Graduate's Voice

木村太一

シスメックス株式会社

Q1.今のお仕事はどんなことですか?

 検査機器メーカ―にて、血液検査試薬の開発に携わっております。例えば健康診断ですと、採血を受けると数値が返ってくる、という具合で、途中何が行われているかについてはイメージが湧きにくいかもしれませんが、 その間の部分で検査技師さんに使っていただいているのが当社の製品です。直接患者さんの眼に触れることはありませんが、病気の予防に発見、急を要する判断にも関わる、貢献度が高く責任も大きい役割です。 大学生の皆さんにとっては、理系の仕事といえば研究して新発見をするというイメージが強いと思います。開発というのはその後、市場に届ける手前までにすべき事をします。説明しようと試みましたがとんでもなく長いお話になるので割愛、詳しくは自分で調べてね...というところですが、検索の一助として個人的に重要視しているキーワードを上げるとすれば、顧客志向・安全性と耐久性・供給責任・コスト・設計情報、そして法律関係(特に薬事法)です。

Q2.永井研究室で学び、社会に出てから役に立っていること、今の仕事に活かされていることは何ですか?

 単語でズバリと答えるのは難しいです。何故なら具体的なことほど役に立たないからです。『大学ではAをしていました。会社でもAをしています。』という人は、一割もいないんじゃないかと体感的に思います。 ただ、『Aができるようになるまでに何を考え、どう行動したか』というプロセスは、(例え、Aができないという結果に終わったとしても!)Aだけでなく全てにおいて役立ちます。『こんなことして何の役に立つんや!』と思うこともあるでしょうが、絶対に何かしらの助けになると知っておいてください。

Q3.後輩たちへのメッセージ

 『学生には時間はあるけどお金がない、そして社会人はその逆』とよく言われますが、時間とお金は交換可能なので全くそんなことはないなあと社会人になってから気づきました。むしろ一番隔たりがあるのは『選択肢と選択権』だと思います。特に大学という環境は選択肢に溢れています。 世界トップレベルの研究者に話しかけてもよし、潤沢な研究資金を使って一晩中実験してもよし、バイトや部活に打ち込むもよし、時間をひたすら無駄に過ごすのもまた、学生だけに与えられた選択肢でしょう。 選択権が弱いためどうにもならないことも当然多いですが、その分選択肢を目いっぱい活用してほしいと思います。社会人の選択肢を数え上げてみると目眩がしますが、選択肢×選択権=自由度とすると、総和は決して減っていないようです。 今したいこと、今しかできないことは確実にあるので、全力で頑張ったり全力でさぼったりして、貴重な時間を過ごしてください。