大阪大学 産業科学研究所
本研究分野では、半導体、特にシリコン太陽電池とシリコンナノ粒子に関連する材料、デバイス、プロセスなどについての研究を行っている。研究成果を実用化して社会に大きく貢献することを最終目標にしている。
シリコン太陽電池の理論エネルギー変換効率は約30%であるが、市販されている太陽電池の効率は15~18%しかない。この原因として、太陽電池表面での光の反射や、生成した電子とホールが欠陥サイトで再結合することなどが挙げられる。これらの問題を従来法とは異なる、新規化学プロセスによって改善する研究を行っている。
シリコン粒子をナノメートルオーダーまで微粒子化することで、新たな特性(量子サイズ効果による電子状態が変化や表面反応の活性化)が得られる。この新規特性に着目し、粒子径で発光波長を制御した発光材料や、水を滴下するだけで反応して水素を発生する材料、そして高容量リチウムイオン電池の負極材料など、次世代機能性シリコンナノ材料の研究・開発を行っている。シリコンナノ粒子と水と反応で発生する水素の生体への効果を調べる研究も行っている。
太陽電池の高効率化のメカニズムを解明するために、様々な物理化学的解析を行っている。特に、電圧印加X線光電子分光法は、太陽電池の効率低下の原因となる欠陥(界面準位)のエネルギーや量を測定できる。この手法は、小林研究室で開発された。