研究内容

鈴木研究室の医薬品化学研究

私たちは有機化学を基盤として意図した薬効を発現する有機化合物の創造(創薬)に取り組んでいます。有機合成化学・反応化学・計算化学・構造生物学・生化学・分子生物学・遺伝学などの幅広い知識を活かし創薬化学・医薬品化学・ケミカルバイオロジー研究に取り組み、新しい生理活性物質の合成と作用機構の解明を行っています。

 

1.エピジェネティクス制御化合物の創製研究

DNAの塩基配列に依存せず遺伝子の発現を制御する機構は,エピジェネティクスと呼ばれています。最近の研究により,シトシンのメチル化やヒストンリシン残基のアセチル化,メチル化が重要なエピジェネティクス機構の一つであることが明らかにされてきました。また,エピジェネティックな異常は,がんなどの疾病に関与することも報告されています。これまでに,DNAメチル基転移酵素阻害剤やヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤が開発され,臨床応用されています。私たちの研究グループでは,次世代エピジェネティックドラッグを目指して,アイソザイム選択的HDAC阻害剤やヒストン脱メチル化酵素阻害剤の創製研究を行っています。

 

2.クリックケミストリーを用いた創薬化学研究

クリックケミストリーとは,複数の化合物を効率的かつ簡便に結合させる反応を利用し、新たな機能性分子を作り出す手法です。私たちの研究室ではクリックケミストリーを用いて、低分子化合物ライブラリーを構築し、新規生理活性物質の探索研究を行っています。これまでに、クリックケミストリーの代表的反応である銅触媒アジド‐アルキン付加環化反応(CuAAC)を用いて、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬のためのライブラリーを構築し、HDACアイソザイム特異的阻害剤(HDAC3およびHDAC8特異的阻害剤)の創出に成功しています。

 

3.標的酵素誘導型阻害薬合成

 

当研究室では、標的となる酵素が引き起こす触媒反応、あるいはその酵素特有のポケットを使って、酵素自身にin situで阻害薬を合成させるという標的酵素誘導型合成(TGS)を用い、酵素の特異的な阻害薬の創製を試みています。本研究で行うTGSは、酵素内で阻害薬が作られるため、その酵素特異的な阻害薬が得られやすいと言えます。これまでに、TGSにより、ヒストン脱アセチル化酵素のSIRT1やHDAC8、ヒストン脱メチル化酵素のLSD1阻害薬の創製に成功しています。

 

4.非共有結合性相互作用の解析研究

リガンドと標的タンパク質間の可逆的結合では、水素結合や疎水性相互作用の非共有性相互作用が重要な役割を担っています。私たちの研究室では計算科学や低分子モデルを用いた分析化学的手法により、リガンド-タンパク質間相互作用解析を行っています。