大阪大学 産業科学研究所
電子系の励起状態を介した固体構造制御は、従来の熱的・化学的な手法では得られない新奇構造相の創製を可能とし、材料科学における新しいパラダイムの構築につながるものと期待できる。本研究分野では、この最終目的につながる明確な指針を確立するために、固体内部及び表面における電子・正孔・格子系の非平衡励起状態に関する詳細な知見を得ると共に、その後の緩和ダイナミクスを解明することを目指した基礎的研究を推進している。パルスレーザー光、シンクロトロン放射光、高度単色化電子線等、多彩な励起手段を用いて発生させた電子・格子励起状態の動的挙動を、角度・時間分解光電子分光法および高分解能電子エネルギー損失分光を主とする様々な分光法を用いて、実空間・運動量空間・エネルギー・時間といった多次元空間において解明している。