平成13年度 機器・分析技術研究会

発  表  要  旨


口 頭 発 表
発表番号 発表番号 講演者所属 発表者 要    旨
O- 1-T 東海・北陸地区国立学校等技術専門職員研修(物理・化学)の報告
 − 能動的な研修を目指して −
名古屋工業大学技術部 荒川和己 今年度の標記研修は,名古屋大学,名古屋工業大学,核融合科学研究所が当番校となり,本学は「物理・化学コース」を担当した。この中で専門職員研修としては,初の試みである「技術討論」を行った。この討論会では事前に受講者にアンケートを送付し,その結果をもとにして討論内容を決定した。討論会では,受講者と実習担当者が研修に関わる内容だけでなく,組織化の状況や法人化への対応,定員削減,技術評価などについて有意義な情報交流を行うことができた。この討論会および名工大が行った技術部調査について報告する。
O- 2-T 研究室内の事故対応の教育とそのシステム作りの記録 大阪大学基礎工学部 大和卓司  1990年、私たちの研究室において学生が工作センターで機械工作中にけがをし、翌年から安全に関する問題を「4回生の研究室講習会」に取り上げた。研究室で安全に作業するための基本的な考え方を講義し、「研究室生活でけがをしないために」マニュアル、さらに事故対応マニュアル作りなどに取り組み現在に至っている。この11年間の実績は各方面に役立つと考えるので、研究室における事故対応の教育とそのシステム作りなどについて報告する。
O- 3-T 学科で掲げる目標を凝縮した演習授業の技術者育成の達成度 山梨大学コンピュータメディア工学科 ○坂本忠明,
小澤賢司,
森澤正之,
郷健太郎,
今宮淳美
学科目標を具体化した一手段である演習授業の目的は、(1)心理物理学的な分析技術の獲得、(2)実験系のレポート作成能力を育成することにある。その授業における、受講学生の技術レベルの達成度や、満足感について評価した分析技法と結果を述べる。
O- 4-T 解体新書的に見る廃棄機器の再装置化に関する一試行 第2報 廃プラ熱融着選別装置への分別樹脂供給装置の試作開発 東京工業大学大学院理工学研究科 岩田正孝 廃棄プラスチックの再資源化では樹脂を如何に効率よく低コストで選別化するかにある.前報ではその一手法として樹脂融着温度差を利用する選択分別装置の試作開発を行いその有用性を示した.本報では,融着現象をより伝熱学的に検討する目的で分別精度安定化の為に製作した付加型分別樹脂投入装置を概説する.
O- 5-U 銅の低濃度酸素分析での2段階加熱の応用 名古屋大学 工学研究科材料機能工学専攻 ○高井章治,
栗本和也
近年,各種金属の新機能創出をめざす高純度化の研究に伴い,微量酸素濃度分析のニーズも高く,精度も要求されています。しかし,その精度には,まだ信頼性に欠ける要因があり,その一つとして表面酸化や酸化物の除去があります。これまでの報告で,不活性ガス融解-赤外線吸収法を用いて,鉄や銅等に2段階加熱条件を駆使した方法で効果を上げているという報告があり,本報告は,銅についてこの方法を応用した結果を報告する。
O- 6-U 光反応による機能性化合物の高効率合成および光を用いるターゲット化学種の定量 群馬大学工学部 ○猪熊精一,
西村 淳
ビニルアレーン類への光照射により、大環状化合物を合成することに成功した。得られた化合物を含めて、演者らが合成した新規化合物を用いて特定化学種の定量を行ったところ評価に値する結果を得た。
O- 7-U ICP発光分析の検出限界に関する考察 筑波大学 分析センタ− 池田 智 当センタ−所有のICP発光分析器 ( ICAP-757v 日本ジャ-レルアッシュ 製 ) の、固定39元素について、検出限界を求めたところ、R.K.Wingeらによる値と同程度のものが得られた。また、検出限界はホトマルに印加する電圧によって変化し、信号対バックグラウンド比のホトマル電圧による変化とノイズの大きさのホトマル電圧による変化との兼ね合いで、極小値を与える場合が多く見られた。
O- 8-V イオンビ−ムスパッタセクショニング装置の試作と拡散係数の測定 岩手大学工学部技術部分析技術班 野中勝彦 固体中における拡散係数の測定法の一つに,放射性同位元素を用いたトレ−サ−法が挙げられる。本報告においてはこのトレ−サ−法とイオンビ−ムスパッタリングによるナノオ−ダ−のセクショニング法を併用し10−22 m2%s−1程度までの非常に小さな拡散係数を測定できる装置の試作と改良,そして拡散係数の測定が成功するまでの立ち上げ実験について紹介する。
O- 9-V 高温領域における超音波測定装置の開発とその性能試験 岐阜大学工学部技術部物質・システム系技術室 秋田正之 耐熱材料の開発にあたり,特性評価,物性評価の検討は最適材料を見いだすためにも必要である.これら検討手段の一つとして超音波手法は有意義である.この意義のもとに,室温から1200℃を測定温度範囲とする超音波測定装置の開発を試みた.当装置の測定評価のため,オーステナイト系ステンレス鋼(SUS310S)を対象に高温度下の測定を行い,その性能を検討した.
