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SANKEN

所長挨拶

産業科学研究所 所長
黒田 俊一

産業科学研究所は、「産業に必要な自然科学の基礎と応用」に関する研究機関を大阪に設置したいという関西財界の熱い要望と強力な支援を受け、1939年、現在の大阪大学の前身である大阪帝国大学に設立され、今年で85周年を迎えました。その理念は、昭和、平成、令和の時代を経ても変わることなく、常に社会的要請に合わせて組織改編と研究分野の充実を重ね、新たな学際融合研究の展開を目指して、2009年に現在の姿である第1研究部門(情報・量子科学系)、第2研究部門(材料・ビーム科学系)、第3研究部門(生体・分子科学系)、及び、産業科学ナノテクノロジーセンターの4部門に改組・拡充しました。また、2010年には北大電子研、東北大多元研、東工大研究院化生研、九大先導研と共同で、各研究所の研究の卓越性と優れた施設・設備を活かす研究所間アライアンスをいち早く構築し、共同研究プロジェクト(2022年度からは “人と知と物質で未来を創るクロスオーバーアライアンス”)を推進すると共に、5研究所が一体となって運用する我が国初のネットワーク型「物質・デバイス領域共同研究拠点(2022年度より産研が中核拠点として実施)」を推進するなど、全国の大学・企業研究者とのネットワーク形成、若手研究者の育成を通して、研究力向上による科学・技術の発展に努めて参りました。その結果、共同研究課題は累計で6400件超となり、最新の期末評価ではS判定を頂くことができました

世界の社会情勢・産業構造は日進月歩で変化し続けていますが、創立以来の理念は今なお変わることなく、いち早く次世代の科学・技術の方向を見出し、先端科学の牽引と世界に先導する技術の社会実装を強力に推進しています。たとえば、社会実装が大きく進んでいる生成AIなどの情報科学領域では、1970年代には今日に繫がる研究分野を設置し、学術研究の発展に大きく貢献を果たしました。これを基盤として、産研の強みである量子、材料、ビーム、生体、分子、ナノテクの各研究領域との横断的な学際融合研究を推進するため、2019年に産業科学AIセンターを設置し、AIを活用する次世代産業科学の基盤構築と、社会・産業への実装による新たな産業科学イノベーションを指向した活動を進めています。また、2024年に本学のOUマスタープラン実現加速事業により戦略的な改組を行い、一層の機能強化を図ります。一方、産研ブランドの国際的な認知度向上のために、2021年6月より英語の正式名称を”SANKEN“に変更し、さらに2023年には、「既成概念にとらわれず常に挑戦し続けることで社会に貢献する研究所に」、との想いを込めロゴマークを一新致しました。

これからも産業科学研究所は、多様な科学分野に跨る研究から生まれる知を日々積み上げ、世界共通の様々な社会課題解決と持続的発展のために貢献できるフロントランナーとして、国内外の多彩な学術コミュニティー・大学・研究機関・企業等を始めとする皆様との連携や共創をさらに強力に進め、高品質で世界最高水準の研究・教育の場で有り続ける努力を実践いたします。引き続き皆様の温かいご支援とご指導、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。