大阪大学 産業科学研究所
エネルギー・環境材料研究分野では、リチウムイオン電池の飛躍的な高性能化・高安全化や、リチウムイオン電池を超える新型二次電池の実現に向けた新材料・新反応の開発を行っています。特に、正極と負極の間でイオンを輸送する電解液に着目し、イオンと溶媒分子のつながり(配位状態)を制御するという独自の戦略によって、既存材料にはない特殊な機能・物性の開拓を行っています。また、見出された新機能・新物性を有効利用することで、様々な新型二次電池の可能性を追求しています。これまでに、電解液の耐電圧性向上によるリチウムイオン電池の高電圧化とその機構解明(Nature Communications 2016, Nature Energy 2019)、特殊な電極/電解液界面状態を利用した二次電池の急速充電(Journal of the American Chemical Society 2014)、難燃性・消火性を示す有機電解液を用いた“燃えない”リチウムイオン電池の開発(Nature Energy 2018)、常温で液体のリチウム塩水和物(水和融体)の発見とそれを利用した新型高電圧水系二次電池の開発(Nature Energy 2016, Angewandte Chemie 2019)、難燃性と耐電圧性を併せ持つ新規電解液溶媒の設計・合成(Nature Energy 2020)などを行ってきました。今後も、電解液材料の未知の機能・物性を探求していくとともに、斬新なアプローチによってエネルギー・環境問題の解決に資する新型二次電池の開発に取り組んでいきます。