産業科学研究所学術講演会

ホームカミング特別講演会

ご挨拶

産研同窓会長 山口 明人

 皆様、産研同窓会をご存知でしょうか?入会される時に入会金を払って頂くだけで終身会員になれます。 また、定期的に同窓会通信がメールにて送られてきます。ですが、これまで同窓会の目立った 活動はほとんど無く、産研OB・OG が参加して頂ける産研の行事もありませんでした。 産研の現役とOB・OG が交流する場を設けたいと、昨年、坂田前会長の下で企画されたのが産研ホームカミングデイです。 産研学術講演会の前座として、産研OB・OG の方に近況、産研への想いなどをご講演頂くと同時に、 OB・OG の方々が産研学術講演会に聴講に来て頂き、その後の懇親会にも参加して頂いて、現役の方と交流していただくことを目指しています。

 本年は第2 回として、元産研所長の川合知二先生が講演して下さいます。演題は「これからの科学技術と産研の未来」です。 川合先生は現役時代、ナノテクセンターの設立や、COE の獲得など、産研の発展のために多大の貢献をされ、 産研の絶頂期を指導された方ですが、ご退職後の現在も、産研特任教授の傍ら、新エネルギー・産業技術総合開発機 構 技術戦略研究センターのセンター長をなさっておられます。研究費の配分を差配するお立場ですね。日本の大学 を巡る科学技術研究の現状は大変厳しいものがありますが、これからどのような方向に向かっていくのか、向かうべ きなのか、その中で産研はどのように積極的に活動していくべきなのか、大変有意義なお話を聞かせていただけるの ではないかと思います。

 実は、川合先生ご自身は、産研の未来を決めるのは現役の方自身なので、自分は日本の科学技術の現状だけを語り たいと仰ったのですが、こちらから、是非、先生の産研の未来に対する御提言もお聞きしたいとお願いして、このよ うな演題にしていただきました。どうか皆様、ふるってご聴講下さるようお願いします。先生のご希望で、講演後に 十分な質疑応答時間も取りますので、学生さんや若手の皆様も是非質問を考えておいて下さい。

   

13:10 ~ 14:10

特別講演:「これからの科学技術と産研の未来」

川合 知二
大阪大学名誉教授
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構技術戦略研究センター長

 1969 年東京大学理学部卒業、1974 年同大学大学院博士課程修了。理学博士。  1975 年東京工業大学助手、1976 年国立分子科学研究所助手。1983 年大阪大学産業科学研究所助教授、  1992 年同研究所教授。2001 年 同研究所 高次インターマテリアル研究センター長。  2002 年 産業科学ナノテクノロジーセンター長。   2004 年~ 2008 年 産業科学研究所 所長。  2007 年 大阪大学 総長補佐, 大阪大学経営協議会委員。  2006 年から現在まで、日本学術会議 連携会員。文部科学省科学技術学術審議会委員など。   専門は、機能材料創成の極微細科学(ナノサイエンス)。2003 年紫綬褒章、2006 年文部科学大臣表彰科学技術賞、   2010 年Top Cited Article 2005-2010 Award(ELSEVIER)など、多数受賞。趣味はハイキング、お寺巡り。   現在、大阪大学産業科学研究所特任教授、東京都市大学特別教授、新エネルギー・産業技術総合開発機構   技術戦略研究センター長として、多機能が調和した人工生体情報材料の創成、DNA ナノテクノロジーの研究を牽引されている。

学術講演会

「産業科学におけるAIのインパクト」

世話人代表 教授 黒田 俊一

  大阪大学産業科学研究所は、新たな産業創成の源泉となる基礎科学を極め、 その成果に立脚して応用科学を展開することを目的に、材料、情報、生体の3領域の研究と ナノテクノロジー・ナノサイエンス領域の研究を推進する総合理工学型研究所として 発展してきました。現在、「産業に資する科学研究の推進」を研究スローガンに掲げ、 産業界や海外機関との連携強化、5附置研究所間ダイナミック・アライアンス事業および物質・ デバイス領域共同研究拠点事業等による共同研究体制の強化にも取り組んでいます。 本年度は、産業科学を支える各分野において日増しに重要性が増してきている人工知能(AI) の意義について改めて考える機会とすべく、産研ご出身のAI の専門家である元田浩先生による学外講演、 各研究部門から4教授による学術講演、そして、すべての研究グループによるポスター発表による プログラムを構成しました。本学術講演会が契機となり、AI を効果的に取り込むことで 産業科学の展開と実装に向けた新たな飛躍となることを期待しております。

 

