアプリ等※から市民の関心に応じた市政情報を閲覧することができます。

 データ収集は2015年1月より80の自治体を対象に試行し、2016年8月からは収集対象を200~500自治体に拡大する予定です。これにより、全国の自治体が発信している情報を横断的に分析するツールとして活用されることが期待されます。

※アプリについて:2014年8月に市民がIT技術を使って地域の課題を解決する取組み(通称“シビックテック”)を通して市政情報発信アプリ(アプリ名:「PUSH大阪」)を開発しました。本アプリは2015年に大阪市主催の「大阪から考える CivicTech アプリコンテスト」にてアプリ・Webサービス部門のグランプリを受賞しました。後に全国版も公開し、2016年4月には新機能を追加した豊中市版が開発されています。

 本研究は、JSPS科研費JP16K12533「広報情報・オープンデータ・ソーシャル情報の融合による地域課題の横断的分析基盤」(研究代表者:古崎晃司)の助成を受けたものです。

 本研究成果は第38回定例記者会見で発表いたしました。詳細はこちらをご覧ください。

システム全体像
図:システム全体像

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鷲尾隆教授、2016 IBM Faculty Awardを受賞

 鷲尾隆教授が、IBM(International Business Machines Corporation)が選定する「2016 IBM Faculty Award」を受賞しました。IBM Faculty Awardsは,世界の学術研究機関の常勤教授の多数の候補から、戦略的かつ挑戦的研究分野への貢献において顕著な研究評価を得ている者を選び授与する賞です。これによって、受賞者のさらなる研究展開を支援するとともに、その分野の一層の発展を促すことを目的としています。

 今回は、鷲尾隆教授がこれまで進めて来た機械学習およびデータマイニングに関する研究成果が対象であると同時に、これら情報科学の成果をIoT時代を見据えたセンシング技術へ適用する研究や、それによって様々な社会的サービスの展開を可能にする研究の支援・促進を行うことを趣旨とした受賞です。

 受賞記念講演が、2017年1月4-7日にハワイ島で開催されるHICSS-50: Hawaii International Conference on System Sciencesにて行われる予定です。

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耐熱温度 300 °C を 達成! 電気自動車に必須の SiC パワー半導体 の実用に近づく成果

 菅沼克昭教授は、Siemens AG、千住金属工業、昭和電工、上村工業との共同開発により、SiCパワー半導体が300 °Cの温度域まで耐える基板技術を開発しました。

 省エネルギー技術の切り札である電気自動車やハイブリッド自動車に必須の次世代パワー半導体SiCの実用には、200 °Cを越える温度域での安定した動作が望まれていますが、その実現にはデバイスを保護し電気回路を構成する基板・冷却パッケージが必須であり、この200 °Cを越える温度域の基板開発は、これまで誰もが達成できない大きな技術ハードルとなっていました。

今回の開発では、世界の主流である銅貼り基板では解決が出来ない耐熱特性に対し、菅沼教授が20年前に開発したアルミ 貼り基板技術の限界を超え、世界の誰もが予測できなかった 新アルミ 貼り基板技術を開発し、遥かに厳しい条件の300°Cまで耐える優れた安定基板構造を実現しました。

 この開発は、科研費基盤研究(S)の支援を受け行われました。

 本研究成果は第37回定例記者会見で発表いたしました。詳細はこちらをご覧ください。

-40°C~300 °Cの温度衝撃を100 回以上与え、全く欠陥が無い状態
図:-40°C~300 °Cの温度衝撃を100 回以上与え、全く欠陥が無い状態

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呼気センサの製造時間を大幅に短縮 ~呼気から健康診断や重大疾患の早期発見に期待~

 菅原徹助教らは、ヘルスケアを目的として呼気に含まれる揮発性有機化合物(VOC)を検出するナノ構造のガスセンサ素子(図1a)の製造時間を従来の1/10以下まで短縮して作製しました。

 半導体式ガスセンサは、ガス(分子)が、半導体材料の結晶表面につくことで、電気抵抗が下がり、ガスを探知できます。そのため、ガス(呼気)センサには、ナノ材料の大きな比表面積が必要とされます。従来のガスセンサは、複雑な方法で、一旦、ナノ材料を合成し、それを基板に塗ったあと焼いて製造していました。菅原助教らは、それらの複雑な手法を改良し、原料を基板に塗って焼くだけで、ガスセンサを作製することに成功しました。

 このガスセンサのセンシング応答特性は、世界中で報告されている研究成果と比較してトップクラスの性能でした。この研究成果は、ガスセンサをこれまでより短時間かつ低コストで製造できることから、呼気による健康検診の研究開発に応用が期待されます。

 本研究成果は第36回定例記者会見で発表いたしました。詳細はこちらをご覧ください。

図1.aガスセンサ素子の外観写真、bガラス基板上に成長したひげ状の酸化モリブデンナノ粒子(走査型電子顕微鏡像)
図1.aガスセンサ素子の外観写真、bガラス基板上に成長したひげ状の酸化モリブデンナノ粒子(走査型電子顕微鏡像)

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薬剤耐性菌の判別時間 に革命 ! 菌血症治療 で 従来より 2 日早く 、 最適な抗菌薬治療 が可能に

