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(NEDO・若サポ)二次電池を凌駕した「急速充放電が可能な高電圧水系キャパシタ」の実現に向けて

・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO):https://www.nedo.go.jp/index.html

・官民による若手研究者発掘支援事業(若サポ):https://wakasapo.nedo.go.jp/

若サポ事業の概要

「官民による若手研究者発掘支援事業」(若サポ)は、産学連携を通して若手研究者の技術シーズの社会実装を目指す事業です。

若サポには、マッチングサポートフェーズと共同研究フェーズの2つがあります。

マッチングサポートフェーズでは、企業との共同研究等の成立を目指し、研究者が所属する大学等への助成と、企業とのマッチング支援を実施します。

共同研究フェーズでは、共同研究等の実施に際して、企業から大学等に研究費等費用が支払われることを条件として、それと同額(最大 3000 万円/年)がNEDO から研究者が所属する大学等に助成されます。

今回、近藤先生はマッチングサポートフェーズに採択されました。(https://wakasapo.nedo.go.jp/seeds/seeds-2342/

事業概要や先生以外のマッチングサポートに応募されたシーズ情報はこちら(https://wakasapo.nedo.go.jp/)からご覧ください。

採択研究以外を含めた普段研究している内容

近藤先生は、大阪大学産業科学研究所において「リチウムイオン電池の充放電反応機構解析」と「次世代エネルギー貯蔵デバイスの開発」という2つのテーマに取り組まれています。

1つ目のテーマは、リチウムイオン電池充放電時の内部抵抗と反応機構を明らかにすることで、反応高速化を実現するための明確な指針を提示し、高速充放電が可能な蓄電デバイスの実現に繋げるというものです。

2つ目のテーマは、既にリチウムイオン電池において理論値に近いエネルギー密度が実現されている中で、さらなる高エネルギー密度が求められている高性能エネルギー貯蔵デバイスの開発を目指した研究です。具体的には、次世代電池材料や新規電池反応の探索からその実現に繋げることを考えています。

採択研究テーマ名/概要

採択研究テーマ名:「高速充放電特性と高エネルギー密度貯蔵を両立した水系ハイブリッドキャパシタの開発」

概要:本研究テーマでは、二次電池を凌駕した急速充放電と高作動電圧、高容量、高安全蓄電の可能な蓄電デバイスとして「高電圧水系ハイブリッドキャパシタ」技術と実用化を目指します。この新技術を実現することにより、これまで電気自動車等のエネルギー回生用電源に用いられてきた電気二重層キャパシタとは一線を画した、比較的高容量で充放電速度と安全性も向上した電源を実現するのと同時に、カーボンニュートラルの実現にも大いに貢献します。

デバイスの概略図

デバイスの概略図

試作のコインセル

試作のコインセル

研究者情報

近藤 靖幸(大阪大学 産業科学研究所 エネルギー・環境材料研究分野(山田研) 助教)

若サポに参加してみての感想

私自身、企業との共同研究を自らの研究シーズを軸として構築するためにアクションを起こす事が初めてとなるため、マッチング支援を担当してくださる野村総合研究所様の支援も受けながら、色々な企業様との対話を重ね、技術シーズの社会実装に興味を持っていただけるパートナー企業を見出し、共同研究に繋げていくことができれば良いと思っています。

また、NEDO若サポ事業のマッチングフェーズにおいて様々な企業の皆様とご縁をいただく機会自体を、今後の研究開発にも活かしていきたいと思っています。

今回、私の技術シーズで取り扱っているデバイスが次世代キャパシタとなりますので、キャパシタメーカー様だけでなく、電池部材を扱うメーカー様とのご縁をいただくことができるのではないかと思っています。また、マッチング候補先の企業様とのご縁をいただけるように、現在のNEDO若サポ事業においてできるだけ実験データなどを豊かなものにしていきたいと思っています。