大阪大学 産業科学研究所

contact
home
english
HOME > HotTopics > AIが対話の流れから単語を学ぶ手法を開発 -人間と会話しながら学んでいくAIへ新たな一歩-

AIが対話の流れから単語を学ぶ手法を開発 -人間と会話しながら学んでいくAIへ新たな一歩-

平成29年12月22日

AIが対話の流れから単語を学ぶ手法を開発
-人間と会話しながら学んでいくAIへ新たな一歩-

【成果のポイント】

・対話システム※1において、知らない単語に関する推定が正しいかどうかを対話の流れの中から判定し、その知識を獲得する手法を開発。
・対話システムが知識を獲得するために「××って何ですか?」のような質問ばかりを繰り返すと人間は、煩わしいと感じるが、本手法ではそのような質問をすることなく話を続けながら推定した知識の正誤を判定できる。
・「万人向けに作られた人工知能」ではなく、「あなたにテーラーメイドされた人工知能」が今後重要となると考えられる。知らない単語について話を通じて学び、相手に合わせて次第に賢くなっていく対話システムの実現に向けた新たな一歩である。

【概要】

 大阪大学産業科学研究所の駒谷和範教授らの研究グループは、対話システムにおいて、知らない単語に関する推定結果が正しいかどうかを対話の流れの中から判定する暗黙的確認という手法を新たに開発しました。
 近年、音声応答を行うロボットやアプリが数多く公開されていますが、その機能は基本的に事前にシステムに組み込まれた知識に基づいて、質問に答えるというものです。
 他にも、人間に質問して学ぶという手法もありますが、単純に知識を獲得しようとして、対話の最中にシステムが「××って何ですか?」のような質問ばかりを繰り返すと人間が対話を続ける意欲を削いでしまいます。
 駒谷教授らのグループは①直接的に尋ねずにその推定結果が正しいと仮定して話を続け、それに対する相手の反応も踏まえて正誤を判定する。②複数の人とのやりとりを総合して正誤判定の精度を上げる。の2つを組み合わせた手法を開発しました。①、②にはいずれも機械学習※2技術が使われています。
 この成果によって、開発者が事前に用意したり更新したりしたやりとりができるだけでなく、人間と話すにつれて自ら学んで次第に賢くなっていく対話システムの実現が期待されます。

画像1

図1 暗黙的確認の例

【研究内容】

 対話システムにおいて、未知語(自らの知識にない単語)への対応が課題です。近年は、質問により未知語を獲得する手法が提案されていますが、雑談対話において「××って何ですか?」といった質問をシステムが逐一行ってしまうと、ユーザは煩わしく感じます。また、「××って何ですか?」という質問に対して、あるユーザが言ったことをシステムが鵜呑みにすると、間違った知識を覚えてしまいかねません。
 これらの問題を回避するために、駒谷教授らのグループは、雑談対話中に現れた未知語のクラスを対話中に獲得する暗黙的確認という手法を開発しました。
 まず、未知語の表記からその所属クラスを推定し、その結果から暗黙的な確認要求を生成することで、対話を継続させつつ知識を獲得することを狙います。
 この際に、ユーザの応答だけでなく、その前のユーザ発話やシステムの応答との関係を捉えて、機械学習技術により推定の正誤判定を行う手法を開発しました。さらに、1人のユーザとのやりとりから得た正誤判定結果を組み合わせて、複数の人との対話を考慮することで正誤判定の性能を向上させる手法も開発しました。

【本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)】

 現在、世に出ている様々な対話システムは、どのような相手に対しても同じように、ある意味平均的に話します。しかし今後対話システムが世の中で使われるにつれ、話す内容や話し方など、その場その場で相手から学びながら話せることが必須となるでしょう。本研究成果は、人間と話すにつれて、自ら学んで次第に賢くなっていく対話システムの実現に向けた新たなアプローチであり、自動テーラーメイドが可能な対話システムの実現に繋がるものです。

【特記事項】

 本研究成果は、2017年8月17日に、談話と対話に関する国際会議SIGDIAL2017 (The 18th Annual SIGdial Meeting on Discourse and Dialogue) にて講演発表しました。
 タイトル:“Lexical Acquisition through Implicit Confirmations over Multiple Dialogues”
 著者名: Kohei Ono, Ryu Takeda, Eric Nichols, Mikio Nakano and Kazunori Komatani
 http://www.sigdial.org/workshops/conference18/proceedings/pdf/SIGDIAL7.pdf

 なお、本研究は(株)ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンとの共同研究の一環として行われました。また本研究の一部は、日本学術振興会科学研究費補助金JP16H02869の助成を受けて実施しました。

【用語解説】

※1 対話システム
 人とことばを用いて話をするシステムで、人工知能のひとつです。音声を入力とした音声応答アプリや対話をするロボット、テキストを入力として雑談をするチャットボットが最近多く開発されています。会話システムとも呼ばれます。


※2 機械学習
 データに基づいて推論や判断を自動で行えるようにするための技術で、人工知能の技術のひとつです。機械学習には、教師あり学習、教師なし学習、強化学習があり、本研究では教師あり学習を使っています。教師あり学習は、状況と正解を与えることでそれらを繋ぐように学習が行われ、別の状況に対する判断をできるようにする学習方法です。


【研究者のコメント】

「一見賢いがすぐに飽きられる」対話システムの次を見据えて研究を進めています。人工知能、特に対話システムは、現在の大量一括生産型から、個々の家庭や人間に適応可能な能力を持つことが重要になってくると考えています。

【キーワード】

知能情報学、対話システム、知識獲得、暗黙的確認
Intelligent Informatics, Dialogue systems, Knowledge acquisition, Implicit confirmation

