量子ビーム発生科学グループ
      Accelerator Science Group

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電子ライナック

L-バンド電子ライナック


    強カ極超短時間バルス放射線発生装置は、通常の電子ライナックと同等の特性はもとより、電荷量が67ナノクーロン(〜3×1011 個の電子)、バルス輻が約20ピコ秒の単バンチ高エネルギー電子線の発生が可能な非常に特色のある加速器で、ピコ秒オーダーでの各種素過程の解明や通常の照射効果の研究に利用されている。

    この装置は、加速系とビームトランスポート系から構成されている。電子の加速には、クライストロンによって増輻された強カなマイクロ波(周波数1.3GHz,ピーク電カ20MW)が用いられる。電子銃から入射された電子は、加速管内を通過する時マイクロ波の加速電界の作用を受けて,エネルギーが増大する。電子のバルス輻が3ナノ秒〜2.5マイクロ秒(過渡モード、および定常モード)では、最大エネルギー38MeV、最大ピーク電流2 0Aの電子ビームが得られる。

    単バンチビームを発生させる時は,108MHzと216MHzの周波数で励振されている 3台のサブハーモニックプリバンチャー(SHPB)を動作させる。電子銃から入射されたバルス輻5ナノ秒の電子ビームはここで速度変調を受け、電子の数を滅らすことなくバルス輻が500ピコ秒以下に圧縮されてプリバンチャー(PB)の入口に到達する。このビームがプリバンチャー、バンチャー(B)を通過すると、約20ピコ秒にバルス幅が圧縮され、加速管で所定のエネルギーに加速されて高エネルギーのピコ秒単バンチビームが得られる。

    この装置で発生する単バンチの電荷量は、設置当初は約7ナノクーロンであったが、電子銃グリッドバルサーの改良、バンチチョッバーの付加などで約30ナノクーロンに増加させた。その後さらにサブハーモニックプリバンチャーを多段式に改造して、最大67ナノクーロンの電荷量を得ることができた。この値は現在世界最高である。

    加速管を出たビームは,ビームトランスポート系にある各種の偏向磁石によって希望のビーム取出窓まで導かれ、実験に利用される。また,ここにはチェレンコフラジエターが組み込まれていて,バンチされた電子に同期したピコ秒の光バルスが得られ、装置の運転モニター 、およびパルスラジオリシスなどの光源として利用されている。


S-バンド電子ライナック


    150MeV S-バンド電子ライナックは,シンクロトロン放射光,低速陽電子,自由電子レーザー, 複合照射効呆などの研究用に設置されたもので,大電力クライストロンで増幅された強力なマイクロ波 を短い加速管に供給して高勾配の加速電場を発生させ,電子を高エネルギーに加速するコンパクトなライナックである。

    この装置は,電子銃,プリバンチャー,バンチャー,加速管(長さ2.8m 1本,1.9m 2本), 周波数2.8GHz,出力35MWのクライストロン(3本)、および小型化されたパルス変調器で構成されている。

    電子ビームの特性は,エネルギー幅±1%,最大ピーク電流650mA,パルス繰返し60pps, ビーム径3mm(定常モード)が得られている。また加速勾配は19.3MV/mを達成した。これは従来のライナックに比べ て2倍以上の値であり,加速器の全長を短縮する上で今後はこの方式が広く用いられると思われる。

    ビーム輸送部は±45°の偏向・エネルギー分析両用の磁石,90°偏向磁石,および4極磁石で 構成され,電子ビームはこのシステムによってそれぞれの実験装置に導かれる。現在このライナックは,エネルギー並びにビ ームの質の向上のためにマイクロ波源と電子銃の改良が進められている。



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