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【発表】研究現場主導のAI 導入を加速する新センター発足! 記念国際シンポジウムを今秋開催

研究成果のポイント

・データ駆動型研究を推進するためのAI導入は我が国の科学研究の推進における喫緊の課題であるが、我が国のAI研究者人口は少なく、またAI 研究者と他の研究者の間にはリテラシーの問題があり、広範な研究分野へのAI導入は遅れ気味である。
・広範な研究分野(AI研究を含む)を有する産業科学研究所は、各研究分野に所属する若手研究者にAI教育を施し、既存のAI研究機関と連携して、研究現場主導でAI導入プロトコルを開発するために、「産業科学AIセンター」を2019年4月に設置した。
・産業科学AIセンターの発足を記念し、2019年10月26日に国内外の著名なAI研究者並びにAI導入に成功した研究者を集め、グランキューブ大阪にて国際シンポジウムを開催する。

概要

今年創立80周年を迎える大阪大学産業科学研究所は、常に先進的な研究を先取りしてきました。情報科学分野においても例外ではなく、1974 年には電子機器部門(角所研)が設置され音声情報処理を行うシステムの開発を行っていました。その後、情報科学系研究室が3研究室増え、1995年には知識システム科学研究部門(4研究室が所属)が発足し、我が国の情報科学分野を牽引してきました。そして、2019年2月には昨今の情報科学研究の重要性の増加に鑑み、トランスレーショナルデータビリティ研究分野(櫻井研)が加わりました(図1)。
そのような中、広範な科学研究分野においてAI 導入を行う重要性が指摘され始め、さらに AI を理解する研究者の育成が求められるようになりました。しかしながら、 我が国 の AI 研究者人口は少なく、また既存の AI 研究者とその他の研究者との間にはリテラシーの問題があり、各研究分野に AI 導入を行うのは難しい状況が続いています。 そこで、広範な研究分野(上記情報科学系を含む)を抱える 産業科学研究所は、「産業科学 AI センター」を2019年4月に設置しました。
同センターは、産業科学研究所を構成する3大研究部門&ナノテクセンターにそれぞれ対応したAI導入研究分野を設置して(図2)、各研究分野に所属する若手研究者にAI教育を施し、既存のAI研究機関と連携して、研究現場主導でAI導入プロトコルを開発します。このように所内を試金石とすることにより、その成果を大阪大学内だけでなく 、国内外の研究機関や企業に発信し、活用してもらう予定です。
これまでに、AI研究者が集まったAI導入に向けた機関やセンターの設置はありましたが、AI研究者でない者が中心となって、AI研究者の助けを借りながら、各研究領域に特化した AI研究者に成長してゆく「現場主導(ボトムアップ)型AI導入」を行うセンターの設置は全国的に見ても珍しいです。
本センターの設立を記念して、10月26日(土)にグランキューブ大阪において The 1st AIRC ISIR International Symposium (第1回産業科学 AI センター主催国際シンポ ジウム)を開催いたします。タイトルは、 "Challenges for Introducing AI to Industrial Sciences" 「産業科学へのAI導入に向けた挑戦」であり、国内外の著名なAI研究者並 びにAI導入に成功した研究者に講演して頂く予定です。
8月1日の会見では、産業科学AIセンターについて更に詳しくご紹介いたします。

図1

図1
産業科学研究所における情報科学系研究室の歴史

図2

図2
産業科学AIセンターの組織図