O-10-V 波長可変Tm3+-Ho3+ファイバレーザ 群馬大学 工学部電気電子工学科 ○佐藤伸一,
高橋佳孝
中赤外光の波長2マイクロメートル帯で発振するレーザは、医療や加工などの用途に加えてリモートセンシングや各種分析用光源としても有用である。この光源として、効率が高く伝送にも有利なファイバレーザに着目し、Tm-Hoを利得媒質とする2マイクロメートル帯のレーザを作製したので、その構成並びに発振波長の制御と微小分析・加工用光源としての可能性について考察する。
O-11-V GXII号レーザー実験装置用補助機器の設計、製作 大阪大学 レーザー核融合研究センター ○前川 修,
桑本武典
GXII号による爆縮実験においては、計測機、ターゲット導入装置や、その他の補助的な装置が使用されるが、それらの使用時のセッティングや動作時のモニターなどを、実験前、実験中には行わなくてはならない。本発表において、これまでそれらの目的のため設計し、製作してきた、実験には直接関係はないが、なければ実験時の測定などがスムーズにできなくなるような器具や装置の紹介、説明を行う。(例:レーザーポインターを使った画像計測機アライメント器具、ターゲット導入補助器具、ターゲット導入装置内機構動作常時モニター系他。)
O-12-W 遠赤外スペクトル用「液体セル」の創作 大阪大学理学部分析機器測定室 ○大濱光央,
宮本浩之(阪大工作セ)
液体の遠赤外スペクトルはあまり一般には測定されていないが,その測定にはポリエチレンの組立てセルが用いられる。その際,セルの厚さ,気密性,ポリエチレンによる液体の吸収など幾つかの問題点がある。今回それらを解決する簡便な液体セルを創作したので報告する。
O-13-W 連続低温制御・温度スイ−プ装置を用いて温度制御された微少抵抗測定システムの試作 岡崎国立共同研究機構・分子科学研究所 分子物質開発研究センター 酒井雅弘 SQUID磁化測定装置に装着された連続低温制御・温度スイ−プ装置の温度制御能力については、平成11年度本技術研究会にて報告した。今回この高い温度制御能力と、手動挿入ユーティリティプローブおよびEDC(外部装置コントロール)ソフトを用いて温度・磁場・印加電流・電圧測定がコントロールできる微少抵抗測定システムを試作した。講演では、超伝導体であるインジウム薄膜の電気抵抗測定結果等を示す予定である。
O-14-W 極低温下における高周波対応の測定治具の開発 名古屋大学 工学部電気系技術室 澤木弘二 次世代高速素子として、スイッチング速度が非常に速く低消費電力の超伝導素子があげられる。しかし、超伝導体は依然極低温で動作するものであり、常温と極低温間のインターフェイスは重要な問題になっている。高速な入出力を可能にするため、超伝導素子がのった基板等の線路インピーダンスを50Ωにし、全てにマッチングを取れるようにし、極低温下で信号速度が1GHzを超えることができる高周波対応の測定治具を開発した。
O-15-W 上方移動式の粉体粒子供給機の製作 群馬大学 工学部生物化学工学科 江原幸蔵 研究室で乾式分級する場合、粉体粒子を極少量でしかも偏析を起こさず均一に定量的に供給する必要がある。著者は各種タイプの供給機を検討し、電磁式粉体粒子供給機を改良し研究室規模に見合った上方移動方式による粉体粒子供給機の設計・製作を行い良好な結果を得たのでここに報告する。
