大阪大学 産業科学研究所

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研究成果

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半導体ナノサイズトランジスタへ電子1個が出入りする様子をキャッチ

 大阪大学産業科学研究所の木山治樹助教、松本和彦特任教授、大岩顕教授らの研究グループは、東京大学生産技術研究所の平川一彦教授のグループと共同して、電子線描画による電極作製の精密な位置合わせを実現することで、ヒ化インジウム(InAs)自己形成量子ドットに出入りする単一電子の電荷検出に世界で初めて成功しました。

 InAs自己形成量子ドットは量子ドットレーザとしてすでに応用されています。また本研究で用いた表面に析出したInAs自己形成量子ドットは、直接、金属電極を取り付け単一電子トランジスタとして動作し、液体窒素温度以上の高温動作(Shibata APL(2008))やバンドギャップが通信波長帯に近いことから、高温で動作する量子情報装置のための量子ビットとして期待されてきました。


 大岩教授らの研究グループは、基板表面にランダムに位置するInAs自己形成量子ドットの中から近接する2つのドットQD1、QD2に電極を取り付け(図1)、2つのドットが静電結合していることを利用して、QD1を電荷計として、もう一方のQD2を単一電子が出入りする挙動を測定する電荷検出に成功しました(図2)。この技術は自己形成量子ドットを使ったデバイスにおける電荷制御の有効なツールになりうるだけでなく、スピンの検出にも利用できるので、量子ドットの電子スピンを使った量子ビット開発では不可欠な技術です。今後、InAs自己形成量子ドットの量子ビットとしての研究が進展することで、量子情報装置の開発を促進することが期待されます。

 本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」に2018年9月18日(英国時間)にオンラインで公開されました。

 詳しくはプレスリリースをご覧ください。

図1:InAs自己形成量子ドット並列トランジスタの電子顕微鏡写真
図1:InAs自己形成量子ドット並列トランジスタの電子顕微鏡写真

図2:電荷計(QD1)を流れる電流。電流の増減はQD2への電子の出入りを表す。
図2:電荷計(QD1)を流れる電流。電流の増減はQD2への電子の出入りを表す。

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永井健治栄誉教授が「大阪科学賞」を受賞しました。

 この度、第36回(平成30年度)大阪科学賞を本研究所の永井健治栄誉教授(生体分子機能科学研究分野)が受賞することが決定しました。
 同賞は、大阪を中心とした地域において科学および新技術の発展に著しく寄与した研究者を毎年2名選考し、顕彰するものです。
 表彰式・記念講演は平成30年10月31日(水)16時30 分~から大阪科学技術センタービル8階大ホールで行われます。

受賞コメント:

永井

  このような賞をいただき大変光栄です。産研の先生方、事務の皆様、ご指導くださいました先生方、共同研究者の皆様、そしてこれまで頑張って成果を挙げてくれた研究室のメンバーに心から感謝を申し上げます。これからも水滴穿石を心構えで、日々精進してまいります。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

●関連リンク:
・大阪科学賞について
・生体分子機能科学研究分野(永井研究室)
・永井研究室サイト

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絶対に安全な情報通信を実現する量子ドット技術の研究開発を推進

大阪大学産業科学研究所の大岩顕教授らの研究グループは、量子力学の原理で盗聴されたことが検知できる量子暗号通信や量子ネットワークをファイバー網で実現するため、量子通信を長距離化する量子中継技術の研究開発を推進しています。量子通信では長距離化が最重要課題ですが、まだ方式や有力なデバイスは確立していません。本研究グループは、半導体量子ドット中の電子スピンを使って、この量子中継技術の実現を目指しています。現在、光子から電子スピンへの量子状態の正確な変換や、光子対から電子スピン対へのもつれ変換の実現に取り組んでいます。量子中継では、ダイヤモンド窒素-空孔中心のスピンなど有力な競合候補がありますが、光子から量子ビットへの変換効率の向上は、量子通信の伝送レートに大きく影響する共通して重要な課題の一つです。
 大岩教授らの研究グループは、量子ドット上にブルズアイ型の表面プラズモンアンテナを作製することにより、光子が効率よく量子ドットへ集光され、約50倍以上効率よく、量子ドット中の単一電子へ変換できることをシミュレーションで明らかにし、表面プラズモンアンテナが光子から電子への変換効率を大幅に向上する有効な方法であることを初めて提案しました。
 本研究の関連する成果は、日本国科学誌「Japanese Journal of Applied Physics」に2017年1月に公開されました。(DOI:10.7567/JJAP.56.04CK04)

