不斉ホモカップリング反応のような同一種の二分子の基質の活性化に有効な二重活性化機構を有する触媒の開発に成功しています。新規バナジウム二核錯体触媒は、R体のジホルミルビナフトールとアミノ酸であるtert-(S)-ロイシンから導かれるジイミン体に対し四当量の酸化硫酸バナジウム（VOSO4）を添加することで得られます。本触媒は、空気雰囲気下、2-ナフトールのカップリング反応において、光学収率94%でカップリング体を与えます。本反応の二重活化機構は、反応速度解析等から支持されています。また、ナフチルフェニル、ビフェニル、およびビテトラリン骨格から成るバナジウム二核錯体においても二重活性化能を発現させることに成功しました。
BINOLの3位にルイス塩基として機能するピリジルアミノメチルあるいはジフェニルホスフノフェニル部位を導入した有機分子触媒の合成に成功しています。α,βー不飽和カルボニル化合物類とトシルアルドイミン誘導体との不斉aza-Morita-Baylis-Hillman反応に本触媒を用いると、高収率、高選択的に付加体を与えます。
