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「未来科学捜査」歩容鑑定〜深層学習でどんな向きの人物も認証可能に〜

平成29年11月8日

「未来科学捜査」歩容鑑定
〜深層学習でどんな向きの人物も認証可能に〜

【成果のポイント】

・独自の深層学習モデルの導入により、歩く向きが異なる人物映像から高精度な歩容認証を可能にした。
・防犯カメラで撮影される人物の歩く向きは様々で、従来の画像認識技術では高精度の認証が困難であった。
・本技術により「未来科学捜査」歩容鑑定の適用範囲が大きく広がる。

【概要】

 大阪大学産業科学研究所の八木康史教授らの研究グループでは、AI(人工知能)技術の中でも特に注目を集めている深層学習※1を用いた高精度歩容認証※2技術を開発しました。
 人の歩き方(歩容特徴)は、服装や髪型の差異では変化せず、防犯カメラ等で遠方から撮影した低解像度の映像からでも抽出可能であることから、個人認証を行う上で非常に実用的な特徴として期待されています。
 しかし、カメラに対して人の歩く向きが異なると、人の見え方が大きく異なるため、従来の技術では歩容認証が困難でした。
 大阪大学産業科学研究所の八木教授らの研究グループでは、独自の深層学習モデル(図1)の適用により、歩く向きが異なる映像でも高精度の歩容認証性能を実現しました。

画像1

図1: 歩く向きの違いに応じた深層学習モデル

 本研究成果は、2017年11月8日に情報処理学会 コンピュータビジョンとイメージメディア研究会(CVIM研究会)での発表を予定しています。また、米国科学誌「IEEE Transactions on Circuits and Systems for Video Technology」に2018年1月(オンライン速報版は2017年10月9日公開済み)に公開されます。

【研究内容】

 歩く向きの差が小さい場合、見た目が比較的近くなるため、画像同士の同じ位置での差を特徴として比較することが有効です。一方、歩く向きの差が大きい場合、見た目が大きく異なるため、手の振り方や脚の振り幅等の抽象的な特徴の差を比較することが有効です。
 本開発技術では、独自の深層学習モデルを導入し、これらの特徴を適切に使い分けることで、歩く向きが異なる人物映像から高精度な歩容認証を可能にしました。その結果、歩く向きが大きく異なる場合、従来技術では本人認証※3の誤り率が約40%であったのに対し、本開発技術では約4%(世界最高精度)まで低減できました。これにより、今まで適用できなかった歩く向きが異なる場合についても歩容鑑定が可能になり、「未来科学捜査」歩容鑑定の適用範囲を大きく広げます。
 さらに、深層学習に用いる評価基準を適切に変更することで、本人認証のみならず、カメラに映った複数の人物から特定の一人を探すといった個人識別※4が可能となる技術も開発しました。
 これらの技術により、店舗・商業施設等で同一人物の移動経路の解析に利用することで、マーケティングや顧客に応じたサービスの提供等、犯罪捜査以外の様々な用途への適用が期待されます。

【本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)】

 本研究成果により、撮影方向の異なる歩行に対して高精度な認証が可能となったことは、「未来科学捜査」歩容鑑定の適用範囲の拡大に大きく貢献することが期待されます。日本では2020年に東京オリンピックを控え、テロや犯罪などに対する安全対策の近代化が喫緊の課題ですが、本開発技術を用いることで防犯カメラを用いた不審者や容疑者の特定や追跡を迅速に行うことが期待されます。

【特記事項】

 本研究成果は、2017年11月8日に情報処理学会 コンピュータビジョンとイメージメディア研究会(北海道大学)で発表を予定しています。また、2018年1月(オンライン速報版は2017年10月9日公開済み)に米国科学誌「IEEE Transactions on Circuits and Systems for Video Technology」に掲載されます。

 タイトル:“On Input/Output Architectures for Convolutional Neural Network-Based Cross-View Gait Recognition”
 著者名:Noriko Takemura, Yasushi Makihara, Daigo Muramatsu, Tomio Echigo and Yasushi Yagi

 本研究は、三菱電機株式会社の協力のもと、大阪大学産業科学研究所 三菱電機広域エリアセキュリティテクノロジー共同研究部門の研究の一環として実施したものです。

【用語解説】

※1 深層学習
多層のニューラルネットワークによる機械学習手法。


※2 歩容認証
人の歩き方を分析し、個人を識別する技術。


※3 本人認証
二つの歩行映像が同一人物か否かを認証する歩容認証タスク。1対1認証。


※4 個人識別
入力された歩容映像が登録済みの複数の歩容データのどの人物と同一人物かを識別する歩容認証タスク。1対多認証。

【研究者のコメント】

 歩く向きが異なる歩行を認証する際に、考え得る状況(歩容認証の用途や歩く向きの違い)について、それぞれどのような識別モデルが適しているのかを整理し、それらを実現する独自の深層学習モデルの構造設計に苦労しました。
 歩容認証性能に影響を及ぼす要因は撮影方向以外に、服装や荷物等も想定されますが、本モデルはこれらの要因にも適用可能であると考えられ、本技術の「未来科学捜査」歩容鑑定の適用範囲拡大への貢献は大きいと言えます。

