Graduate's Voice

堀川 一樹

徳島大学 先端研究推進センター 光イメージング研究分野 教授

Q1. 今のお仕事はどんなことですか?

 細胞間情報伝達の研究を、普通の研究とは異なる視点で進めています。10万個の細胞集団に生じるうずまき状の信号波が、「いつ」「どこに」「どうやって」作りだされるのか、「細胞生理学」「発生生物学「社会学」などさまざまな視点から調べています。細胞間の情報のやりとりを可視化するためには、永井研究室で学んだプローブ開発とイメージング技術が役立っています。普通の顕微鏡では捉えきれない10万個の細胞集団を大規模かつ高精細にイメージングすることも永井研究室と共同で進めています。うずまき状の信号波は心臓発作やてんかん発作の際の信号動態と相同ですが、これが勝手に生じる仕組みは100年来の謎です。今進めている研究によってその謎を解明できると期待しています。

Q2. 永井研究室で学び、今の仕事に活かされていることは何ですか?

 研究そのもの、ラボマネージメント、お酒の飲み方、数え上げるとキリがないくらいたくさんのことが生かされていますが、あえて一つ挙げるなら永井研究室で得られたかけがえのない仲間です。私が在籍したのは北大での永井研究室の創生期でしたが、ただでさえ熱い永井さんをはじめ、5名を超えるさきがけ研究者を含むアクの強いメンバーだらけだったので、常軌を逸する熱量の中で3年を過ごすことができました。ミーティングでの議論に限らず、ベンチでの実験の最中にも時間を忘れて熱く議論したものです。彼ら彼女らから学んだ考え方やさまざまな人生観は今の私を支えてくれる大きな土台になっています。ラボの仲間に加え、永井さんを介して知り合ったラボ外の研究者やメーカーの方々にも常に助けられながら今の仕事を進めることができています。

Q3.後輩たちへのメッセージ

 人生で最も成長できる時間を永井研究室で過ごすことにした皆さん、その選択は大正解です。ハードな日常を仲間と共に乗り越えた経験者が保証します。愛のある指導に打ちのめされそうな時は、ぜひとも我々や仲間を頼ってください。幾多の大変なことを乗り越えた先に広がる楽しい未来を分かち合いましょう。そんな経験をさせてくれるのが永井研究室です。

Q4.永井先生との思い出の中で,特に印象に残っている事件はございますか?

  事件ですか...いくつもありますよ。

1. 私の北大着任時の飲み会があまりにも楽しくて、参加メンバーのほとんどが記憶を無くすまで飲んだこと(誰がいくらの会計をしたのか皆覚えていない)。
2. 南国育ちで雪を知らない私を、着任一年目でニセコの頂上に拉致る、というスキーのスパルタ教育を施されたこと(この恐怖体験のおかげで多少なりともスキーを楽しめるようになったので感謝してます)。
3. イタリアに二人で出張した時、ランチのワインのせいで観光中にダウンした私を、手厚く介抱してくれたこと(教会観光で階段を登っている最中に前後不覚となった私の荷物を全部持ってくれ、背中を支えながら階段を登ってくれました。あー見えて(?)とても優しいのです)。

Q5.それはすごい体験ですね。3.はジャイアン効果ではないでしょうか?

 永井さんはいつも愛に溢れたいい人(=映画版のジャイアン)ですよ。