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3.切粉由来シリコンナノ粒子のリチウムイオン二次電池負極への応用 (図1 シリコン電極のリチウムイオン電池電極特性) 近年、電気自動車の高性能化に向け、リチウムイオン二次電池の高容量化に対する要求が高まってきており、新たな電極活物質材料の探索が盛んに行われています。シリコン電極は、約4000 mAh g-1という現在広く使われているグラファイト電極(理論容量372 mAh g-1)の10倍以上の理論容量を示すため、また作動電位も低いことから、次世代リチウムイオン二次電池用負極材料として最も注目されている材料です(図1)。しかし、充電時にリチウムとの合金化に伴い体積が約4倍に膨張するため、シリコンが破裂して良好なサイクル特性が得られなく、また電子伝導性・イオン伝導性も比較的低いという問題点があります。これらの問題を解決するために、シリコン粒子のナノ粒子化やカーボンとの複合化が広く研究されています。小林研究室では、シリコン切粉から作製したシリコンナノ粒子をリチウムイオン二次電池用負極材料として応用するための研究を行っています。 図2に示すようなコインセルを作製し、リチウムイオン電池としてのシリコン電極性能の評価を行っています。まず、作製したシリコンナノ粒子を導電助剤・結着剤と混合してCu箔上に塗布することで合剤電極を作製します。電解液を含ませたシリコンの合剤電極を、セパレータを介して、対極であるリチウム箔と密着させ、コイン型の電池を作製します。 (図2 シリコン負極を用いたハーフセルの作製) 図3に切粉由来のシリコンナノ粒子を用いて作製した電極のサイクル特性を示します。得られたシリコン電極は、比較的小さな電流密度(0.18 A g-1)においては、3000 mAh g-1を超える大きな放電容量を示し、3.6 A g-1という大きな電流密度においても2200 mAh g-1の容量を維持することが分かりました。これは、現在用いられている黒鉛電極の理論容量の6倍程度の容量です。また、70サイクル後においても、初期の放電容量に比べ、容量がほとんど低下していないことも確認できました。 (図3 切粉由来のシリコンナノ粒子を用いて作製した電極の充放電特性) 現在、さらなる高容量化および数百〜数千サイクルという長期サイクルにも耐えることのできるシリコン電極の作製に向けて、シリコンナノ粒子の結晶子サイズの最適化やカーボン材料との複合化などの検討を行っています。 |
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