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「未来科学捜査」歩容鑑定〜深層学習でどんな向きの人物も認証可能に〜

平成29年11月8日

「未来科学捜査」歩容鑑定
〜深層学習でどんな向きの人物も認証可能に〜

【成果のポイント】

・独自の深層学習モデルの導入により、歩く向きが異なる人物映像から高精度な歩容認証を可能にした。
・防犯カメラで撮影される人物の歩く向きは様々で、従来の画像認識技術では高精度の認証が困難であった。
・本技術により「未来科学捜査」歩容鑑定の適用範囲が大きく広がる。

【概要】

 大阪大学産業科学研究所の八木康史教授らの研究グループでは、AI(人工知能)技術の中でも特に注目を集めている深層学習※1を用いた高精度歩容認証※2技術を開発しました。
 人の歩き方(歩容特徴)は、服装や髪型の差異では変化せず、防犯カメラ等で遠方から撮影した低解像度の映像からでも抽出可能であることから、個人認証を行う上で非常に実用的な特徴として期待されています。
 しかし、カメラに対して人の歩く向きが異なると、人の見え方が大きく異なるため、従来の技術では歩容認証が困難でした。
 大阪大学産業科学研究所の八木教授らの研究グループでは、独自の深層学習モデル(図1)の適用により、歩く向きが異なる映像でも高精度の歩容認証性能を実現しました。

画像1

図1: 歩く向きの違いに応じた深層学習モデル

 本研究成果は、2017年11月8日に情報処理学会 コンピュータビジョンとイメージメディア研究会(CVIM研究会)での発表を予定しています。また、米国科学誌「IEEE Transactions on Circuits and Systems for Video Technology」に2018年1月(オンライン速報版は2017年10月9日公開済み)に公開されます。

【研究内容】

 歩く向きの差が小さい場合、見た目が比較的近くなるため、画像同士の同じ位置での差を特徴として比較することが有効です。一方、歩く向きの差が大きい場合、見た目が大きく異なるため、手の振り方や脚の振り幅等の抽象的な特徴の差を比較することが有効です。
 本開発技術では、独自の深層学習モデルを導入し、これらの特徴を適切に使い分けることで、歩く向きが異なる人物映像から高精度な歩容認証を可能にしました。その結果、歩く向きが大きく異なる場合、従来技術では本人認証※3の誤り率が約40%であったのに対し、本開発技術では約4%(世界最高精度)まで低減できました。これにより、今まで適用できなかった歩く向きが異なる場合についても歩容鑑定が可能になり、「未来科学捜査」歩容鑑定の適用範囲を大きく広げます。
 さらに、深層学習に用いる評価基準を適切に変更することで、本人認証のみならず、カメラに映った複数の人物から特定の一人を探すといった個人識別※4が可能となる技術も開発しました。
 これらの技術により、店舗・商業施設等で同一人物の移動経路の解析に利用することで、マーケティングや顧客に応じたサービスの提供等、犯罪捜査以外の様々な用途への適用が期待されます。

【本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)】

 本研究成果により、撮影方向の異なる歩行に対して高精度な認証が可能となったことは、「未来科学捜査」歩容鑑定の適用範囲の拡大に大きく貢献することが期待されます。日本では2020年に東京オリンピックを控え、テロや犯罪などに対する安全対策の近代化が喫緊の課題ですが、本開発技術を用いることで防犯カメラを用いた不審者や容疑者の特定や追跡を迅速に行うことが期待されます。

【特記事項】

 本研究成果は、2017年11月8日に情報処理学会 コンピュータビジョンとイメージメディア研究会(北海道大学)で発表を予定しています。また、2018年1月(オンライン速報版は2017年10月9日公開済み)に米国科学誌「IEEE Transactions on Circuits and Systems for Video Technology」に掲載されます。

 タイトル:“On Input/Output Architectures for Convolutional Neural Network-Based Cross-View Gait Recognition”
 著者名:Noriko Takemura, Yasushi Makihara, Daigo Muramatsu, Tomio Echigo and Yasushi Yagi

 本研究は、三菱電機株式会社の協力のもと、大阪大学産業科学研究所 三菱電機広域エリアセキュリティテクノロジー共同研究部門の研究の一環として実施したものです。

【用語解説】

※1 深層学習
多層のニューラルネットワークによる機械学習手法。


※2 歩容認証
人の歩き方を分析し、個人を識別する技術。


※3 本人認証
二つの歩行映像が同一人物か否かを認証する歩容認証タスク。1対1認証。


※4 個人識別
入力された歩容映像が登録済みの複数の歩容データのどの人物と同一人物かを識別する歩容認証タスク。1対多認証。

【研究者のコメント】

 歩く向きが異なる歩行を認証する際に、考え得る状況(歩容認証の用途や歩く向きの違い)について、それぞれどのような識別モデルが適しているのかを整理し、それらを実現する独自の深層学習モデルの構造設計に苦労しました。
 歩容認証性能に影響を及ぼす要因は撮影方向以外に、服装や荷物等も想定されますが、本モデルはこれらの要因にも適用可能であると考えられ、本技術の「未来科学捜査」歩容鑑定の適用範囲拡大への貢献は大きいと言えます。