Graduate's Voice

揚妻 正和

生理学研究所 特任准教授

Q1.今のお仕事はどんなことですか?

 生理学研究所で特任准教授をしています。マウスの生体脳における神経活動や神経細胞の形態を2光子イメージングにより観察し、脳回路において神経細胞集団がどのように情報を処理するか、そのメカニズムを明らかにすることを目的として研究しています。特に情動(こころはどうやって生み出されるか)に着目して研究を進めています。 なお、技術的には、機械学習による脳内の多次元情報の解読、そしてそれによる基本原理の抽出、さらにはホログラムを使った2光子オプトジェネティクスにより神経活動を高精細に操作することで得られた原理を証明する、とった技術の組み合わせで研究を進めています。
その他、研究所のミッションということもあり、多くのイメージング研究の共同研究を行っています。永井研では発光イメージングや超解像イメージングなどにも関わらせて頂いたので、自身のin vivo観察技術と組み合わせると正直大抵のことは出来る気がします(多少錯覚かもしれませんがご容赦ください(笑))。

Q2.永井研究室で学び、社会に出てから役に立っていること、今の仕事に活かされていることは何ですか?

 永井研では、さきがけ専任研究員という身分で、スタッフでも学生でもない身分で自由にやらせて頂きました。光学技術やそれを操作するシステムの開発が得意なスタッフが複数おりましたので、そこから多くのことを学び現在の研究に生きています。永井研から出たあとも、引き続き共同研究やアドバイスをいただいたりしながら、光学的な技術メインの研究を続けています。 なお、勉強会として学生が光学系に関する教科書の輪読を行っておりましたが、それに参加することで知識の整頓をする機会も得られました。加えて、ラボセミナーが基本的に英語だったこともあり、アメリカ留学から帰ってきた直後の3年間、英語力を維持するのにも非常に助かりました。

Q3.後輩たちへのメッセージ

主に学生さんへ
 永井研では、たくさん研究できます。さんざん研究できます。日本でトップレベルの研究室です。交渉に成功すれば研究予算も確保してもらえます。
研究を散々やることが人生何の役に立つのか、と考える若者もいるかもしれませんが、あとで振り返って損したと思うのは十分にやりきらなかった人だけでしょう。 例えば、社会に出れば、失敗は自分のキャリアにマイナスです。一方で、大学院生時代は人生で最後に好きなだけ失敗しても許される機会です。自分の発想、プランニング、マネージメントなどの能力を全力で試し、トライアンドエラーを繰り返して、思う存分自分を成長させましょう。
また、永井研は英語コミュニケーション能力をめちゃのばすチャンスが得られます。日本の大学院までの教育で、十分に英語を話す能力を養う機会がほぼありません。永井研ではセミナーは基本英語で行われ、最初はきついかもしれません。しかし、最後には(私のいた3年間、もれなく学生全員が)自身の研究を英語で説明し、かつ英語で議論する力を身につけています。 これは就職および就職後の仕事に大きなアドバンテージとなるでしょう。言語翻訳ソフト・アルゴリズムの開発も飛躍的に進んでますが、私のアメリカ留学経験から考えると、英語が話せるかどうかはキャッチボールのスムーズさ以外のメリットもあるので、少なくともあと10年くらいは多分話せた方が有利です。なお、これから永井研にはいるかた、入ったばかりの方、その効果が現れるまでには半年から一年はかかるので、そこまでは自身への投資と思って耐えましょう!(笑)
人生で大事なのは、それぞれが満足した人生を歩むこと。そのためには、自身の軸で考え、トライアンドエラーを繰り返し、自分にあった生き方や道をできるだけ早い段階でまずひとつコレ!と決めて邁進することが大事です。その目的には、永井研は絶好のチャンスです。さらには、永井先生と同じようなイケイケの人生を歩むことは難しい、ということに気づくだけでも人生に大きな財産になります(笑)。 世の中テレビなどでは大成功する人ばかり取り上げられますが(永井先生もそうですね)、その方々のロジックはとても参考になる場合もあるし、あるいはその人だから通用する、ということもしばしばあります。そんななかで、1)他の圧倒的に優れた人と自分を比べて敗北感を味わった後に自分にしか出来ないことを強みとして見出すこと、and/or 2)人と比べなくてもいいと自信をもっていえるほどの自分流の生き方を見つけること、ができれば、あとはもう「人生は夢だらけ!」です。
ということで、永井研で自己研鑽し、超忙しい永井先生を定期的に捕まえて飲み会などでコミュニケーションをとり、その成功例をたっぷり味わい、直接学べる多くのことを吸収し、さらに次元の違いや個性の違いを味わいながら、最後の青春かもしれない時間を人生のすばらしい糧にしてくださいませ。