大岩 顕

第1研究部門
(情報・量子科学系)
山口前同窓会長の後を継いで、今年度から産研同窓会のお手伝いをすることになりました。
コロナ、ウクライナ、諸物価値上がり、オンライン会議、民主国家と専制国家の2極先鋭化、と世の中すべてが激変している今、改めて大学・研究所の存在価値や役割を考えてみる良い機会だと思います。産研同窓会もこのような時代に即して産研の発展を強く応援していきたいと思います。
産業科学研究所は、すでに開発された技術のみを利用するのではなく、新たな科学を創出し、それに基づき新産業を生みだすこと、そして現産業を強化するという使命を持っています。この目的に向けて、異なる学部・研究科から学生が集い研究成果を出し、卒業してきました。産研の卒業生が既存の枠にとらわれず新たな分野を切り開いていくことを強く期待しています。
本年のホームカミングデイの講演は、産研の元所長二井將光先生にお願いしました。二井先生は、バイオ分野で著名な研究者であるばかりでなく、産研にとって変革期の中で様々な施策をとっていただいた先生です。今回「産研・退職後の学び」というタイトルでお話しいただけること、大いに学ばせていただきたいと思います。
(会長:川合 知二)
大阪大学産業科学研究所は、新産業創出の源泉となる基礎科学を探求し、その成果に立脚した最先端科学技術の社会実装に大きく貢献してきました。情報・量子科学、材料・ビーム科学、生体・分子科学とナノテクノロジー・ナノサイエンスを推進する4研究部門と、研究領域を横断的に融合した学際的研究を推進する産業科学AIセンターの体制で、先端科学の社会・産業への実装による新たな産業科学イノベーションを目指しています。さらに、産業界や海外研究機関との連携強化、5附置研究所間クロスオーバーアライアンス事業および物質・デバイス領域共同研究拠点事業等による共同研究体制の強化にも取り組んでいます。
新たなコンピュータの誕生は、科学と産業にインパクトを与えてきました。量子コンピュータは、人類の歴史を変えるほどの革命的なインパクトが期待されます。本講演会では、量子コンピュータによる知の創出が、次世代の産業イノベーションになるとの認識からテーマを「量子コンピュータが拓く産業科学」としました。量子コンピュータの研究開発を牽引されておられる日本IBM東京基礎研究所副所長の小野寺民也先生に学外講演を賜ります。学外講演と各研究部門・センターの教授による学術講演、そして、すべての研究グループによるポスター発表から成るプログラムを構成しました。
(世話人:谷口 正輝)
量子コンピュータは、現在のコンピュータとは異なる次元の性能を有することが理論的に示されており、米国を中心に巨大IT企業や新興企業が熾烈な研究開発競争を繰り広げている。本講演では、IBMの取り組みについて、ハードウェア、ソフトウェア、お客様との共創ネットワークの3つの観点から紹介し、量子コンピューティングがもたらす新しい時代を展望する。
スケジュール
●ホームカミングデイ
13:00 挨 拶 産研同窓会副会長 川合 知二
13:10 特別講演 大阪大学名誉教授・産業科学研究所第22代所長 二井 將光
「産研・退職後の学び」
14:10 休 憩
●学術講演会
14:20 開会挨拶 産業科学研究所 所長 関野 徹
14:30 学外講演 日本IBM東京基礎研究所 副所長 小野寺 民也
「The Quantum Decade」
15:30 休 憩
15:40 学術講演 第1研究部門 産業科学研究所 教授 大岩 顕
「半導体スピン量子ビットの現状と量子ネットワークへ の展開」
16:10 学術講演 第2研究部門 産業科学研究所 教授 古澤 孝弘
「量子コンピュータとリソグラフィ」
16:40 休 憩
16:50 学術講演 第3研究部門 産業科学研究所 教授 永井 健治
「トランススケールスコープが拓く生命科学研究の新たな潮流」
17:20 学術講演 産業科学ナノテクノロジーセンター 産業科学研究所 教授 南谷 英美
「材料シミュレーションと量子コンピュータ」
17:50 閉会挨拶 産業科学研究所 副所長 永井 健治
●ポスターセッション
13:00~ 掲示、 18:00~ 討論