 詳しくはプレスリリースをご覧ください。

図1:量子ドットを用いた長距離量子通信の概念図
図1:量子ドットを用いた長距離量子通信の概念図

図2:表面プラズモンアンテナを有する光子-電子スピンインターフェース
図2:表面プラズモンアンテナを有する光子-電子スピンインターフェース

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科学研究費助成事業「新学術領域研究(領域提案型)」に永井健治栄誉教授を代表とする研究領域が採択されました。

 永井健治栄誉教授を領域代表者とする研究領域「シンギュラリティ生物学」が平成30年度科学研究費助成事業「新学術領域研究(領域提案型)」に採択されました。
 「新学術領域研究(研究領域提案型)」は、多様な研究者グループにより提案された、我が国の学術水準の向上・強化につながる新たな研究領域について、共同研究や研究人材の育成、設備の共用化等の取組を通じて発展させることを目的とするものです。
 本新学術領域研究では、従来の統計学的手続きにおいて解析対象から除外されてきた「外れ値」を示す要素に着目し、それが標本母集団に及ぼす影響や役割の有無・仕組みを問います。より具体的には、莫大な数の細胞から構成される生命システムの時空間的な特異点(シンギュラリティ)で生起する劇的な状態変化が、少数の特異な細胞(「シンギュラリティ細胞」と定義)によって駆動されるとの作業仮説に立脚し、その検証のために、分子、細胞、組織レベルの生命現象を階層横断的に可視化解析できる革新的計測・情報基盤技術を開発します。本研究の遂行は生命におけるシンギュラリティ現象のみならず、医療診断・創薬・再生医療イノベーションにも結び付くものと期待されます。
 永井栄誉教授は平成23~27年度においても同事業にて「少数性生物学」の領域代表を努めており、今回はその成果を基盤にした新たな領域提案となります。

図

 研究領域名:「シンギュラリティ生物学」(略称:シンギュラリティ)
 領域代表者:永井 健治(大阪大学 産業科学研究所・生体分子機能科学研究分野 栄誉教授)
 研究期間:平成30年度~平成34年度

代表者コメント:

永井

物理学者、化学者であったロバート・フックは生体の最小単位として “cell”(細胞)を見いだし、「ミクロ階層を観る」ことの重要性を説きました。我々の目指すシンギュラリティ生物学は、従来の生物学の枠を大きく超えて、計測工学、情報科学、生命科学を統合することにより階層を自在に横断し、ミクロもマクロも観察可能なデバイスを開発し、取得されるペタバイトを超える大規模データから有用情報を抽出することを可能にします。これは国内外にも類を見ず、将来的には当領域以外にも国内外から広くユーザーを募り、そこで得られたデータを原則公開とし、複合領域をまたぐ波及効果を生み出す核を作り出します。そのために、領域の参画メンバー自身がシンギュラリティとなって、少数が全体を変革する現象を理解する新しい学理を創出していく所存です。ご期待下さい。

●関連リンク:
・平成30年度科学研究費助成事業「新学術領域研究(領域提案型)」について
・生体分子機能科学研究分野(永井研)
・永井研究室サイト

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塗るだけ!セラミックス超薄膜コーティング

 大阪大学産業科学研究所の菅原徹助教と金沢大学の辛川誠准教授らの研究グループは、「原料を塗るだけでセラミックス超薄膜をコーティングする技術」を世界で初めて開発しました。
 近年、有機太陽電池の緩衝層(電子・正孔輸送層)※1には、セラミックス薄膜を用いた研究開発が盛んになっています。従来のセラミックス薄膜の製造プロセスでは、加熱またはそれに代わる技術(例えばUV照射など)により焼結と呼ばれる工程を経る必要がありました。
 今回、菅原助教と辛川准教授らの研究グループは、原料を混ぜて塗るだけで、ナノメートルスケール(10億分の1メートル)のセラミックス超薄膜を成膜することに成功しました。この超薄膜の膜厚は、およそ5から100ナノメートルの間で精密に制御することができます。この成膜技術を使って、有機太陽電池を作製し変換効率を調べたところ、約20ナノメートルの超薄膜で最も高い変換効率を示しました。また、加熱焼結によって成膜されたセラミックス薄膜を用いて作製した有機太陽電池と比較して同程度の変換効率を実現しました。
 これにより、これまで加熱が必要であったセラミックス薄膜の成膜工程から加熱工程を省略することができるため、製造プロセスの大幅な短時間化と低コスト化が期待されます。
 本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」に、7月20日(金)午前10時(日本時間)に公開されました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

有機太陽電池の写真とのセル構造の概念図。光照射中と非照射時における電流密度電圧(JV)特性。
有機太陽電池の写真とのセル構造の概念図。光照射中と非照射時における電流密度電圧(JV)特性。

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一酸化炭素を無害化するナノポーラス金触媒の活性構造を原子スケールで解明! -新たな触媒開発へ期待-

