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イベントレポート

新任教授講演会を開催しました。

 7月3日に産研新任教授講演会を開催しました。本講演会では、清水昌平教授と中島悠太教授による先端研究のプレゼンテーションが行われ、データ科学と人工知能の魅力を存分に感じることができる貴重な機会となりました。

テーマ
 清水昌平 教授
 「因果AI:データを基に因果関係を推論する」

 中島悠太 教授
 「人工知能による信頼性の高い画像・映像の理解と活用」


両教授のコメント

清水昌平教授
 AIが得意とするのは「予測」ですが、私の関心はその先、「なぜそうなるのか?」という「因果」のメカニズムにあります。例えば、ワクチンの効果を見極めるとき、共通の要因(年齢や持病の有無など)を見落とすと、まったく違った結論に見えてしまうことがあります。そうした“見えにくい因果”をデータから探る技術が、私の研究する統計的因果探索です。地道な分野ですが、医療・政策・製造など、現実世界での意思決定を支える力になると信じています。本日の講演を通じて、その一端でもお伝えできていれば幸いです。


中島悠太教授
 新任教授講演会にご参加いただいた皆様、どうもありがとうございます。
 2012年に大阪大学大学院工学研究科で博士(工学)の学位を取得後、奈良先端科学技術大学院大学と大阪大学データビリティフロンティア機構(現D3センター)を経て、2025年4月1日に産業科学研究所複合知能メディア研究分野の教授に着任いたしました。画像・映像の理解と活用を目指して研究を進めており、説明可能・解釈可能なAIやAIの社会的バイアスの定量化、低減等の基礎研究から、映像検索、要約等の応用研究まで、幅広く取り組んでいます。
 大規模言語モデルによる様々な「推論」が可能になった今、この強力な基盤技術をどのように安全に活用し、発展させるかは、これからの画像・映像理解の一つのメインストリームとしてあり続けると考えます。変化が早いAI研究の中で、産研から世界に研究成果を発信し続けられるよう、研究を進めていきたいと思います。

講演会の様子
左:清水昌平教授、右:中島悠太教授