O-16-X 圧力測定フィルムによるバイオリン演奏時に弓にかかる力の測定 東京工業大学 精密工学研究所 松谷晃宏 弦楽器の音色の研究は,楽器の振動特性や周波数解析などをきわめて物理的に単純化して研究していることが多い。しかし,弦楽器の実際の音色は,楽器そのものよりも弓の良否や奏者の腕前に左右されることの方が多いことはよく知られている。筆者は,バイオリン歴約30年であり,アマチュアのオーケストラで首席奏者などを経験してきた。本研究では,ある程度の演奏技術をもつ奏者からみた弦楽器演奏における,弓と弦,弓とそれを保持する右手の指との圧力分布測定と音色の関係などについて現実に則した研究を行った。
O-17-X 電子ビーム分極反転における蓄積電荷分布の観察 静岡大学電子工学研究所 ○粟野春之,
小田大輔,
皆方 誠
筆者らは電子ビーム描画法を用いてナノメートル分極制御を目指している。LiTaO3 結晶の -Z面に、加速電圧20kV、ビーム電流200pAで電子ビームを照射すると1μm角の描画パターンに対して直径150μmの反転パターンが得られた。この時の電荷分布をSEMにより直接観察することができたので報告する。これより提案してきた「砂時計型電荷分布モデル」が妥当であることが解った。
O-18-X 微粒子の平均粒子径に関する測定技術の修得 福井大学 技術部 ○藤田和美,
橋谷茂雄,
佐藤秀左エ門,
田畑 功
高分子微粒子の平均粒子径を測定する方法としては乾式法による透過型電子顕微鏡写真法で求めるのが一般的である。しかしながらダイナミック光散乱法(DLS)では媒体に分散させたままで平均粒子径が測定できるため、多くの分野で利用されている.この技術研究会では粒子径分布がそれぞれの測定方法による影響について報告する。
O-19-X マイクロ波プラズマCVDによるダイヤモンドの配向制御 佐賀大学機器分析センター ○池田 進,
芳尾真幸,
藤田寛治(理工),
宍戸統悦(東北大金材研),
菅原孝昌(東北大金材研),
稲葉克彦(理学電機)
異種下地基板上ではダイヤモンドの表面エネルギーが最も大きいことから孤立粒子として成長する。この孤立粒子は(100)、(111)面が発達した結晶粒子からなる。そこで、合成条件などを制御することにより特定の結晶面からなる配向粒子の成長が可能になる。本報告では下地基板と配向の関係について述べる。



ポ ス タ ー 発 表
発表番号 発表番号 講演者所属 発表者 要    旨
P- 1-B 名古屋大学工学部・工学研究科機器分析室の紹介 名古屋大学 工学部・工学研究科技術部 ○永田陽子,
調子晴久,
近藤一元,
駒井慎一
工学部・工学研究科の支援室として機器分析室が昨年11月仮発足し、本年4月に正式発足した。機器分析室には、7名の技官と13機種の分析機器と大型プリンター1台が配置されている。各機器毎に使用料および依頼測定料を徴収し独立採算運営方式とし、機器分析室の全般的な運営は技官が行う。また、将来の技術部組織運営のモデルケースとしても注目されている。本発表では、支援室として発足した機器分析室の紹介を行う。
P- 2-A 北陸先端科学技術大学院大学新素材センターの紹介 北陸先端科学技術大学院大学研究協力部研究協力課技術室新素材センター 木村一郎 新素材センターは本学の教育研究の発展に寄与するため平成4年4月に設置され,新素材の開発に関する共同研究の支援,分析機器運転管理,学生の実験・実習の支援等を通じて学内の基礎研究を支えてきた.また平成8年4月に工作棟,平成9年に電顕棟が,新素材開発研究のための支援設備として竣工された.今回新素材センターの歴史・沿革,定例行事,発行物,ならびに機器装置の紹介と利用状況,技術職員の業務を紹介する.
