2025年9月25日(木)、大阪大学中之島センターにて、今年度3回目となる「産業科学研究所・大学院工学研究科 定例記者発表」を開催しました。本記者発表は、産業科学研究所(以下、産研)と大学院工学研究科(以下、工学研究科)が合同で隔月開催しているもので、研究成果の積極的な情報発信を通じて、大学のパブリシティの向上と社会との接点の強化を目指しています。
海水と淡水から電力を生み出す ブルーエネルギーを拓く極薄ナノポア膜(産研・筒井准教授)
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海水と淡水の塩分差を利用し電気を生み出す「ブルーエネルギー」実用化に向けた技術として、逆電気透析発電に応用可能な「極薄ナノポア膜」の研究開発について紹介しました。ブルーエネルギーは、地球規模で原子力発電所1000〜2000基分に相当する潜在力を持つと報告されており、世界的な研究開発競争が展開されています。実用化の鍵となるのは、大面積かつ高効率な逆電気透析発電を可能にするイオン交換膜の実現です。今回は、イオン交換膜について、実際に作製した極薄ナノポア膜をお見せしながら、研究の最前線について紹介させていただきました。
結晶からのメッセージを紐解く!-尿路結石の形成機序解明、発症予測、そして社会実装-(工学研究科・丸山教授)
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工学研究科からは、罹患率の高い疾患にも関わらず再発防止の有効策が解明できていない現状にある尿路結石症に関して、現在の疫学研究の主流対象であるシュウ酸カルシウムではなく、その結晶の核となっているリン酸カルシウムに着目し、根本的な尿路結石の形成機序にフォーカスした研究について紹介しました。
また、臨床研究の事例を交えながら、尿路結石症の発症・再発予測が、今どのぐらい可能になっているのか、社会実装も見据えた最新の研究成果について紹介されました。
この定例記者発表は、特定分野にとどまらず、「産業に必要な自然科学の基礎と応用」を探究する産研と、約170の研究室を擁し工学のあらゆる領域を網羅する工学研究科がタッグを組み、未来社会を見据えた最新の研究成果を発信する取り組みです。今後も、社会課題の解決に資する研究をリアルタイムでご紹介してまいります。研究内容にご関心のあるメディア関係者の皆さまにおかれましては、ぜひお気軽にご参加いただければ幸いです。
次回はいよいよ、スピンオフ企画!大阪大学吹田キャンパスにて、2025年11月26日(水)に開催予定です。
(産研 広報室)