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生体適合性ゲル電極を持つ柔軟な有機増幅回路シートの開発に成功 ~体内に埋め込み微弱な生活活動電位の計測が実現~

東京大学 大学院工学系研究科 (広報室)
大阪大学 産業科学研究所 (広報室)
科学技術振興機構(JST) (広報課)

1.発表のポイント

・生体内に長期間埋め込みができる、柔軟かつ高導電性の生体適合ゲル電極を実現。
・心臓に貼り付けて微弱な心電信号を増幅する体内埋め込み型の有機増幅回路を実現。
・使い捨てセンサーとして手術の現場を支援する次世代医療デバイスとして期待。

2.発表概要

東京大学の染谷隆夫教授と大阪大学関谷毅教授らの研究グループは、生体適合性ゲ電極を持つ柔軟な有機増幅回路シートの開発に成功しました。生体の炎症反応が極めて小さな導電性のゲル素材を開発し、これをセンサーの電極として応用し、極薄の高分子フィルムに製造された有機トランジスターの増幅回路と集積化することによって、センサーを長期間体内に埋め込むことが可能なりました。その結果、微弱な心電信号でも安定して 計測できるようになり、心臓の疾患部位を特定すること成功しました。この新しいデバイスは、使い捨てセンサーとして、手術の現場を支援するセンサーとしての応用など次世代医療デバイスとしてさまざまな応用が期待されます。
本研究はJST戦略的創造研究推進事業の一環として行われました。
本研究成果は、2016年4月29日付きの英国Nature Communication誌に掲載されます。
詳細はこちらをご覧ください。

図1 生体適合性を持つ柔らかいシート型生体信号増幅回路
柔軟なゲル電極とシート型の生体信号増幅回路の集積化により実現
(a) ゲル電極の拡大図(厚みは用途に応じて使い分ける)
(b) シート型生体信号増幅回路の写真と (c)断面模式図