P- 3-B 米国 コロンビア大学 化学科の研究支援体制 大阪大学産業科学研究所技術室 野村幸代 2000年6月から2001年5月まで、アメリカのニューヨーク州にあるコロンビア大学化学科質量分析室で、Senior Staff Associate(技官)として勤務した。コロンビア大学の化学科における研究支援体制について紹介する。
P- 4-A 大阪大学工学部技官会の歩み 大阪大学工学部工作センター 林野 正 大阪大学工学部技官会が誕生するまでの過程と、その後、約13年間の技官会の活動の説明していきたいと思います。その中には専門行政職を目指した運動、工学部長と各系技術職員の代表との懇談会、工学部に教室系技術職員問題検討委員会を含め3つの委員会の発足とその後の働き、技官会会則、工学部技術職員研修(今年で第10回を数える)やその他、技官会に関するの諸々の話を交えあらましを説明させていただきます。
P- 5-B 宇都宮大学 機器分析センターの現状について 宇都宮大学 機器分析センター ○長谷川和寿,
六本木誠
機器分析センターの紹介
 1)分析機器の種類、2)講習会の様子、3)分析に関する問題点、4)その他
P- 6-A 発表技術に関わる指導と評価尺度 山梨大学コンピュータメディア工学科 ○坂本忠明,
今宮淳美
工学系の大学のほとんどにおいて、学生は行った研究や学習の成果を発表するとした機会が与えられている。その発表に関わる指導と、指導成果を評価する尺度を述べる。
P- 7-C ジルコニア固体電解質を用いた酸素濃度センサーの試作と安全教育への応用 名古屋工業大学材料工学科 ○玉岡悟司,
祖父江孝之
 液体窒素は取扱いが簡便であるため,低温実験や冷媒など幅広い分野で使用されているが,狭隘な空間で多量に使用すれば,酸欠状態に陥る危険性もある.しかし法的な規制がほとんどないことや管理者および実験者の危険性への認識が希薄であるため,実験室に酸素濃度計が完備されている所はほとんどない.本研究では,ジルコニア固体電解質を用いて酸素濃度計を試作し,動作原理を提示することにより,安全教育への応用を目的とする.
P- 8-A トラブル集のデータベース化とWWWでの公開 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 塚本潤子 運用している機器(質量分析計、プロテインシーケンサ、HPLC)のトラブルをこれまで記録してきたが、データ量の増加に伴い、過去のデータ検索に時間がかかるようになってきた。そこで、これらのデータを電子化することにより検索を容易にした。またWWWで公開することにより同じ機器の利用者とデータの共有を図った。
P- 9-C 大学院自由科目「バイオサイエンス研究技術実習」報告 富山医科薬科大学 実験実習機器センター ○恒田則子,
森腰正弘
実験実習機器センターでは、平成13年度より大学院生対象に「バイオサイエンス研究技術実習」を立ち上げた。これは、単に 機器の使用法を教えるだけでなく、機器を利用しての研究手段・方法についての講議と実習を組合せたもので、大学院のカリキュラムに載った教育実習でもある。そして、大学院生の研究手法の教育の積極的推進を図ることを目的としている。
P-10-C 学科移転にともなう学生実験環境改善のための工夫 宮崎大学工学部物質環境化学科 ○斎藤泰男,
貝掛勝也
学科改組にともなう研究室・実験室の移動により学生実験室は従来の1室から2室になり、面積は増大した。しかしながら学生実験室に既存のドラフトを、排気装置のない研究室に提供することによって学生実験室1室あたりの面積は減少した。そこで階をまたいで学生実験を行うこととなった。研究室および実験室のバランスを考え我々は種々の学生実験を効率的にかつ安全に行えるよう実験室改良に取り組んだ。