 大阪大学産業科学研究所の神内直人助教らの研究グループは、有害ガスである一酸化炭素を無害化するナノポーラス金触媒の活性構造を原子スケールで初めて明らかにしました。
 金は化学的に不活性で錆びない金属であるにも関わらず、ナノサイズの孔を持つスポンジ状にすると触媒として働くことが報告されてきましたが、そのメカニズムは、これまで明らかにされていませんでした。
 今回、神内助教らの研究グループは、高性能の環境制御型透過電子顕微鏡によるその場解析と計算機シミュレーションを行い、化学反応中に残留元素を含む特徴的なナノ構造(図1)ができること、触媒表面を複数の原子が激しく動き回り触媒として働くことを明らかにしました。この研究成果は、固体触媒の反応メカニズムの解明と、新たな触媒の開発に繋がることが期待されます。
 本研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」に、5月25日(金)18時(日本時間)に公開されました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

ナノポーラス金触媒の活性構造のモデル図
ナノポーラス金触媒の活性構造のモデル図

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世界初!分子レベルでDNAの定量解析に成功 -遺伝子によるがん診断技術への期待-

 大阪大学産業科学研究所の谷口正輝教授らの研究グループは、次世代DNAシークエンシング法※2を用いて、1分子レベルで2種類のDNAの塩基配列と量比を同時に決定する1分子定量解析法を世界で初めて開発しました。
 次々世代DNAシークエンシング法は、1塩基分子の電気抵抗の違いをトンネル電流※3で読み出す方法であり、DNAやマイクロRNAの塩基配列、ペプチド※4のアミノ酸配列を直接解読できる方法です。
 今回、谷口教授らの研究グループは、次世代DNAシークエンシング法で解読できる塩基長を長くすることにより、がんの診断マーカーである2種類のマイクロRNAに対応するDNAの塩基配列と量比の決定に成功しました。これにより、マイクロRNAを利用した乳がんや肺がんなどの早期診断が期待されます。
 本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」に、6月4日(月)18時(日本時間)に公開されました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

次々世代DNAシークエンシング法の原理
次々世代DNAシークエンシング法の原理

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文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞! -独自の反応促進機構を持つ不斉分子触媒の創製に関する研究-

 大阪大学産業科学研究所の笹井宏明教授らの研究グループは、以前に、触媒を構成する複数の官能基が協調して働く多点制御型(二重活性化型)の不斉触媒を世界で初めて開発しました。この反応促進の機構は、天然の触媒である酵素に類似するもので、ほかの触媒では実現できなかった反応が可能となっています。
 今回、笹井教授らの研究グループは、この反応促進の概念を取り入れたバナジウム原子を二つ含む二核バナジウム触媒や、金属を含まない酸―塩基型有機分子触媒を創製し、複数の反応が連続して進行するドミノ型反応に応用して、既存の反応で合成できないオキサヘリセンや、医薬品の基本骨格となる化合物の合成を実現しました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

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植物の画像から、葉に隠れた見えない構造を再現 画像解析と人工知能でつくる未来の栽培技術

 大阪大学産業科学研究所の大倉史生助教らの研究グループは、画像解析および人工知能技術を応用し、植物を複数方向から撮影した画像から、葉などに隠れた部分も含む植物の枝構造を正確に再現することに世界で初めて成功しました。(図1)
 果樹など植物の栽培において、日々の成長を枝・葉レベルでくまなく把握し、適切な管理を行うことが品質向上の重要な鍵になります。そこで、カメラを使った画像解析による栽培管理が注目されています。特に、画像から植物の形や構造を自動推定することは、栽培の省力化と生産物の高品質化を両立する上で欠かせない技術です。これまで、複数の方向から撮影された画像群から物体の三次元形状を再現する、三次元復元の技術が多く研究されてきました。しかし、植物のように、枝が葉に隠れた構造を持つ物体については、隠れた部分の復元が困難でした。
 今回、大倉助教らの研究グループは、人工知能(深層学習)の技術を用い、葉などに隠された枝の存在確率を推定し三次元復元することにより、見えない部分も含めた枝の構造を正確に再現することに成功しました(図2)。これにより、枝ごとに作物の成長を把握・管理することや、ロボットによる作物の剪定・収穫など、未来の栽培技術への応用が期待されます。
 本研究成果は、2018年6月18日~22日に開催される、コンピュータビジョンとパターン認識に関する国際会議「IEEE/CVF Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR2018)」において発表されました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

図 1 三次元枝構造の再現結果
図 1 三次元枝構造の再現結果

図 2 手法の流れ
図 2 手法の流れ

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神経活動の抑制を鋭敏に捉える新規カルシウムセンサーの開発 ~細胞の機能解析への応用も可能~

