Graduate's Voice

竹本 研

三重大学 大学院医学系研究科・医学部 基礎医学系講座 生化学 教授

Q1.今のお仕事はどんなことですか?

 動物が記憶するメカニズムの研究を進めています。記憶研究では特に、分子機能を生きた動物で理解することも重要ですので、それに役立つ独自の光操作技術の開発も進めています。

Q2.永井研究室で学び、今の仕事に活かされていることは何ですか?

  永井研では、CALI法に関する要素技術の開発研究を進めました。内容は論文を見ていただくとして、現在の研究は技術的にはその延長線上にあります。例えば2017年にpublishした論文では、永井研で見出したエオシン(Takemoto et al. ACS. Chem. Biol. 2011)を用いることで、記憶分子のCALI法の開発に成功しました(Takemoto at al. Nat. Biotechnol. 2017)。また現在開発を進めているオンデマンド光操作技術についても、その源流は永井研にあります。永井研を卒業して約13年になりますが、当時開発した技術は自分の研究で使っているだけでなく、国内外の研究者にどんどん普及しています、技術開発の面白さの一つは、こうした「世の中に広める」点ですが、それも永井研で学んだことことだと思います。
 また永井研の創生期に立ち会えたことは大変ラッキーでした。PIがどのようにラボをオーガナイズすべきか?様々なノウハウを学べたことは、特に昨年研究室を構えたばかりの私にとっては大変貴重な経験だったと、今更ながら感じています。

Q3. 後輩たちへのメッセージ

 研究の質って、「気合いの入った人」がラボに何人いるかで決まるように思います。気合いが入った人が集まったラボでは強烈な化学反応が生じて、その結果新しい価値観と面白い研究が生まれるのかなと。たぶんこの繰り返しがそのラボの歴史であり、生命科学研究の発展なんでしょう。私が参加した永井研の創生期は、そんな気合いの入った人が集合した希有で胸熱なラボでした。永井研を卒業して随分立ちますが、当時の同僚達は様々な分野に進出し今も活躍しています。永井研新世代の皆さんは、どんな胸熱なラボを形成し面白い研究を生み出すのか?そして将来永井研から羽ばたいてどんな活躍を見せていただけるのか?大変楽しみにしています。