【関連リンク】

知識科学研究分野
研究室サイト

大阪大学 産業科学研究所

contact home english
HOME > HotTopics > AIが対話の流れから単語を学ぶ手法を開発 -人間と会話しながら学んでいくAIへ新たな一歩-

AIが対話の流れから単語を学ぶ手法を開発 -人間と会話しながら学んでいくAIへ新たな一歩-

平成29年12月22日

AIが対話の流れから単語を学ぶ手法を開発
-人間と会話しながら学んでいくAIへ新たな一歩-

【成果のポイント】

・対話システム※1において、知らない単語に関する推定が正しいかどうかを対話の流れの中から判定し、その知識を獲得する手法を開発。
・対話システムが知識を獲得するために「××って何ですか?」のような質問ばかりを繰り返すと人間は、煩わしいと感じるが、本手法ではそのような質問をすることなく話を続けながら推定した知識の正誤を判定できる。
・「万人向けに作られた人工知能」ではなく、「あなたにテーラーメイドされた人工知能」が今後重要となると考えられる。知らない単語について話を通じて学び、相手に合わせて次第に賢くなっていく対話システムの実現に向けた新たな一歩である。

【概要】

 大阪大学産業科学研究所の駒谷和範教授らの研究グループは、対話システムにおいて、知らない単語に関する推定結果が正しいかどうかを対話の流れの中から判定する暗黙的確認という手法を新たに開発しました。
 近年、音声応答を行うロボットやアプリが数多く公開されていますが、その機能は基本的に事前にシステムに組み込まれた知識に基づいて、質問に答えるというものです。
 他にも、人間に質問して学ぶという手法もありますが、単純に知識を獲得しようとして、対話の最中にシステムが「××って何ですか?」のような質問ばかりを繰り返すと人間が対話を続ける意欲を削いでしまいます。
 駒谷教授らのグループは①直接的に尋ねずにその推定結果が正しいと仮定して話を続け、それに対する相手の反応も踏まえて正誤を判定する。②複数の人とのやりとりを総合して正誤判定の精度を上げる。の2つを組み合わせた手法を開発しました。①、②にはいずれも機械学習※2技術が使われています。
 この成果によって、開発者が事前に用意したり更新したりしたやりとりができるだけでなく、人間と話すにつれて自ら学んで次第に賢くなっていく対話システムの実現が期待されます。

画像1

図1 暗黙的確認の例

【研究内容】

 対話システムにおいて、未知語(自らの知識にない単語)への対応が課題です。近年は、質問により未知語を獲得する手法が提案されていますが、雑談対話において「××って何ですか?」といった質問をシステムが逐一行ってしまうと、ユーザは煩わしく感じます。また、「××って何ですか?」という質問に対して、あるユーザが言ったことをシステムが鵜呑みにすると、間違った知識を覚えてしまいかねません。
 これらの問題を回避するために、駒谷教授らのグループは、雑談対話中に現れた未知語のクラスを対話中に獲得する暗黙的確認という手法を開発しました。
 まず、未知語の表記からその所属クラスを推定し、その結果から暗黙的な確認要求を生成することで、対話を継続させつつ知識を獲得することを狙います。
 この際に、ユーザの応答だけでなく、その前のユーザ発話やシステムの応答との関係を捉えて、機械学習技術により推定の正誤判定を行う手法を開発しました。さらに、1人のユーザとのやりとりから得た正誤判定結果を組み合わせて、複数の人との対話を考慮することで正誤判定の性能を向上させる手法も開発しました。

【本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)】

 現在、世に出ている様々な対話システムは、どのような相手に対しても同じように、ある意味平均的に話します。しかし今後対話システムが世の中で使われるにつれ、話す内容や話し方など、その場その場で相手から学びながら話せることが必須となるでしょう。本研究成果は、人間と話すにつれて、自ら学んで次第に賢くなっていく対話システムの実現に向けた新たなアプローチであり、自動テーラーメイドが可能な対話システムの実現に繋がるものです。

【特記事項】

 本研究成果は、2017年8月17日に、談話と対話に関する国際会議SIGDIAL2017 (The 18th Annual SIGdial Meeting on Discourse and Dialogue) にて講演発表しました。
 タイトル:“Lexical Acquisition through Implicit Confirmations over Multiple Dialogues”
 著者名: Kohei Ono, Ryu Takeda, Eric Nichols, Mikio Nakano and Kazunori Komatani
 http://www.sigdial.org/workshops/conference18/proceedings/pdf/SIGDIAL7.pdf

 なお、本研究は(株)ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンとの共同研究の一環として行われました。また本研究の一部は、日本学術振興会科学研究費補助金JP16H02869の助成を受けて実施しました。

【用語解説】

※1 対話システム
 人とことばを用いて話をするシステムで、人工知能のひとつです。音声を入力とした音声応答アプリや対話をするロボット、テキストを入力として雑談をするチャットボットが最近多く開発されています。会話システムとも呼ばれます。


※2 機械学習
 データに基づいて推論や判断を自動で行えるようにするための技術で、人工知能の技術のひとつです。機械学習には、教師あり学習、教師なし学習、強化学習があり、本研究では教師あり学習を使っています。教師あり学習は、状況と正解を与えることでそれらを繋ぐように学習が行われ、別の状況に対する判断をできるようにする学習方法です。


【研究者のコメント】

「一見賢いがすぐに飽きられる」対話システムの次を見据えて研究を進めています。人工知能、特に対話システムは、現在の大量一括生産型から、個々の家庭や人間に適応可能な能力を持つことが重要になってくると考えています。

【キーワード】

知能情報学、対話システム、知識獲得、暗黙的確認
Intelligent Informatics, Dialogue systems, Knowledge acquisition, Implicit confirmation

【関連リンク】

知識科学研究分野
研究室サイト