 脳の神経回路では、主に「興奮」と「抑制」の2種類のシナプス伝達を組み合わせて情報を処理しています。この情報処理を担う神経細胞の活動は、遺伝子にコードされたカルシウムセンサー(GECI)を使って細胞内のカルシウムイオンの濃度変化(興奮状態で濃度が高くなる)により観察することができます。しかし、これまではGECIを用いた場合、「神経活動の興奮」を測定することが中心となっていました。
 九州大学大学院理学研究院の石原健教授のグループと大阪大学産業科学研究所の永井健治教授のグループはこれまで困難であった「神経活動の抑制」を鋭敏に測定することができる新しいGECIの開発に成功し、IP2.0と名付けました。  神経細胞にGECIを発現させると、神経活動に応じて細胞内のカルシウムイオンの濃度変化が、蛍光強度の変化として観察できます。これまでのGECIはカルシウムイオン濃度の上昇に伴い蛍光が強くなるため、細胞内のカルシウムイオン濃度の減少を捉えることには適していませんでした。今回開発したIP2.0は、これまでのGECIとは反対の性質を持ち、カルシウムイオン濃度の減少に伴い蛍光が強くなります。これにより、細胞内のカルシウムイオン濃度の減少および増加を正確に捉えることができるようになりました。
 実際にIP2.0を線虫の神経細胞に発現させ、細胞内のカルシウムイオン濃度の減少を測定したところ、神経活動の抑制を鋭敏に観察可能なことが確認できました。今後、このIP2.0を用いて、これまで観察しづらかった細胞内カルシウムイオン濃度変化をより正確に測定できるようになり、新たに神経回路の機能や細胞の機能が解明されることが期待されます。
 本研究は、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「生命動態の理解と制御のための基盤技術の創出」(研究総括:山本 雅 沖縄科学技術大学院大学 教授)、「新たな光機能や光物性の発現・利活用を基軸とする次世代フォトニクスの基盤技術」(研究総括:北山 研一 光産業創成大学院大学 特任教授)、および日本学術振興会 科学研究費の支援を受けました。
 本研究成果は、2018年4月25日(水)午後2時(米国東部夏時間)付け科学雑誌PLOS ONEに掲載されました。
 http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0194707

詳細はプレスリリースをご覧ください。

参考図
参考図

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笹井宏明教授が文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞しました。

 機能物質化学研究分野の笹井宏明教授が、平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞しました。

 本賞は科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に贈呈されるものです。

 表彰式は4月17日、文部科学省にて行われました。

(受賞内容について)
「独自の反応促進機構を持つ不斉分子触媒の創製に関する研究」
触媒を構成する複数の官能基が互いに干渉せずに反応を促進する多機能触媒を世界に先駆けて創製し、この概念に基づく様々な構造の触媒を用いて、種々の反応が効果的に促進されることを見出しました。

受賞コメント:

このような賞をいただき大変光栄です。頑張って成果を挙げてくれた研究室のスタッフや学生諸君と喜びを分かち合いたいと思います。また、書類の準備にあたりお世話になりました、産研の総務課人事係、大学本部総務部人事課の皆様に厚く御礼申し上げます。

笹井宏明教授が文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞しました。

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ペーパーレス化に待った!紙を用いた電子ペーパーの開発に成功

 大阪大学産業科学研究所の古賀大尚特任助教、能木雅也教授らの研究グループは、紙を用いてフレキシブルな電子ペーパーを作製することに成功しました。
 我々人類は、約2000年もの間、手書きや印刷で紙に情報を表示してきました。
 しかし近年では、電子ペーパー端末等の普及により、情報表示媒体としての紙の価値が低下しつつあります。現在の電子ペーパーは、ガラスやプラスチックの透明基材を用いて作製されていますが、従来の紙は透明性を持たないため、電子ペーパーへの応用は困難でした。
 今回、古賀特任助教らの研究グループは、樹木セルロースナノファイバーからなる新しい「透明な紙」とセルロースパルプ繊維からなる従来の「白い紙」を併用することで、電子ペーパーの一種であるエレクトロクロミック(EC)ディスプレイを開発しました(図1)。
 ポイントは、透明な紙に導電性高分子、白い紙にイオン液体を複合化する技術を開発し、紙ベースの高透明性EC電極と高視認性白色電解質の作製に成功したことです。これらを重ね合わせることで、全て紙ベースのフレキシブルECディスプレイを実現しました。
 これにより、紙に手書きや印刷だけでなく電気で情報を表示することも可能になります。本研究成果はペーパーレス化に待ったをかけるものであり、デジタル社会における「紙」に新たな価値を生み出すことに繋がると期待されます。