P-11-B 天然由来物質を用いた貴金属の回収 宮崎大学工学部物質環境化学科 貝掛勝也 ココアなどに含まれる天然のキサンチン誘導体の1つであるテオブロミンの窒素に着目し金属イオン抽出剤の開発を試みた。抽出剤の水への溶解を防ぐためにテオブロミンの1位のアミンにオクチル基を導入したものを合成した。塩化パラジウム塩酸水溶液を用い種々の抽出平衡実験を行いその抽出挙動を検討した。実験の結果1-オクチルテオブロミン2分子で塩化パラジウム1分子を抽出することが明らかとなった。
P-12-A 黒鉛加熱炉原子吸光法を用いる岩石試料中のガリウムの分析 北見工業大学 化学システム工学科 信山直紀 修飾剤によりコーティングした黒鉛炉に、岩石粉末試料を溶液に分散させ導入し原子吸光分析した。
P-13-C EPMA装置の性能比較 静岡大学電子工学研究所技術部 ○勝野廣宣,
小山忠信,
小林正義(新潟大),
田中高紀(阪大産研)
静岡大学,新潟大学および大阪大学にあるEPMA装置で同一試料を分析し,EPMA装置の性能などについて比較・検討した.
P-14-A フッ化物分離・吸光光度法による金属試料及び無機材料中の微量ケイ素の定量 東北大学金属材料研究所材料分析研究コア ○西田陽子,
高田九ニ雄
微量ケイ素定量にはモリブドケイ酸青吸光光度法が用いられる.しかし,材料の精製技術の向上により,ケイ素の含有率も減少している.ppmレベルのケイ素を定量するには,フッ化物として分離する方法が有効である.高純度材料から微量ケイ素をフッ化物として分離する方法を検討した.その結果1ppm程度の微量ケイ素の定量が可能であった.また,本法を酸化ホウ素中の微量ケイ素の分離に適用することを検討している.
P-15-B 質量分析の精密質量測定(FAB)に於ける標準試料の検討ーその2 千葉大学分析センター ○原 律子,
坂部千賀子(北里大),
大和田智彦(東大)
千葉大学分析センターでは、FABの精密質量測定は分子量100〜2500m/zの範囲で行っている。FABの精密質量測定(positive)に用いる標準物質(各種ポリエチレングリコール等)の調整や選択は経験に依って行っていた為、その測定は煩雑であった。そこで昨年度から標準物質の検討を行い測定の能率が非常に向上した。今回は昨年度の結果にさらに検討を加え良い結果を得たので報告する。
P-16-C 炭素中のsp2/sp3比に関する考察 名古屋大学工学部・工学研究科 高田昇治 炭素を用いた機能性材料としては、ダイヤモンド膜、a-C:H膜、ナノチューブ及びフラーレンなどがあり、光学フィルターやフラットディスプレイの電子放出源などへの応用が期待されている。これらの材料の特性を評価する方法の一つとして、導電性のsp2構造と絶縁性のsp3構造の含有比を求めることが挙げられる。今回、XPSおよびNMRを用いたsp2/sp3比の評価について考察したので報告する。
P-17-A インビーム電子イオン化(In-Beam EI)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置(FT-ICR MS)による重質油成分の分析 北陸先端科学技術大学院大学技術室 宮林恵子 FT-ICR MS はその特徴として超高分解能を有し,測定で得られる精密質量値からその分子式を算定できる.このFT-ICR MS を複雑な混合物である重質油成分の分析に適用した.試料のイオン化には,装置付属のEIプローブを不揮発性の試料もイオン化できるようin・beam EI用に改良し用いた.in・beam EI FT-ICR MS で検出された.重質油の成分について詳細に解析を行った結果について報告する.
