大阪大学 産業科学研究所
当研究室では、生体分子間の相互作用(反応)に基づく様々な生命現象を解明し、その作動原理に基づく技術を開発し、バイオ関連産業、特にバイオ医薬品開発に資することを目標としている。具体的には、生体内の特定組織や細胞を認識し感染するウイルスをモデルとする薬物送達システム(DDS用ナノキャリア;バイオナノカプセル)、独自開発した全自動1細胞解析単離ロボットをコアとする1細胞解析技術(1細胞育種、モノクローナル抗体迅速樹立)、生体分子のナノレベル整列固定化技術(超高感度・超高特異性バイオセンサー)、生体内の病原タンパク質を選択的に除去するバイオミサイル技術の開発を行っている。また、生体触媒である酵素の活性部位構造や立体構造、触媒反応機構を明らかにするべく研究を展開している。特に、キノヘムプロテインアミン脱水素酵素の共有結合型補酵素(ビルトイン型補酵素)の生成機構、補酵素形成に関連して起こるペプチド架橋形成の機構解明に力を注いでいる。タンパク質構造解析技術を応用して、バイオフィルム形成や病原性発現に関わる細菌情報伝達系を標的とする新規抗菌剤の開発にも取り組んでいる。また、物質輸送、特に細胞外や表層から内部に取り込むエンドサイトーシスに着目し、選択的除去や物質送達システムを支える分子機構を明らかにする研究を進めている。