 本研究成果は、米国科学誌「ACS Applied Materials & Interfaces」に、2017年11月7日付で掲載されました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

図1 紙で作製した電子ペーパー
図1 紙で作製した電子ペーパー

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半導体ナノサイズトランジスタへ電子1個が出入りする様子をキャッチ

 大阪大学産業科学研究所の木山治樹助教、松本和彦特任教授、大岩顕教授らの研究グループは、東京大学生産技術研究所の平川一彦教授のグループと共同して、電子線描画による電極作製の精密な位置合わせを実現することで、ヒ化インジウム(InAs)自己形成量子ドットに出入りする単一電子の電荷検出に世界で初めて成功しました。

 InAs自己形成量子ドットは量子ドットレーザとしてすでに応用されています。また本研究で用いた表面に析出したInAs自己形成量子ドットは、直接、金属電極を取り付け単一電子トランジスタとして動作し、液体窒素温度以上の高温動作(Shibata APL(2008))やバンドギャップが通信波長帯に近いことから、高温で動作する量子情報装置のための量子ビットとして期待されてきました。


 大岩教授らの研究グループは、基板表面にランダムに位置するInAs自己形成量子ドットの中から近接する2つのドットQD1、QD2に電極を取り付け(図1)、2つのドットが静電結合していることを利用して、QD1を電荷計として、もう一方のQD2を単一電子が出入りする挙動を測定する電荷検出に成功しました(図2)。この技術は自己形成量子ドットを使ったデバイスにおける電荷制御の有効なツールになりうるだけでなく、スピンの検出にも利用できるので、量子ドットの電子スピンを使った量子ビット開発では不可欠な技術です。今後、InAs自己形成量子ドットの量子ビットとしての研究が進展することで、量子情報装置の開発を促進することが期待されます。

 本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」に2018年9月18日(英国時間)にオンラインで公開されました。

 詳しくはプレスリリースをご覧ください。

図1:InAs自己形成量子ドット並列トランジスタの電子顕微鏡写真
図1:InAs自己形成量子ドット並列トランジスタの電子顕微鏡写真

図2:電荷計(QD1)を流れる電流。電流の増減はQD2への電子の出入りを表す。
図2:電荷計(QD1)を流れる電流。電流の増減はQD2への電子の出入りを表す。

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永井健治栄誉教授が「大阪科学賞」を受賞しました。

 この度、第36回(平成30年度)大阪科学賞を本研究所の永井健治栄誉教授(生体分子機能科学研究分野)が受賞することが決定しました。
 同賞は、大阪を中心とした地域において科学および新技術の発展に著しく寄与した研究者を毎年2名選考し、顕彰するものです。
 表彰式・記念講演は平成30年10月31日(水)16時30 分~から大阪科学技術センタービル8階大ホールで行われます。

受賞コメント:

永井

  このような賞をいただき大変光栄です。産研の先生方、事務の皆様、ご指導くださいました先生方、共同研究者の皆様、そしてこれまで頑張って成果を挙げてくれた研究室のメンバーに心から感謝を申し上げます。これからも水滴穿石を心構えで、日々精進してまいります。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

●関連リンク:
・大阪科学賞について
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絶対に安全な情報通信を実現する量子ドット技術の研究開発を推進

大阪大学産業科学研究所の大岩顕教授らの研究グループは、量子力学の原理で盗聴されたことが検知できる量子暗号通信や量子ネットワークをファイバー網で実現するため、量子通信を長距離化する量子中継技術の研究開発を推進しています。量子通信では長距離化が最重要課題ですが、まだ方式や有力なデバイスは確立していません。本研究グループは、半導体量子ドット中の電子スピンを使って、この量子中継技術の実現を目指しています。現在、光子から電子スピンへの量子状態の正確な変換や、光子対から電子スピン対へのもつれ変換の実現に取り組んでいます。量子中継では、ダイヤモンド窒素-空孔中心のスピンなど有力な競合候補がありますが、光子から量子ビットへの変換効率の向上は、量子通信の伝送レートに大きく影響する共通して重要な課題の一つです。
 大岩教授らの研究グループは、量子ドット上にブルズアイ型の表面プラズモンアンテナを作製することにより、光子が効率よく量子ドットへ集光され、約50倍以上効率よく、量子ドット中の単一電子へ変換できることをシミュレーションで明らかにし、表面プラズモンアンテナが光子から電子への変換効率を大幅に向上する有効な方法であることを初めて提案しました。
 本研究の関連する成果は、日本国科学誌「Japanese Journal of Applied Physics」に2017年1月に公開されました。(DOI:10.7567/JJAP.56.04CK04)