P-18-C 建築床スラブコンクリートの真空脱水締固め工法の性能改善
−圧縮強度分布性状の分析−
三重大学工学部技術部 ○和藤 浩,
中川浩希,
前田浩二,
中村昇二
真空脱水処理を行ったコンクリート試験体の内部強度分布性状を支配する因子を明確にすることを目的として、試験体の空隙構造および水セメント比分布を調べ、圧縮強度分布との関係を検討した。その結果、真空脱水処理を行った試験体の圧縮強度分布は、ブリーディング水を吸引することによって生じる水セメント比の分布性状の変化および細孔構造の緻密化という2つの物理量の変化を分析することでほぼ説明できることが分かった。
P-19-B IMA深さ分析法による半田付け前処理過程における表面偏析の評価 大阪大学大学院工学研究科 平尾桂一  半田付け前処理過程は多種多様であるが、各種雰囲気での熱処理、研磨、酸洗、中和に大別できる。半田付けに用いられる材料は最初の熱処理で、その表面組成がバルク組成とは大きく異なる表面偏析が起こる。以後の処理でも広義の偏析が生じる。IMAによる深さ分析法で偏析挙動を定性的に評価し、偏析と半田付け性の関係について報告する。
P-20-C 画像解析装置による耐候性の評価 大阪大学大学院工学研究科 中田淳二 画像解析装置を用いて耐候性を評価する際,取り込んだ画像を2値化して腐食している部分を選択する.この時,2値化のしきい値が非常に重要である.いいかえるなら,これは腐食している部分の色や形態などにより,人間の感性による判断と測定結果との差となる.今回の発表においては,それ事例をモデル図などから検討するとともに,耐候性を評価する際に重要となる問題点について検討する.
P-21-B Mn含有HApの合成と生体適応性の評価 大阪大学工学部マテリアル科学専攻 ○藤谷 渉,
濱田吉之輔(阪大歯学部・院),
高橋純造(阪大歯学部),
松浦成昭(阪大医学部),
馬越佑吉
歯や骨の主成分であるハイドロキシアパタイト(HAp)粉末および微量のMnを含有するHAp粉末を湿式合成した。得られた粉末をX線回折、FTIR等により調べた。つぎに圧粉成型した各試料について、生体適応性を細胞接着能実験、細胞増殖能実験等により評価した。その結果、Mnの微量添加によりMC3T3E1(骨芽細胞様細胞)においてHApの生体適応性の改善が認められた。
P-22-C 微小量使用済燃料を用いる燃焼率測定の検討 原研 環境科学研究部 分析科学研究グループ ○鈴木大輔,
河野信昭,
郡司勝文,
伊奈川潤,
渡部和男
μgレベルの微少量試料を用いた使用済燃料の燃焼率測定技術を確立するために,軽水炉実試料溶解液をUとして0.1〜10μg採取し,陰イオン交換分離法によりU,PuおよびNdを分離した後,それぞれ表面電離型質量分析計により同位体比を測定した。UおよびPuについては,0.3%以内の精度で測定できた。Ndについては,測定精度≦1%であるが,分離過程で天然Ndが約1ng混入することを確認した。
P-23-B マイクロ波プラズマCVD装置の製作とダイヤモンド薄膜の作製 徳島大学工学部 稲岡 武 結晶成長の実験において,再現性のある実験結果を得るためには,反応炉内を超高真空状態に保つことが必要である.10-7Torrまで排気できるマイクロ波プラズマCVD装置を製作し,本装置を用いてダイヤモンド薄膜を作製した.薄膜の評価は走査型電子顕微鏡で行った.
P-24-C X線透過観察用小型溶解凝固炉の開発 大阪大学大学院工学研究科知能機能創成工学専攻 ○大道徹太郎,
大中逸雄,
安田秀幸,
川崎宏一(新居浜工専)
近年、X線透過装置を利用して金属の凝固過程の直接透過観察を行なうことが要求されてきている。X線透過に支障を来たさない構造の溶解凝固炉とする必要があり、更にX線透過観察中も温度制御が可能なことが要求される。今回試作した炉体について、使用した部材とその構造を中心に報告する。


「2001年度機器・分析技術研究会」に戻る。