14:30 ~ 15:30

学外講演:「データサイエンス時代の人工知能-課題と挑戦」

元田  浩
大阪大学名誉教授
米国国防総省空軍科学技術局東京オフィス 科学顧問

 ディープラーニングの成功により、今、人工知能が脚光を浴びている。 1980 年代のエキスパートシステム以来の人工知能ブームである。 エキスパートシステムでは知識の重要性が叫ばれたが、ディープラーニングでは膨大な量のデータが 威力を発揮している。1950 年代に始まった人工知能の研究は、機械学習、データマイニングと 研究の主流を変え、データサイエンスと呼ばれる科学の一分野へと成長した。インターネットの 普及に伴い電子的に可読なデータ量は、指数関数的に増加の一途を辿り、これがもたらす正の面、 負の面を真剣に考えなければならない時代に入った。データサイエンス時代の人工知能が内蔵する 課題を概観し、それらに挑戦する幾つかの研究事例を紹介する。

1965 年東京大学工学部原子力工学科卒業、1967 年同大学院原子力工学専攻修士課程修了。 同年、日立製作所に入社。同社中央研究所、原子力研究所、エネルギー研究所、基礎研究所を経て 1995 年退社。1996 年大阪大学産業科学研究所教授(知能システム科学研究部門、高次推論研究分野)、 2006 年定年退職し、現在、米国空軍科学技術局東京オフィス(AFOSR/AOARD) 科学顧問。 大阪大学名誉教授、同招へい教授、原子力システムの設計、運用、診断、制御に関する研究を経て、 機械学習、知識獲得、知識発見、データマイニング、社会ネットワーク解析の研究に従事。工学博士。


15:40 ~ 16:10

学術講演:「対話システムにおける対話を通じた知識獲得」

駒谷 和範
第1研究部門(情報・量子科学系) 教授

 人と機械がことばを通じてやりとりする対話システムの高度化を目指して研究を進めています。 近年、音声応答を行うロボットやアプリが数多く公開されていますが、その機能は、基本的に 知っている内容に関して尋ねられたことに答えるという範囲を出ません。気の利いたやりとりを 行うには、対話相手から対話の最中に様々な知識を獲得する必要があります。本講演では、 システムが対話を通じて知識を獲得する我々の取り組みを中心に紹介します。知識を獲得する 際にシステムが何も考えずに単純な質問を繰り返すと、対話相手の話す意欲を削いでしまいます。 この問題に対して暗黙的に確認するというアプローチに基づいて、知識を獲得する手法について紹介します。


16:10 ~ 16:40

学術講演:「次世代エレクトロニクス応用に向けたセルロースナノファイバー材料開発」

能木 雅也
第2研究部門(材料・ビーム科学系) 教授

 セルロースナノファイバーとは、幅4-15nm のとても微細な繊維であり、地球上すべての植物に 含まれる無尽蔵な天然資源です。2000 年頃、世界に先駆けて、日本からセルロースナノファイバー の研究開発はスタートし、セルロースナノファイバーの製造方法や、高強度・軽量材料の開発に 向けたプラスチック複合材料の応用などが、現在も活発に研究されています。私達は、セルロース ナノファイバーの次世代エレクトロニクス応用を目指した研究を行なってきました。本講演では、 セルロースナノファイバーを用いた透明フィルム「透明な紙」を中心に、ペーパーエレクトロニクス への応用事例や新たなセルロースナノファイバー材料の紹介を行ないます。


16:50 ~ 17:20

学術講演:「細菌とAI」

西野 邦彦
第3研究部門(生体・分子科学系) 教授

 抗菌薬で治療することのできない感染症が、世界共通の深刻な問題となっています。感染症との戦いに ヒトが用いる強力な武器が「抗菌薬」です。それに対し菌は「薬剤耐性」で抵抗します。敵を識り己を 識らば百戦危うからず、といわれますが、私達の研究目的は、抗菌薬を効かなくさせる病原菌について、 その適応能力を明らかにし、そのうえで我々のもつ力をどのように活用させるかを考えようとするところにあります。 本講演では、情報伝達によって薬剤耐性を誘導する菌の巧妙な機構に加え、今後どのようにしてAI を ヒトと感染症との戦いに活用するのかについてお話しさせていただきます。


17:20 ~ 17:50

学術講演:「ナノスケール複雑系材料と次世代情報処理」

田中 秀和
産業科学ナノテクノロジーセンター 教授

 新しい情報処理デバイスの開発を目指し、従来のデジタル的処理から脱却した柔軟なアナログ型処理デバイス、 神経系を模倣したシナプティック/ ニューロモルフィックデバイス等の研究が活発化しています。 材料中の電子やイオンのナノスケールでの分布により巨大かつ柔軟な物性設計が可能な機能性酸化物材料に おけるヘテロ構造/ ナノ構造を利用した次世代情報処理エレクトロニクスデバイス開発についての研究例を紹介します。


ポスターセッション

掲示13:00~ 討論18:00~


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