 詳しくはプレスリリースをご覧ください。

図1:量子ドットを用いた長距離量子通信の概念図
図1:量子ドットを用いた長距離量子通信の概念図

図2:表面プラズモンアンテナを有する光子-電子スピンインターフェース
図2:表面プラズモンアンテナを有する光子-電子スピンインターフェース

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科学研究費助成事業「新学術領域研究(領域提案型)」に永井健治栄誉教授を代表とする研究領域が採択されました。

 永井健治栄誉教授を領域代表者とする研究領域「シンギュラリティ生物学」が平成30年度科学研究費助成事業「新学術領域研究(領域提案型)」に採択されました。
 「新学術領域研究(研究領域提案型)」は、多様な研究者グループにより提案された、我が国の学術水準の向上・強化につながる新たな研究領域について、共同研究や研究人材の育成、設備の共用化等の取組を通じて発展させることを目的とするものです。
 本新学術領域研究では、従来の統計学的手続きにおいて解析対象から除外されてきた「外れ値」を示す要素に着目し、それが標本母集団に及ぼす影響や役割の有無・仕組みを問います。より具体的には、莫大な数の細胞から構成される生命システムの時空間的な特異点(シンギュラリティ)で生起する劇的な状態変化が、少数の特異な細胞(「シンギュラリティ細胞」と定義)によって駆動されるとの作業仮説に立脚し、その検証のために、分子、細胞、組織レベルの生命現象を階層横断的に可視化解析できる革新的計測・情報基盤技術を開発します。本研究の遂行は生命におけるシンギュラリティ現象のみならず、医療診断・創薬・再生医療イノベーションにも結び付くものと期待されます。
 永井栄誉教授は平成23~27年度においても同事業にて「少数性生物学」の領域代表を努めており、今回はその成果を基盤にした新たな領域提案となります。

図

 研究領域名:「シンギュラリティ生物学」(略称:シンギュラリティ)
 領域代表者:永井 健治(大阪大学 産業科学研究所・生体分子機能科学研究分野 栄誉教授)
 研究期間:平成30年度~平成34年度

代表者コメント:

永井

物理学者、化学者であったロバート・フックは生体の最小単位として “cell”(細胞)を見いだし、「ミクロ階層を観る」ことの重要性を説きました。我々の目指すシンギュラリティ生物学は、従来の生物学の枠を大きく超えて、計測工学、情報科学、生命科学を統合することにより階層を自在に横断し、ミクロもマクロも観察可能なデバイスを開発し、取得されるペタバイトを超える大規模データから有用情報を抽出することを可能にします。これは国内外にも類を見ず、将来的には当領域以外にも国内外から広くユーザーを募り、そこで得られたデータを原則公開とし、複合領域をまたぐ波及効果を生み出す核を作り出します。そのために、領域の参画メンバー自身がシンギュラリティとなって、少数が全体を変革する現象を理解する新しい学理を創出していく所存です。ご期待下さい。

●関連リンク:
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・生体分子機能科学研究分野(永井研)
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塗るだけ!セラミックス超薄膜コーティング

 大阪大学産業科学研究所の菅原徹助教と金沢大学の辛川誠准教授らの研究グループは、「原料を塗るだけでセラミックス超薄膜をコーティングする技術」を世界で初めて開発しました。
 近年、有機太陽電池の緩衝層(電子・正孔輸送層)※1には、セラミックス薄膜を用いた研究開発が盛んになっています。従来のセラミックス薄膜の製造プロセスでは、加熱またはそれに代わる技術(例えばUV照射など)により焼結と呼ばれる工程を経る必要がありました。
 今回、菅原助教と辛川准教授らの研究グループは、原料を混ぜて塗るだけで、ナノメートルスケール(10億分の1メートル)のセラミックス超薄膜を成膜することに成功しました。この超薄膜の膜厚は、およそ5から100ナノメートルの間で精密に制御することができます。この成膜技術を使って、有機太陽電池を作製し変換効率を調べたところ、約20ナノメートルの超薄膜で最も高い変換効率を示しました。また、加熱焼結によって成膜されたセラミックス薄膜を用いて作製した有機太陽電池と比較して同程度の変換効率を実現しました。
 これにより、これまで加熱が必要であったセラミックス薄膜の成膜工程から加熱工程を省略することができるため、製造プロセスの大幅な短時間化と低コスト化が期待されます。
 本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」に、7月20日(金)午前10時(日本時間)に公開されました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

有機太陽電池の写真とのセル構造の概念図。光照射中と非照射時における電流密度電圧(JV)特性。
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一酸化炭素を無害化するナノポーラス金触媒の活性構造を原子スケールで解明! -新たな触媒開発へ期待-

