大阪大学 産業科学研究所

ISIR OSAKA UNIVERSITY

所長あいさつ

所長 関野 徹所長 関野 徹
 産業科学研究所は、「産業に必要な自然科学の基礎と応用」に関する研究機関を大阪に設置したいという関西財界の強い要望を受け、1939年、現在の大阪大学の前身である大阪帝国大学に設立されました。この間、時代の要請に伴い組織改編と研究分野の充実を重ね、新たな学際融合研究の展開を目指して、2009年に現在の姿である第1研究部門(情報・量子科学系)、第2研究部門(材料・ビーム科学系)、第3研究部門(生体・分子科学系)、及び、産業科学ナノテクノロジーセンターの4部門に改組・拡充しました。また、大学法人化の後には大学の垣根を超えた附置研究所間アライアンスをいち早く構築し、東北大多元研、北大電子研、東工大研究院化生研、九大先導研と共に共同研究プロジェクト(2016年度より“人・環境と物質をつなぐイノベーション創出ダイナミック・アライアンス”)を推進すると共に、5附置研が一体となって運用する我が国初のネットワーク型「物質・デバイス領域共同研究拠点」を推進するなど、全国の大学、企業研究者とのきめ細やかなネットワーク形成と研究力向上による科学・技術の進展に努めて参りました。
 日本の、そして世界の社会情勢・産業構造は日々常に変化し続けていますが、創立から80年を超えた今なお研究所の理念は変わることなく、いち早く次の科学・技術の方向を見出し、先端科学の牽引と世界に先導する技術の社会実装を強力に推進しています。たとえば、社会実装が大きく進みつつあるAIなどの情報科学研究では、1970年代には今日に繫がる研究分野を設置し、学術研究の発展に大きく貢献を果たして参りました。これを基盤として、産研の強みである量子、材料、ビーム、生体、分子、ナノテクの各研究領域との横断的な学際融合研究を推進するため、2019年4月に「産業科学AIセンター」を設置し、AIを活用する次世代産業科学の基盤構築と、社会・産業への実装による新たな産業科学イノベーションを指向した活動を進めています。一方、国際的な認知度向上と産研ブランドの強化展開を図るために、2021年6月より英語の正式名称を”SANKEN“と変更致しました。これにより、グローバルに躍動できる研究集団として国際的な共創を更に進め、世界共通の諸課題解決への貢献を図ります。
 産業科学研究所は今後も、多様な科学分野に跨る研究から生まれる知を日々積み上げ、多くの社会的課題解決と持続的な発展のための技術として昇華させて社会へと確実に展開するという産研の使命を忘れることなく、多様・多彩な学術コミュニティー・大学・研究機関・企業等を始めとする皆様との連携や共創も強力に進め、世界最高水準の研究・教育の場で有り続ける努力を実践いたします。引き続き皆様の温かいご支援とご指導、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。