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科学研究費助成事業「新学術領域研究(領域提案型)」に永井健治栄誉教授を代表とする研究領域が採択されました。

 永井健治栄誉教授を領域代表者とする研究領域「シンギュラリティ生物学」が平成30年度科学研究費助成事業「新学術領域研究(領域提案型)」に採択されました。
 「新学術領域研究(研究領域提案型)」は、多様な研究者グループにより提案された、我が国の学術水準の向上・強化につながる新たな研究領域について、共同研究や研究人材の育成、設備の共用化等の取組を通じて発展させることを目的とするものです。
 本新学術領域研究では、従来の統計学的手続きにおいて解析対象から除外されてきた「外れ値」を示す要素に着目し、それが標本母集団に及ぼす影響や役割の有無・仕組みを問います。より具体的には、莫大な数の細胞から構成される生命システムの時空間的な特異点(シンギュラリティ)で生起する劇的な状態変化が、少数の特異な細胞(「シンギュラリティ細胞」と定義)によって駆動されるとの作業仮説に立脚し、その検証のために、分子、細胞、組織レベルの生命現象を階層横断的に可視化解析できる革新的計測・情報基盤技術を開発します。本研究の遂行は生命におけるシンギュラリティ現象のみならず、医療診断・創薬・再生医療イノベーションにも結び付くものと期待されます。
 永井栄誉教授は平成23~27年度においても同事業にて「少数性生物学」の領域代表を努めており、今回はその成果を基盤にした新たな領域提案となります。

研究領域名:「シンギュラリティ生物学」(略称:シンギュラリティ)
 領域代表者:永井 健治(大阪大学 産業科学研究所・生体分子機能科学研究分野 栄誉教授)
 研究期間:平成30年度~平成34年度

代表者コメント:

  • 物理学者、化学者であったロバート・フックは生体の最小単位として "cell"(細胞)を見いだし、「ミクロ階層を観る」ことの重要性を説きました。我々の目指すシンギュラリティ生物学は、従来の生物学の枠を大きく超えて、計測工学、情報科学、生命科学を統合することにより階層を自在に横断し、ミクロもマクロも観察可能なデバイスを開発し、取得されるペタバイトを超える大規模データから有用情報を抽出することを可能にします。これは国内外にも類を見ず、将来的には当領域以外にも国内外から広くユーザーを募り、そこで得られたデータを原則公開とし、複合領域をまたぐ波及効果を生み出す核を作り出します。そのために、領域の参画メンバー自身がシンギュラリティとなって、少数が全体を変革する現象を理解する新しい学理を創出していく所存です。ご期待下さい。

●関連リンク:

・平成30年度科学研究費助成事業「新学術領域研究(領域提案型)」について
・生体分子機能科学研究分野(永井研)
・永井研究室サイト
領域のHPはこちらから. 只今公募班募集中