 大阪大学産業科学研究所の神内直人助教らの研究グループは、有害ガスである一酸化炭素を無害化するナノポーラス金触媒の活性構造を原子スケールで初めて明らかにしました。
 金は化学的に不活性で錆びない金属であるにも関わらず、ナノサイズの孔を持つスポンジ状にすると触媒として働くことが報告されてきましたが、そのメカニズムは、これまで明らかにされていませんでした。
 今回、神内助教らの研究グループは、高性能の環境制御型透過電子顕微鏡によるその場解析と計算機シミュレーションを行い、化学反応中に残留元素を含む特徴的なナノ構造(図1)ができること、触媒表面を複数の原子が激しく動き回り触媒として働くことを明らかにしました。この研究成果は、固体触媒の反応メカニズムの解明と、新たな触媒の開発に繋がることが期待されます。
 本研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」に、5月25日(金)18時(日本時間)に公開されました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

ナノポーラス金触媒の活性構造のモデル図
ナノポーラス金触媒の活性構造のモデル図

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世界初!分子レベルでDNAの定量解析に成功 -遺伝子によるがん診断技術への期待-

 大阪大学産業科学研究所の谷口正輝教授らの研究グループは、次世代DNAシークエンシング法※2を用いて、1分子レベルで2種類のDNAの塩基配列と量比を同時に決定する1分子定量解析法を世界で初めて開発しました。
 次々世代DNAシークエンシング法は、1塩基分子の電気抵抗の違いをトンネル電流※3で読み出す方法であり、DNAやマイクロRNAの塩基配列、ペプチド※4のアミノ酸配列を直接解読できる方法です。
 今回、谷口教授らの研究グループは、次世代DNAシークエンシング法で解読できる塩基長を長くすることにより、がんの診断マーカーである2種類のマイクロRNAに対応するDNAの塩基配列と量比の決定に成功しました。これにより、マイクロRNAを利用した乳がんや肺がんなどの早期診断が期待されます。
 本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」に、6月4日(月)18時(日本時間)に公開されました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

次々世代DNAシークエンシング法の原理
次々世代DNAシークエンシング法の原理

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文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞! -独自の反応促進機構を持つ不斉分子触媒の創製に関する研究-

 大阪大学産業科学研究所の笹井宏明教授らの研究グループは、以前に、触媒を構成する複数の官能基が協調して働く多点制御型(二重活性化型)の不斉触媒を世界で初めて開発しました。この反応促進の機構は、天然の触媒である酵素に類似するもので、ほかの触媒では実現できなかった反応が可能となっています。
 今回、笹井教授らの研究グループは、この反応促進の概念を取り入れたバナジウム原子を二つ含む二核バナジウム触媒や、金属を含まない酸―塩基型有機分子触媒を創製し、複数の反応が連続して進行するドミノ型反応に応用して、既存の反応で合成できないオキサヘリセンや、医薬品の基本骨格となる化合物の合成を実現しました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

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植物の画像から、葉に隠れた見えない構造を再現 画像解析と人工知能でつくる未来の栽培技術

 大阪大学産業科学研究所の大倉史生助教らの研究グループは、画像解析および人工知能技術を応用し、植物を複数方向から撮影した画像から、葉などに隠れた部分も含む植物の枝構造を正確に再現することに世界で初めて成功しました。(図1)
 果樹など植物の栽培において、日々の成長を枝・葉レベルでくまなく把握し、適切な管理を行うことが品質向上の重要な鍵になります。そこで、カメラを使った画像解析による栽培管理が注目されています。特に、画像から植物の形や構造を自動推定することは、栽培の省力化と生産物の高品質化を両立する上で欠かせない技術です。これまで、複数の方向から撮影された画像群から物体の三次元形状を再現する、三次元復元の技術が多く研究されてきました。しかし、植物のように、枝が葉に隠れた構造を持つ物体については、隠れた部分の復元が困難でした。
 今回、大倉助教らの研究グループは、人工知能(深層学習)の技術を用い、葉などに隠された枝の存在確率を推定し三次元復元することにより、見えない部分も含めた枝の構造を正確に再現することに成功しました(図2)。これにより、枝ごとに作物の成長を把握・管理することや、ロボットによる作物の剪定・収穫など、未来の栽培技術への応用が期待されます。
 本研究成果は、2018年6月18日~22日に開催される、コンピュータビジョンとパターン認識に関する国際会議「IEEE/CVF Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR2018)」において発表されました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

図 1 三次元枝構造の再現結果
図 1 三次元枝構造の再現結果

図 2 手法の流れ
図 2 手法の流れ

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神経活動の抑制を鋭敏に捉える新規カルシウムセンサーの開発 ~細胞の機能解析への応用も可能~