 松本佳巳招へい教授、西野邦彦教授らは(株)フコクの協力を得て、薬剤耐性の有無を判別する感受性試験を従来法では18時間要していたものを3時間以内に短縮する方法を実用化しました。商品名 RaST-TAS チップとして5月末発売予定です。

多剤耐性化が厄介で増殖の遅い緑膿菌の感 受性を3時間以内に判断することができます。また、血液培養で陽性となった検体は、簡単な前処理により直接この試験法にかけることもでき、菌血症治療において従来法より2日早く最適な抗菌薬治療を開始できます。この方法により治療効果の改善、耐性菌出現の抑制、医療費削減等に繋がることが期待されます。

 本研究成果は第35回定例記者会見で発表いたしました。詳細はこちらをご覧ください。

RaST-TASチップに菌液の代わりに青いインクを抽入しているところ
図:RaST-TASチップに菌液の代わりに青いインクを抽入しているところ

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生体適合性ゲル電極を持つ柔軟な有機増幅回路シートの開発に成功 ~体内に埋め込み微弱な生活活動電位の計測が実現~

 関谷毅教授の研究グループと東京大学の染谷隆夫教授は、生体適合性ゲ電極を持つ柔軟な有機増幅回路シートの開発に成功しまた。生体の炎症反応が極めて小さな導電性のゲル素材を開発し、これをセンサーの電極として応用し、極薄の高分子フィルムに製造された有機トランジスターの増幅回路と集積化することによって、センサーを長期間体内に埋め込むことが可能なりました。その結果、微弱な心電信号でも安定して 計測できるようになり、心臓の疾患部位を特定すること成功しました。この新しいデバイスは、使い捨てセンサーとして、手術の現場を支援するセンサーとしての応用など次世代医療デバイスとしてさまざまな応用が期待されます。

 研究はJST戦略的創造研究推進事業の一環として行われました。

 本研究成果は、2016年4月29日付きの英国Nature Communication誌に掲載されます。

 詳細はこちらをご覧ください。

参考図
図1 生体適合性を持つ柔らかいシート型生体信号増幅回路
柔軟なゲル電極とシート型の生体信号増幅回路の集積化により実現
(a) ゲル電極の拡大図(厚みは用途に応じて使い分ける)
(b) シート型生体信号増幅回路の写真と (c)断面模式図

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新しいトポロジカル物質 「ワイル半金属」を発見 -超高速・低消費電力な次世代デバイスの開発に弾み-

小口多美夫教授は、東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の相馬清吾准教授、高橋 隆教授、同理学研究科の佐藤宇史准教授、ケルン大学(ドイツ)の安藤陽一教授らの研究グループと、新型トポロジカル物質「ワイル半金属」の発見に成功しました。今回の成果により、超高速でかつ消費電力を低く抑えた次世代デバイスの開発が大きく進展するものと期待されます。 本成果は、米国物理学会誌フィジカル・レビュー・B の「注目論文」に選ばれ、平成 28 年 4 月 20 日(米国東部時間)にオンライン速報版に掲載されました。

詳細はこちらをご覧ください。

参考図
図1: ディラック粒子(左)とワイル粒子(右)における電子のエネルギー関係の模式図。エネルギー分散が直線的であるために電子の有効質量がゼロとなり、電子は高い移動度を示すようになります。ワイル粒子では、カイラリティの異なる二つの種類の粒子が同時に発生し、その二つが衝突しない限り、有効質量がゼロの状態は永久に保たれます。エネルギー分散が交差するワイル点では、カイラリティの正負に応じて仮想的な磁場が発生して、電子の運動に影響を及ぼします。

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シビックテック発・市政情報発信アプリの地域展開 第1弾が大阪大学と豊中市の共同研究により完成 -市の最新情報をスマホで手軽に入手可能に-

 古崎晃司准教授と豊中市は、市民がIT技術を使って地域の課題を解決する取組み“シビックテック”発の市政情報発信アプリ「PUSH大阪」をベースに、豊中市民が施策やイベントなどの情報をスマートフォンなどでより手軽に入手できる「PUSH豊中市」を開発しました。

「PUSH豊中市」は、同市ホームページに掲載されている新着情報とイベント情報を配信するもので、iOS版とAndroid版を公開しました。iOS版はAPP Storeから、Android版はGoogle Playからダウンロードできます。詳細は「PUSH豊中市」のサポートサイト(http://push.jp.net/toyonaka/)をご覧下さい。 本研究は大阪大学と豊中市が連携協力に関する包括協定を締結していることから実現し、平成27年(2015)10月30日に共同研究契約を締結し、同大学産業科学研究所の古崎晃司准教授と、「PUSH大阪」開発Team*の共同開発により本アプリが完成しました。今後は、豊中市の広報誌「広報とよなか」や同市ホームページで豊中市民に利用を呼び掛けていきます。

<市政情報アプリ「PUSH 豊中市」の特徴>
・広報誌を見られるアプリや観光イベント紹介アプリはあるが、行政が提供する市政情報発信の広報アプリは全国的にも珍しい。
・開発したアプリのベースは住民の問題意識が出発点のシビックテックによるもので、市民ニーズに沿った情報発信が可能に。
・既存のアプリ(PUSH大阪)を大阪大学との共同研究のもと地域展開し、豊中市の市政情報を幅広い世代に配信するアプリを実現した。

 本研究成果は4月26日にプレスリリースいたしました。詳細はこちら

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