 脳の神経回路では、主に「興奮」と「抑制」の2種類のシナプス伝達を組み合わせて情報を処理しています。この情報処理を担う神経細胞の活動は、遺伝子にコードされたカルシウムセンサー(GECI)を使って細胞内のカルシウムイオンの濃度変化(興奮状態で濃度が高くなる)により観察することができます。しかし、これまではGECIを用いた場合、「神経活動の興奮」を測定することが中心となっていました。
 九州大学大学院理学研究院の石原健教授のグループと大阪大学産業科学研究所の永井健治教授のグループはこれまで困難であった「神経活動の抑制」を鋭敏に測定することができる新しいGECIの開発に成功し、IP2.0と名付けました。  神経細胞にGECIを発現させると、神経活動に応じて細胞内のカルシウムイオンの濃度変化が、蛍光強度の変化として観察できます。これまでのGECIはカルシウムイオン濃度の上昇に伴い蛍光が強くなるため、細胞内のカルシウムイオン濃度の減少を捉えることには適していませんでした。今回開発したIP2.0は、これまでのGECIとは反対の性質を持ち、カルシウムイオン濃度の減少に伴い蛍光が強くなります。これにより、細胞内のカルシウムイオン濃度の減少および増加を正確に捉えることができるようになりました。
 実際にIP2.0を線虫の神経細胞に発現させ、細胞内のカルシウムイオン濃度の減少を測定したところ、神経活動の抑制を鋭敏に観察可能なことが確認できました。今後、このIP2.0を用いて、これまで観察しづらかった細胞内カルシウムイオン濃度変化をより正確に測定できるようになり、新たに神経回路の機能や細胞の機能が解明されることが期待されます。
 本研究は、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「生命動態の理解と制御のための基盤技術の創出」(研究総括:山本 雅 沖縄科学技術大学院大学 教授)、「新たな光機能や光物性の発現・利活用を基軸とする次世代フォトニクスの基盤技術」(研究総括:北山 研一 光産業創成大学院大学 特任教授)、および日本学術振興会 科学研究費の支援を受けました。
 本研究成果は、2018年4月25日(水)午後2時(米国東部夏時間)付け科学雑誌PLOS ONEに掲載されました。
 http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0194707

詳細はプレスリリースをご覧ください。

参考図
参考図

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笹井宏明教授が文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞しました。

 機能物質化学研究分野の笹井宏明教授が、平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞しました。

 本賞は科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に贈呈されるものです。

 表彰式は4月17日、文部科学省にて行われました。

(受賞内容について)
「独自の反応促進機構を持つ不斉分子触媒の創製に関する研究」
触媒を構成する複数の官能基が互いに干渉せずに反応を促進する多機能触媒を世界に先駆けて創製し、この概念に基づく様々な構造の触媒を用いて、種々の反応が効果的に促進されることを見出しました。

受賞コメント:

このような賞をいただき大変光栄です。頑張って成果を挙げてくれた研究室のスタッフや学生諸君と喜びを分かち合いたいと思います。また、書類の準備にあたりお世話になりました、産研の総務課人事係、大学本部総務部人事課の皆様に厚く御礼申し上げます。

笹井宏明教授が文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞しました。

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ペーパーレス化に待った!紙を用いた電子ペーパーの開発に成功

 大阪大学産業科学研究所の古賀大尚特任助教、能木雅也教授らの研究グループは、紙を用いてフレキシブルな電子ペーパーを作製することに成功しました。
 我々人類は、約2000年もの間、手書きや印刷で紙に情報を表示してきました。
 しかし近年では、電子ペーパー端末等の普及により、情報表示媒体としての紙の価値が低下しつつあります。現在の電子ペーパーは、ガラスやプラスチックの透明基材を用いて作製されていますが、従来の紙は透明性を持たないため、電子ペーパーへの応用は困難でした。
 今回、古賀特任助教らの研究グループは、樹木セルロースナノファイバーからなる新しい「透明な紙」とセルロースパルプ繊維からなる従来の「白い紙」を併用することで、電子ペーパーの一種であるエレクトロクロミック(EC)ディスプレイを開発しました(図1)。
 ポイントは、透明な紙に導電性高分子、白い紙にイオン液体を複合化する技術を開発し、紙ベースの高透明性EC電極と高視認性白色電解質の作製に成功したことです。これらを重ね合わせることで、全て紙ベースのフレキシブルECディスプレイを実現しました。
 これにより、紙に手書きや印刷だけでなく電気で情報を表示することも可能になります。本研究成果はペーパーレス化に待ったをかけるものであり、デジタル社会における「紙」に新たな価値を生み出すことに繋がると期待されます。

 本研究成果は、米国科学誌「ACS Applied Materials & Interfaces」に、2017年11月7日付で掲載されました。

詳細はプレスリリースをご覧ください。

図1 紙で作製した電子ペーパー
図1 紙で作製した電子ペーパー

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